2017年6月25日(日)「ハクソー・リッジ」

HACKSAW RIDGE・2016・豪/米・2時間19分

日本語字幕:丸ゴシック体下、齋藤敦子/シネスコ・サイズ(デジタル、IMDbではデジタル、Panavision、Arri、Red)/ドルビーATMOS(IMDbではドルビー・デジタル、ドルビー・サラウンド7.1も)

(米R指定、日PG12指定)

監督:メル・ギブソン
脚本:ロバート・シェンカン、アンドリュー・ナイト
撮影:サイモン・ダガン
出演:アンドリュー・ガーフィールド、サム・ワーシントン、
   ヒューゴ・ウィーヴィング、ヴィンス・ヴォーン、ほか


公式サイト
http://hacksawridge.jp
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

第一次世界大戦の英雄でアル中の父トム(ヒューゴ・ウィーヴィング)に反発し、信心深い母バーサ(レイチェル・グリフィス)に育てられたデズモンド・ドス(アンドリュー・ガーフィールド)は、ある日、自動車の下敷きになった男を助けて病院に付き添い、看護師のドロシー・シュッテ(テリーサ・パーマー)と出会い、恋に堕ちる。しかし第二次世界大戦が激化し、弟のハル(ナサニエル・ブゾリック)が志願すると、デズモンドも志願する。幼い頃から山登りなどして鍛え体力には自信があったが、射撃訓練では銃に触れることを拒否する。上官のハウエル軍曹(ヴィンス・ヴォーン)やグローヴァー大尉(サム・ワーシントン)は除隊することを勧めるが、デズモンドは頑として聞かない。酷いイジメを受ける中、命令拒否に当たるとして軍法会議に掛けられることになるが、父の助けで、衛生兵としての訓練を受けた上で、武装せずに戦場に出ることを許される。1945年、デズモンドはグローヴァー大尉率いる部隊の一員として、沖縄のハクソー・リッジに到着する。


82点

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 強烈な戦争映画。衝撃的でショック。地獄の戦場をリアルに描き出している。1日はがむしゃらにどうにか生き延びたとしても、毎日この地獄が続くわけで、傑作TVドラマ「ザ・パシフィック」(The Pacific・2010・米/豪)のように精神的におかしくなってしまうのは、むしろ当たり前なのかもしれない。本作を見るとそう思わされる。しかも本作は実話で、そんな地獄に銃もナイフも持たず丸腰で衛生兵として参戦し、75人もの人を救ったという。こんなことを出来る人はそうはいない。まさにヒーローで、超人だ。こんな人がいたなんて。

 舞台は沖縄で、沖縄戦は第二次世界大戦でも最激戦とされる1つ。実際の沖縄戦が始まったのは6月20日で、終わったのが6月23日。その翌日にあたる6月24日に、日本で劇場公開されたことになる。映画では、日本軍に関しては、ちょっとしたインチキの場面が1つあるだけで、あとは特に意図を持って描かれていない。単なる敵。それでも、日本人的には辛い場面が多い。敵も味方も、どちらも地獄の中にいるのだ。ただ、ちょっと気になったのは、日本兵が意外とたくましくて、がっちりしていたこと。当時の日本兵は栄養状態が悪く、痩せていたようなイメージがあるのだが。

 とにかく、手が飛び、足が飛び、内蔵が飛び出し、下半身が吹き飛び、首が落ちる。なんという残酷表現。ヘルメットにも弾が当たり、カキーンという金属音がしてヘルメットが飛び、弾くこともあれば、頭に穴があいて、血が噴き出すこともある。この辺のリアルさ、恐ろしさ。気持ち悪くなってくる。これで日本は何でPG12指定なんだろう。子供にはショックすぎると思う。トラウマになってしまうかも。

 ラストに、本人の映像が出る。排除しようとした上官、弟も、生き残ったんだと。ドスは2006年、89歳で亡くなったという。

 たぶん、かなりお金がかかっているのではないだろうか。デジタルを使っているとは言え、エキストラの数も多いだろうし、焦土と化した広い戦場の表現も大変だったはず。艦砲射撃も激しく、スゴイ迫力。やっぱりハリウッドはスゴイ。

 銃は、米軍が一般兵士はM1ガーランド(ブートキャンプではM1カービンという字幕になっていた)、いじめっ子のスミティがBAR、ハウエル軍曹がM3(A1ではない)グリースガン、グローヴァー大尉がM1カービンとガバメント。ほかにM1/A1トンプソン、M1919、M2重機など。自宅では父がS&WのM1917かミリタリー&ポリス。日本軍はたいて着剣した三八式歩兵銃で、九七式狙撃銃、保弾板式の九ニ式重機、九六式軽機、ちゃんと煙の出ていた九七式手りゅう弾など。アーマラーは数人がクレジットされていたが、さすが大作になると多くなるということか。ボスらしいスーパーバイジング・アーマラーはジョン・ボウリング。過去にオーストラリア映画を1本手がけているようだが、ハリウッド作品は始めてのよう。大抜擢か。

【ただいま執筆中。少々お待ちください】


 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、当日は20分前くらいに開場。TCXのATMOSスクリーンでATMOSプリントだったので、ATMOS上映だったかも。別料金を取られなかったので、不明ではあるが。観客層はほとんど中高年で、それも男性メイン。リアルな戦争映画だから当然だろう。最終的には若い人も少しきて、女性は1/4〜1/5くらいに。499席の7.5割くらいが埋まった。さすがアカデミー賞受賞作品。


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