2017年6月17日(土)「ある決闘-セントヘレナの掟-」

THE DUEL・2016・米・1時間50分

日本語字幕:丸ゴシック体下、小寺陽子/シネスコ・サイズ(デジタル?、表記無し)/音響:公式サイトではDCP5.1ch(表記無し)

(米R指定、日PG12指定)

監督:キーラン・ダーシー=スミス
脚本:マット・クック
撮影:ジュールズ・オロフリン
出演:ウディ・ハレルソン、リアム・ヘムズワース、
   アリシー・ブラガ、ほか


公式サイト
http://arukettou.com
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

1886年、アメリカ・テキサス州とメキシコの間の国境を流れるリオ・グランデ河に何体ものメキシコ人の死体が流れ着く。そしてメキシコのカルデロン将軍(ホセ・ズニーガ)の姪が行方不明になっていたこともあり、ロス州知事(ウィリアム・サドラー)が捜査に乗り出すが、エイブラハム・ブラント(ウディ・ハレルソン)というカリスマ的説教師が牛耳る上流の町マウント・ハーモンが怪しいとしかわからなかった。そこでテキサス・レンジャースのデヴィッド・キングストン(リアム・ヘムズワース)に潜入調査を命じる。ところが、いつまで続くかわからない任務に、デヴィッドの妻マリソル(アリシー・ブラガ)は、自分も同行すると言ってきかず、しかたなく2人で辺境の町を目指すことにする。


74点

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 びっくりするほど暗い話だが、ホラーのような怖さがあって、ミステリーのような謎と、気分が悪くなるほどの暴力であふれていて、きわめて映画的でもある。やっぱり、法律が行き届いていないアメリカ開拓時代の辺境の地では、その地に住むものが勝手なルールを作って独特の王国のようなものを築いていたかもしれない。それをリアルに描くと、こういうことになるんだろうと。とにかく恐ろしい。こんな時代に生まれなくて良かったと、つくづく思う。ボクは生きられない。

 ただ、西部劇としてはちょっと異色かもしれないが、話の構成としては良くあるパターン。孤立した閉鎖コミュニティーの異様さは、「ヴィレッジ」(The Village・2004・米)とか「コロニア」(Colonia・2015・独/仏/ルクセンブルク/英)でも描かれているし、知事や大統領の特命で調査・潜入というのは、西部劇以外はもちろんのこと西部劇でも、残念なSF「ワイルド・ワイルド・ウエスト」(Wild Wild West・1999・米)とか、たくさんある。そして、どんでん返しのネタも良くあるパターン。そのせいなのか、IMDbではわずか5.7点。

 銃はSAAの3種のバレル長に、ウインチェスターM73カービンなどがほとんど。シェリフのオフィスのガン・ロッカーにはスプリングフィールドM1873トラップドアがしまわれていて、思わせぶりにゆっくりと装填して見せるが、以降まったく使われない。デヴィッドはシェリフとして有鶏頭の水平二連ショットガンも持ち出すが、基本SAAの2挺拳銃。エイブラハムはシルバーのS&Wのスコフィールドを使う。

 銃声は高くて大きくて、とてもリアル。怖い。暴力的でもあるが、それより怖い。ドキッとする。そしてナイフが怖い。どっちも怖いが、やっぱり刃物は肉がスッと切り裂かれる感じがたまらなく怖い。ゾッとする。

 公開8日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜に紙の前売り券で劇場まで行って座席を確保。電車賃を考えると当日券と変わらないことに。しかもいってくる時間を考えると……。当日は10分前くらいに開場。案内のアナウンスはなく、スクリーン前まで行ったら開いていた。最初はオヤジが10人くらい。最終的には69席に20人くらいの入り。女性は4〜5人で、若い人はいなかった。西部劇は見ないか。


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