2017年4月16日(日)「グレートウォール」

長城 THE GREAT WALL・2016・米/中/香/豪/加・1時間43分

日本語字幕:手描き風書体下、岡田綾平/シネスコ・サイズ(デジタル、ALEXA65)/Auro 11.1、ドルビーATMOS+VISION(IMDbではIMAX 12トラック、IMAX 6トラックも)

(米PG-13指定)(3D、4D上映、IMAX版もあり)

公式サイト
http://greatwall-movie.jp
(音に注意。情報少ない。全国の劇場リストはあり)

中世の中国。ヨーロッパから来たお互い敵国同士の荒くれ5人は、中国が発明した黒色火薬を手に入れるため、未知の土地である中国に入るため休戦してグループを組んでいた。しかし馬賊の追われ逃げ込んだ土地で、謎の怪物に襲われ、ウィリアム(マット・デイモン)とトバール(ペドロ・パスカル)の2人に減ってしまう。それでもウィリアムはそのモンスターの腕を切り落とし、正体を調べるため持ち歩くことに。しかし、また馬賊に追われ、逃げ着いたところにいきなり巨大な壁が出現する。そこには大人数の軍がいる。二者択一を迫られた2人は、武器を捨て軍に投降することを選ぶ。すると、2人の持ち物を調べた軍師のワン(アンディ・ラウ)は、怪物の腕を見つけ、事情を問いただす。実はそこでは60年ごとに饕餮(とうてつ)と呼ばれる化け物が現れ、人間を襲って食らうのだという。万里の長城はそれに対処するためのものだという。そうこうしていると、とうてつの大群が現れ、城壁に襲いかかってくる。

76点

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 最初に「万里の長城には、史実と伝説と様々な話がある。これは伝説の1つ」と出る。そのように、これはほとんど荒唐無稽なおとぎ話。ただ、よくできた大冒険活劇で、主人公の成長、淡い恋心、男の友情、犠牲、裏切りと改心などの定番要素をすべて盛り込んだような感じ。しかも絵がきれいで、色使いも見事。音も非常に立体的で臨場感がある。面白かった。大ウソを、いかにもありそうに、リアルにカッコ良く描いて見せる。うまいなあ。戦いの太鼓は観客をも興奮させる。ただIMDbでの評価は低く6.1点。

 中国の独特の地形は、グランド・キャニオンのようなところ(過去にもロケに使われていたことがある気がする)もあり、見方によってはこれは西部劇なのだ。風来坊と砦とインディアンの襲撃。要素がすべて入っている。荒野を馬で駆けるし、メキシコの盗賊風、馬賊も出てくるし。その基本構造を使って、大昔を舞台にSF的なモンスター話にしたと。予告ではモンスターを出さなかったので、ボクはてっきり2つのうちのもう1つの史実の方だと思っていた。いかにも中国っぽい話かなと。ところが、実際には中華の味付けをしたSF的ウエスタンだったと。

 でも、やっぱり映画は絵だなあと。お金がかかっているし、見る価値がある。贅沢な絵。何万もいるようなモンスターはCGとしか思えないが、多数の軍勢やら、「塔の上のラプンツェル」(Tangled・2010・米)的なランタン飛ばしは見事としか言いようがない。見とれる。絵のパワーが半端ない。軍も兵科ごとに鎧などが色分けされており、これがまたきれい。黄色の虎軍、赤の鷲軍、紫の鹿軍、黒の熊軍、青の鶴軍だそうで、劇中では西洋人2人が黒は歩兵部隊、赤は弓部隊、青は槍部隊などと説明している。

 主役のウィリアムはマット・デイモン。やっぱり「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」(Good Will Hunting・1997・米)がこの人をスターにのし上げたのだろう。いろんな作品にでているが、「ボーン・アイデンティティ」(The Bourne Identity・2002・米/独/チェコ)シリーズはやっぱりボクは第1作のみだなあ。つい最近「ジェイソン・ボーン」(Jason Bourne・2016・英/中/米)に出ていたけど。「アジャストメント」(The Adjustment Bureau・2011・米)や「エリジウム」(Elysium・2013・米)、「オデッセイ」(The Martian・2015・米/英)などSF系が良い気がする。

 相棒のトバールはペドロ・パスカル。どこかで見た顔だなあと思ったら、「メンタリスト」や「グレイスランド」などの多くのTVドラマに出ていた。映画はあまりない模様。いい雰囲気だったので今後、映画出演も増えるかも。

