2017年6月18日(日)「怪物はささやく」

A MONSTER CALLS・2016・英/西/米・1時間49分(IMDbでは108分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、藤沢睦美/シネスコ・サイズ(デジタル、Arri)/ドルビーATMOS(IMDbではドルビー・デジタル)

(米PG13指定)

監督:J・A・バヨナ
原作・脚本:パトリック・ネス(「怪物はささやく」あなろ書房刊)
撮影:オスカル・ファウラ
出演:ルイス・マクドゥーガル、シガニー・ウィーバー、
   フェリシティ・ジョーンズ、トビー・ケベル、    リーアム・ニーソン(声)ほか


公式サイト
http://gaga.ne.jp/kaibutsu/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

難病のシングル・マザー(フェリシティ・ジョーンズ)と暮らす13歳の少年コナー(ルイス・マクドゥーガル)は、母が近くの教会の墓地に飲み込まれる悪夢に悩まされていた。学校では先生が腫れ物に触れるような扱いで、いじめっ子グループにはいじめられていた。そして母と8mm映写機でモノクロの古い映画「キングコング」を見た夜、12時06分から07分に変わるとき、近くの教会の墓地に生えている巨木のところから木の巨人が現れてコナーの部屋に侵入、これから3つの真実の物語を語ると言う。そして語り終えたら、お前が4つめの物語をしろと。その翌日、祖母(シガニー・ウィーバー)が現れて、母が新しい治療で入院することになったので、コナーは祖母と暮らすことになったと告げられる。しかし祖母は非常に厳格な人で、コナーの行動に細かくいちいちダメ出しをし、コナーとの相性が悪かったことから、コナーはますます追い詰められて行く。


76点

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 辛くて、悲しいファンタジー。幼い少年の母が死に至る病(がん?)で、両親は離婚しており、とても厳格で主人公とはまったく相性の悪いイギリス人の祖母が少年を引きとろうとしており、学校ではイジメに遭っているという、子供としてはこれ以上考えられないくらい悲惨な状況。

 こんなとき、子供は「イマジナリー・フレンド」というものを作るのだろう。しかも本作のそれは長く生きてきた大きな木の妖精のような怪物。大きくて猛々しい外見ながら、実は父性を秘めているという感じの複雑なキャラ。だから声をリーアム・ニーソンにしたのだろう。

 ただ、怪物が言うことはなかなか理解が難しかった。ハッキリ言って良くわからない。3つのおとぎ話を現れるごとにしてくれるのだが、どれも悲惨な話で、救いはない。教訓はあるんだけど……。そして4話目は少年に自分の話をしろという。物語すべても救いはなく、リアルな現実世界にありがちなエンディングを迎える。おとぎ話でも何でもないのではないか。実は怖いおとぎ話、ということだろうか。

 役者が名優ぞろいで、説得力ある演技。特にフェリシティ・ジョーンズの母親が良い。しかも出てくるたびに痩せ衰えて行く感じは見事。放射線治療なのか、短い髪になり、しかも白髪なのかとら刈りなのか、悲惨な髪形になっているのもリアルでショックだった。名優たちがより悲惨さを盛り上げてくれる。子役の新人ルイス・マクドゥーガルも絶妙に巧い。みんな説得力、あり過ぎ。これは辛い。曲は優しかったけど。



【ただいま執筆中。少々お待ちください】


 公開10日目の2回目、有楽町の劇場は全席指定で、金曜にムビチケカードで確保。当時は22分前くらいに着いたらすでに開場していた。観客層は若い人から中高年まで幅広かった。最終的には183席に7割くらいの入り。これはなかなか。男女は比は4.5対5.5くらいで、やや女性のほうが多かった。まあ、そういう映画かも。


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