2017年4月29日(土)「無限の住人」

2017・ワーナー・ブラザース映画/テレビ朝日/講談社/Recorded Picture Company/CJ Entertainment Japan/OLM/研音/GYAO・2時間21分(IMDbでは140分)

シネスコ・サイズ(デジタル?)/表記なし(ドルビー・デジタル?)

(日PG12指定)(一部日本語字幕、英語字幕上映もあり)

公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/mugen/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

主である旗本と護衛の6人を斬って賞金首となった万次(まんじ、木村拓哉)は、賞金稼ぎの司戸菱安(しどひしやす、金子賢)に妹の町(まち、杉咲花)を目の前で斬り殺され、100人の手下達と斬り合い、片手、片目を失い、顔も斬られ、瀕死の重傷を負う。と、そこへ八百比丘尼(やおびくに、山本陽子)と名乗る謎の老婆が現れ、血仙蟲(けっせんちゅう)という寄生生命体を万次の体内に入れたことで、傷口が治り、腕がつながり、ほぼ不死身の体となる。50年後、町にソックリな無天一流の道場の娘、浅野凛(あさのりん、杉咲花)は、道場破りに現れた逸刀流(いっとうりゅう)の統主、天津影久(あのつかげひさ、福士蒼汰)によって道場主の父を殺され、母も陵辱された上行方不明となる。1人放され、復讐を誓う凛の前に八百比丘尼が現れ、絶対にくたばらない男を探して用心棒して雇えと告げる。

75点

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 血まみれのスプラッター的アクション。腕が飛び、足が飛び、胴体が真っ二つにされる。あちこちに血が飛び、血だらけ(それでも主人公だけは出てくるたびに「万」の着物はきれいになっている。何着持っているんだよ)。物語は悲惨で、哀しく、涙を誘う。結構キザな決めゼリフもあるが、現代語的な乱暴な口調で語られるので、その感じは薄められている。なので、さらりと染み込んでくる。ちょっとカッコ良い。ただ、バイオレンスは強烈で、悪党も強烈なので、ちょっと胸糞が悪くなるが……。

 印象としては、同じ三池崇史監督の「十三人の刺客」(2010・日)+「るろうに剣心」(2012・日)という感じ。原作は読んでいないので、予備知識もなく、違和感とかまったくなし。かえって、これが良かったのかも。結構楽しめた。

 画調はコントラストが強く、力強い絵。色も濃いが、解像度はちょっと低くて粗い感じ。そして何より暗くてよく見えない。暗い劇場内でもよく見えないのだから、これはやり過ぎでは。予告ではこんなに暗くなく、もっときれいな明るい絵だったので、雰囲気に合わせて調整したのだろうが、絵が汚くなっては本末転倒では。昔のアナログ・コピー機で何回もコピーしたみたいな。よくある浅いコントラストのいかにも日本映画的な画調よりは良い気はするけど……。せめて「るろうに剣心」くらいにして欲しかった。

 構成的にはモノクロで始めて、不死身の体になると色が付いてタイトルが出るというもの。モノクロのアバンがちょっと長すぎる気もするが、なかなか鮮やかで印象的な導入。うまい。それでも、本当にロウソク1本で撮ったのか、暗過ぎ。肉眼ではもっと明るく見えているはず。それを表現して欲しかった。スタンリー・キューブリックの「バリー・リンドン」(Barry Lyndon・1975・英/米/アイルランド)的な演出なのかもしれないが、肉眼の感覚でやって欲しかった。まさかフィルムで撮ったとか? いやいや「バリー・リンドン」こそフィルム撮りだ。最も明るいレンズとそれを取り付けるカメラのカスタマイズ、そして増感処理、いろいろ実験を重ねたらしい。本作は?

【ただいま執筆中。少々お待ちください】


 公開初日の初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜にムビチケカードで確保。当日は着いた時はノー・マークだったが、トイレに行ったりしていたら、いつの間にか残り座席わずかになっていた。20分前くらいに開場し、観客層は若い人から中高年まで幅広く、最初は17〜18人いて、女性は5〜6人。若い女性が多い感じ。最終的には男女比4.5対5.5でわずかに女性が多い印象で、122席ほぼすべて埋まった。キャパが小さいので、話題作としては当然か。

 気になった予告編は…… ハリウッド・トピックスで左右マスクの「トランスフォーマー最後の騎士王」8/4公開と、四角の枠付き「スパイダーマン:ホームカミング」8/11公開、枠付き「ダンケルク」9/9公開、枠付き「猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)」10月公開(公式サイトはまだない模様)、DCコミックのヒーローを集めた左右マスクの「ジャスティス・リーグ」11/23公開というラインナップ。

 エグザイルの時代劇、枠付きの「たたら侍」はやや違和感を感じないでもないが、ヒップホップ的なものではなく、鉄をめぐるお話で本格的なものらしい。5/20公開。

 左右マスクの「ナラタージュ」は行定勲監督のラブ・ストーリーとか。10/7公開。

 枠付き「亜人」はいよいよ実写化。マニアの多いものは、きっとまた賛否両論だろう。主演は佐藤健。かなり銃撃戦なんかも多いようだ。期待していいかな? 9/30公開。

 左右マスクの「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」はラブ・コメディとか。なんだ、これ? 妻夫木聡と水原希子の顔合わせ。9/16公開。

 枠付き「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない第一章」はこれまたコミック原作作品。若い人向けで、中高年も見られるかは微妙な感じ。何部作かになるのか、タイトルが気になる。前後編や三部作などの邦画はだいたい……不安。8/4公開。

 枠付き「22年目の告白-私が殺人犯です-」は新予告に。徐々に内容が明らかになってきた。6/10公開。

 枠付き「LOGAN/ローガン」も新予告に。面白そう。6/1公開。

 枠付き「鋼の錬金術師」もコミックからアニメを経て実写へというパターン。なかなか面白そうだが、はたして。監督は「ピンポン」(2002・日)の曽利文彦、主演は山田涼介。12/1公開。

 もう1回「たたら侍」の予告をやった後、暗くなって、映写機のマスクが左右に広がって、映画泥棒のあと本編へ。


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