 捕らわれている西洋人バラードはウィレム・デフォー。最近は不気味な人物にピッタリのイメージとなってきた。「ストリート・オブ・ファイヤー」(Streets of Fire・1984・米)のレイヴェンが強烈すぎて、さらには「プラトーン」(Platoon・1986・英/米)も衝撃的だった。ボク的には「処刑人」(The Boondock Saints・1999・米/加)のエキセントリックな女装のFBI捜査官約が最高だった。「シャドウ・オブ・ヴァンパイア」(・2000・)の吸血鬼も凄かったけど。最近は「ジョン・ウィック」(John Wick・2014・米)の先輩殺し屋とか、「ファインディング・ドリー」(Finding Dory・2016・米)のギルの声をやっていた。

 中国側キャストでは、女性のみの青の鶴軍リーダー、リンはジン・ティエン。本作では中国側の主役といっても良い立場。つい最近「キングコング:髑髏島の巨神」(Kong: Skull Island・2017・米/中/豪/加)にもでていたが、あれはアリバイ付く利敵な出演で、セリフも少なく、存在感0だったのに。過去には「ポリス・ストーリー/レジェンド」(Ging chaat goo si・2013・中/香)でジャッキーの娘役を、「スペシャルID特殊身分」(Special ID・2014・中/香)は見ていないのでわからないが、中国警察の刑事を演じていたらしい。本作ではオーディションで役を勝ち取り、3ヶ月間アメリカに住んで1日12時間の英語の特訓でしゃべれるようになったらしい。すごいなあ、役者魂の塊。それが「キングコング」で生かされなかったのは残念。

 ワン軍師はアンディ・ラウ。香港映画なら主役を張るスターなのに、本作はイマイチの感じ。声も吹替だったような。いろんな作品に出演し、プロデュース作品も多いが、過去にはチャン・イーモー作品「Lovers」(Shi mian mai fu・2004・中/香)にも出ている。ボク的には「マッスルモンク」(Daai zek lou・2003・香/中)なんか好きだなあ。ちなみに「インファナル・アフェア」(無間道・2002・香/中)で演じた役を、マット・デイモンがハリウッド版リメイク「ディパーテッド」(The Departed・2006・米/香)で演じている。

 黒の熊軍の新兵ポン・ヨンはルハン。EXO・EXO-Mのメンバーとしてデビューし、その後、独立したんだとか。新兵らしい雰囲気が見事で、実に良い役。途中でいなくなるキャラはやっぱり印象に残る。「見えない目撃者」(Wo shi zheng ren・2015・中)にローラースケートの目撃者で出ていた。

 原案はマックス・ブルックス、エドワード・ズウィック、マーシャル・ハースコヴィッツの3人。マックス・ブルックスは「ワールド・ウォーZ」(World War Z・2013・米)の原作小説を書いた人。エドワード・ズウィックといえば「ラストサムライ」(The Last Samurai・2003・米/ニュージーランド/日)の監督・製作・脚本を務めた人。マーシャル・ハースコヴィッツは監督で、プロデューサーでもあり「ラストサムライ」の製作と脚本を手がけている。

 脚本は、

【ただいま執筆中。少々お待ちください】


 公開3日目の初回(といってもお昼頃だが)、新宿の劇場は全席指定で、金曜日にムビチケカードで確保。当日は30〜40分前に着いたら、すでに残席わずかの表示。10分前くらいに開場となって、場内へ。若い人から中高年まで、意外と幅広い。男女比も半々くらい。下は父に連れられた中学生くらいの女の子。これはマット・デイモンの力か。最終的には117席はほぼ全て埋まった。キャパ、ちっちゃ。ここでの上映は4/27までとか。短(みじか)!

 始まるまでケータイゲームをやっていたヤツが3人くらい。画面が光ってとても目障り。気になった予告編は…… ボストン・マラソンの爆破テロの実話を描いた四角の枠付き「パトリオット・デイ」は、これから公開される「バーニング・オーシャン」と同じマーク・ウォールバーグとピーター・バーグ監督の顔合わせ。2016年製作と2017年製作で、どちらも実話と。こちらは6/9公開。

 枠付き「ローガン」は新予告に。おもしろそう。6/1公開。

 枠付き「スプリット」は面白そうなのだが、あのM・ナイト・シャマラン監督作品。誘拐犯が人格分裂で、23人の人格をジェームズ・マカヴォイが演じるらしいが……。5/12公開。

 枠付きの「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」はちょっと長いバージョン。日本語のナレーションがお笑いに走っちゃっていて、ダメ映画のサインのような……大丈夫だろうか。前作は良かったけど。5/12公開。

 あとはだいたい同じ作品の予告。暗くなって映画泥棒の後、フルスクリーンで本編へ。


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