2017年6月21日(水)「こどもつかい」

2016・松竹/木下グループ/ジェイストーム/日本テレビ/講談社・1時間49分

ビスタ・サイズ(デジタル?、表記無し)/音響:表記無し(ドルビー・デジタル?)


監督:清水 崇
脚本:ブラジリィ・アン・山田、清水 崇
撮影:ふじもと光明
出演:滝沢秀明、有岡大貴、門脇 麦
   西田尚美、ほか


公式サイト
http://kodomo-tsukai.jp
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

ある団地で、母親の虐待を受けていた幼い少女が失踪、3日後にもどってくるとその母親が不審死するという事件が発生する。似たような事件が連続していたため、「トミーの呪い」という都市伝説が女子中学生を中心に広まっていた。三多摩新聞の新人記者、江崎駿也(えざきしゅんや、有岡大貴)は取材を進める内、失踪からもどった子供たちが妙な歌を歌っていたことを突き止め、それを書き取ると解析を始める。ちょうどその頃、駿也の恋人で同棲中の、あげは保育園の保育士、原田尚美(はらだなおみ、門脇麦)は、親が迎えに来ない男の子、笠原蓮(かさはられん、中野遥斗)君を、本当のママが帰るまでママになってあげると約束して、自宅に連れ帰る。ところが翌日、蓮君のママが自宅で自殺した状態で発見される。


70点

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 うむむ、あまり怖くなかった。これは……ホラーと笑いは紙一重のところがあって、怖がらせるのを失敗すると笑いを起こしてしまうことも。本作はいろんなところの微妙なバランスがよろしくないようで、思わず笑ってしまうところも。

 怖いというより、滑稽な「こどもつかい」というキャラクターがよろしくない。まるでピン芸人のゴージャスのようなビジュアル。帽子には枯れ枝のようなものが生えていて、「ハーメルンの笛吹」の笛に相当するラッパにはぬいぐるみのような毛が生えている。笑った。これは悪い冗談か。

 そして、何より突然の大きな音で脅かす系というのは、怖いんじゃなく、ビックリではないか。ビジュアルも霊とか何かというより、いかにもメイクという感じのもの。白い顔に目の回りが黒っぽいパンダ・メイクで、瞳のない真っ白の目、長いつけまつげ、顔への線画……。このレベルではなあ。しかも最初からクッキリ、ハッキリ登場するから、笑ってしまう。おいおい、ジャングルジムの上って、子供か! せめて導入部では煙的でハッキリしないとか、見間違いかとも思えるようなはかない存在の方が受け入れやすいのに。物語が進んで、盛り上がってきたら、線画メイクでも、クッキリハッキリ登場でもちっともかまわないのだが。この辺のバランスがよろしくないような。

 さらに言うと、人間と人形では、勝手に動く人形の方がずっと怖い。だから、前半は人間で登場して、クライマックスに近くなると人形になるのではなく、逆にほとんど人形で登場し、クライマックスだけ人間になった方が怖かったのではないだろうか。まあ人形というパターンも「チャイルド・プレイ」(Child's Play・1988・米)のチャッキーとか、「死霊館」(The Conjuring・2013・米)の呪いの人形など、たくさんあって、どうすれば怖いかわかっていると思うのだけど、あえて逆手に取ったのだろうか。どうもバランスが悪い気がする。

 バランスで言えば、児童虐待のインパクトが強すぎて、ホラー感が余計に薄れた感じ。確かに恨みの度合いを強くしなければ説得力が出ないから、「起」の部分は強くしなければならないのだが、やはりバランスが…… 逆に言えば普通のドラマ部分は説得力があって、なかなか素晴らしい。けれど観客が期待しているのはホラーの部分のはず。

 色調は、場面によって「黄色」「赤」「緑」「青」などを使っているが、ちょっと使い過ぎで分かりにくい。しかも現在の映像でも黄色っぽく、解像度が高くない感じ。これはどうしたことだろう。

【ただいま執筆中。少々お待ちください】


 公開5日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、前日にムビチケカードで確保。当日は10分前くらいに開場。ほぼ中高年で、最初は8人くらいで、女性が2人。その後女性も増えて、最終的には287席に20人くらいの入り。男女比は5.5対4.5くらいでやや男性が多いくらい。まあ、平日はこんなものだろう。


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