2017年5月15日(月)「パーソナル・ショッパー」

PERSONAL SHOPPER・2017・仏/独・1時間45分

日本語字幕:細丸ゴシック体下、川俣勝利/シネスコ・サイズ(テクニスコープ、Panavision)/ドルビー・デジタル

(独12指定、米R指定)

監督:オリヴィエ・アサイヤス
脚本:オリヴィエ・アサイヤス
撮影:ヨリック・ル・ソー
出演:クリステン・スチュワート、シグリッド・ブアジズ、ほか


公式サイト
http://personalshopper-movie.com
(全国の劇場リストもあり)

双子の霊媒のモウリーン(クリステン・スチュワート)は、3ヶ月前に兄に先立たれていた。生前、先に死んだ方が残った方にサインを送るという約束をしていたため、それを確認するまでパリを離れることが出来ないでいた。そして生活のため、有名セレブ、キーラ(ノラ・フャン・ヴァルトシュテッテン)のパーソナル・ショッパーとして、パーティー用のドレスやアクセサリーを買ったり借りたりする仕事をやっていた。そんな時、兄夫婦が住んでいた家を売りに出すというので、その前に兄からのサインを受けたいとモウリーンは1人で空き家となった家に泊まると、何やら霊のようなものの存在を感じる。そして、携帯電話にUnknownユーザーから「お前を知ってる。お前もオレを知っている」と、メールが届くようになる。


70点

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 長い。ほとんど何も起きず、出来事はたった1つで、TVの1時間番組ですみそうなところを、冗長にダラダラと描いている。せっかくハリウッド的に面白いネタなのに、フランスらしい切り口で見せてくれるのかと思いきや、退屈な作品にしてしまった。見どころは、主演のクリスティン・スチュワートの美しい胸のみ。しかも映画は根本的な解決なし。ファッション業界なんて関係なく、やりっぱなし。残念。眠い!

 とにかく胸が出たところで、ほかの全てが吹っ飛んでしまう。絵としての力があり過ぎ。ボリュームはないが、確かに美しい。男性観客にはインパクトがありすぎて、それまでのミステリアスな雰囲気も、ホラーな雰囲気も、一気にエロティックな雰囲気に。しかも2回とも物語上の必要性はなく、単に監督がクリスティンを裸にしたかったのではないかと。しかもクリスティンはずっと仏頂面で、ジャンキーみたいな印象。せっかくの美人が、もったいない。

 これでカンヌの監督賞とは!? まったく信じられない。起承転結で作られない作品も多いが、これは起承転までで結なく終わる感じ。はじまりはハリウッド的だが、説明が細切れでバラバラ、なかなか事情が飲み込めない。日本人的には名前もすぐ覚えられないし、ハリウッド映画に慣れてしまった観客はイライラすることに。ハリウッドなら5分か10分で説明しきるだろう。とにかくどういう状況なのか、誰が誰でどういう関係なのか、後半になるまでわからない。しかもメールしていた相手とか、霊の正体とか、主要な謎を全て残して終わる。それに部屋にあったカルティエのジュエリーはどうしたんだよ? そこを省略するより、もっと省略するところがあるだろう。理解に苦しむ。

 物語の展開にメリハリがなく、緩急なしでおそろしく単調。それなのに、物語に関係のない買い物のシーンとか、スクーターのシーンとか、余計なところが意味あり気にじっくり撮られていて長い。それでいて、本来掘り下げるべき家にいた霊の正体とか、付いてきた霊とかの正体はまったく探ろうとしない。普通、いろいろ調べるだろ。しかも主人公は霊媒なんだから! 何のための設定か。どこが監督賞なんだろう。カンヌかあ……。突っ込みたいところがいっぱい!

【ただいま執筆中。少々お待ちください】


 公開4日目の初回、新宿の劇場はお昼近くの初回、15〜16分前に開場。平日の観客層もやはりメインは中高年。ただ男女比は4.5対5.5くらいでやや女性の方が多く、オバサンが目立っていた。ギリギリに若い男女も少し増えて、彼らは比較的時間が自由になる大学生か。最終的には117席に50から55人くらいの入り。平日であることを考えると、上々なのかも。これから増えるとは思えないが。

 気になって予告編は…… 四角の枠付き「三度目の殺人」は、映画オリジナル・ストーリーらしい。監督は是枝裕和、福山雅治、役所広司という顔合わせ。どうだろ。9/9公開。

 枠付き「関ヶ原」は同じ予告だが、とにかくキャラの見た目が立っててスゴイなあと。クセが強い! 気になる。主演は岡田准一。8/26公開。


 枠付き「ジョン・ウィック:チャプター2」はとにかくアクションがスゴイ。キアヌ・リーブスのC.A.R.っぽい射撃テクニックの見事さ。とにかく速い。すばらしい。さて、映画としてはどうか。7/7公開。

 枠付き「ハクソー・リッジ」はメル・ギブソン監督作品で、予告では日本兵は出てこないが、敵は日本兵の太平洋戦線の話。九七式手りゅう弾っぽいものが出てくる。ハクソーとは金ノコのことで。リッジは尾根みたいなところとか。6/24公開。

 だいたて見慣れた予告が続いて、暗くなって映写機のマスクが左右に広がり、シネスコ・サイズになって映画泥棒のあと本編へ。


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