2017年6月3日(土)「花戦さ」

2017・東映/木下グループ/東映ビデオ/竹田本社/エネット/たねや/エスカワゴエ/ANA/朝日新聞/日本出版販売/デスティニー・2時間07分

ビスタ・サイズ(デジタル?、表記無し)/ドルビー・デジタル?(表記無し)

(UDCast視覚障害者用音声ガイド付き、一部日本語字幕付き上映もあり)

監督:篠原哲雄
原作:「花いくさ」鬼塚 忠(角川文庫)
脚本:森下佳子
撮影:喜久村徳章
出演:野村萬斎、佐藤浩市、市川猿之助、ほか


公式サイト
http://www.hanaikusa.jp
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

京都、頂法寺六角堂には聖徳太子が身を清めたという池の跡があり、その池のほとりに僧侶の住坊があったことから「池坊」と呼ばれるようになった。そして六角堂の住職は代々、仏前に花を工夫して供えるようになり、「いけばな」として広く知られるようになった。1573年、織田信長の要請でいけばなを披露することになったが、執行(しぎょう)の命により専好(せんこう、野村萬斎)が岐阜城に向かう。そこで成功を収め、千利休(佐藤浩市)、豊臣秀吉(市川猿之助)、前田利家(佐々木蔵之介)らと出会う。天正12年(1584年)、専好は執行となり、ある日、河原で行き倒れとなっている少女(森川 葵)を見つけ、寺へ連れ帰るが、まったく声を発しようともしなかった。しかし絵の才能があるらしいことがわかり、知り合いの尼僧(竹下景子)に預けることにする。そんな時、すでに高名な茶家となっていた千利休から茶を振る舞いたいと声がかかる。


70点

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 華道が好きな人には良い映画かも知れないが、それ以外の人には向かないかも。シリアスものに野村萬斎というか狂言師は向かないのではないか。ギャグのような部分もあることはあるが、笑っていたのは一部のおばあさまのみで、なかなか笑えるものではなく、メインのシリアスな部分とのバランスが悪く浮いていた。しかも、印象的には全体の2/3がほとんど何も起こらず単調で、たいくつ。ちょっとした伏線となっていることが後で判明するものの、長いし、なくても良かったような感じ。歴史の説明的パート。飽きてきて、眠くなった。ラスト1/3ほどがドラマになり、ようやく映画らしくなる。そんなわけで、なかなか物語に入って行けなかった。

 もともと見る気はなく、前売り券も買っていなかったのだが、時間があって、ポイントがたまっていたので見たため、評価が厳しくなってしまうのかもしれないが……。

 それにしても演出というか作りが古くさい感じ。特に冒頭部はわざとらしい展開で、どうにも作り物の時代劇的雰囲気。しかも、主人公が少々魯鈍なのか、サヴァン症候群的なのか、人の名前も良く覚えられない感じなのに生け花では天才的で、ラストは秀吉の前で堂々と難しい話をスピーチしたりと、どういうキャラクターなのか理解しづらい設定。しかもほとんど顔面芸になっているし、大げさ。舞台なら良いのかも知れないが、映画はアップが出来るわけで、これは辛いなあと。

 登場人物の多くは、何がおかしいのか、良く笑う。何なんだろう。よくわからない。そして謎の少女的な「れん」は、あえて必要ないような中途半端なキャラクターだし、ちょい役に有名俳優を使っているために存在感が出てしまってとてもバランスが悪い。ラストのファンタジー・シーンも、悲惨な話を和らげる目的だったかも知れないが、余計だったかなと。

 ただ、生け花は素晴らしい。まったく門外漢のボクでも美しいと感じた。そして殿様の衣装は超豪華で、画質も、最新のデジタルらしく解像度が高く、色も浅くなく濃くなくそれでいてしっかり出ていた。見事な高画質。邦画もここまできたかと思うくらい。

 

【ただいま執筆中。少々お待ちください】


 公開初日の初回、見る予定はなかったが急きょ見ることに。日本橋の劇場は全席指定で、金曜に貯まったポイントで確保。当日は20分前くらいに開場。観客層は中高年の高寄りで、それもオバサン達。まあ時代劇でこのテーマなら当然かと。後半、男も少し増えたものの、男女比は3対7で女性が多かった。そして最終的に213席はほぼ満席近い9.5割くらいの入り。この作品でこんなに入るとは意外。今後はどうだろう。

 気になった予告編は…… 四角の枠付き「ナミヤ雑貨店の奇蹟」は新予告に。東野圭吾原作で2012年に発売され、全世界累計500万部超のベストセラーとか。でも過去からの手紙って、やっぱり韓国映画の「イルマーレ」(Il Mare・2001・韓)を思い出してしまうなあ。9/23公開。

 枠付き「ダンケルク」も新予告に。イギリス軍40万人がヨーロッパ大陸から撤退する話だが、感動の話にできるのか。予告では「史上最大の救出劇」と言っていたので、なるほど撤退じゃなく救出なのかと。あれ、トム・ハーディはイギリス兵か? 9/9公開。

 枠付き「君の膵臓をたべたい」は「ラスト、きっとこのタイトルに涙する」というキャッチ。それどころか、予告だけで泣きそうになるほど。これはヤバイかなと。7/28公開。

 枠付き「心が叫びたがっているんだ」は劇場版アニメの実写化らしい。7/22公開。

 左右マスクの「いつまた、君と」は実話らしいが、なんだか「ALWAYS 三丁目の夕日」(2005・日)的な雰囲気。どうなんでしょう。6/24公開。

 暗くなって、映画泥棒のあと、映写機の左右マスクで波が岩で砕ける東映マークから本編へ。


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