2017年7月30日(日)「東京喰種 トーキョーグール」

2017・「東京喰種」製作委員会・1時間59分

シネスコ・サイズ(デジタル? 表記無し)/ドルビー・デジタル

(『UDCast』方式に対応した視覚障害者用音声ガイド付き、4D上映もあり)

監督:萩原健太郎
原作:石田スイ(集英社「週刊少年ジャンプ」連載) 脚本:楠野一郎
撮影:唐沢悟
出演:窪田正孝、清水富美加、鈴木伸之、
   村井國夫、蒼井優、大泉洋、ほか

公式サイト
http://tokyoghoul.jp
(全国の劇場リストもあり)

はるか昔から人間しか食べることが出来ない種族「喰種(グール)」の存在は知られていたが、喰種対策局(CCG)が組織され、駆逐されて行ったため、喰種は闇に紛れて生きるようになった。そんなある日、大学生の金木研(かねきけん=カネキ、窪田正孝)は、喫茶店「あんていく」で出会った女性、神代利世(かみしろりぜ=リゼ、蒼井 優)とデートするが、リゼは喰種で、帰り道、襲われて重傷を負うも、運良くクレーンに吊られた鉄骨がリゼの上に落下して、九死に一生を得る。そして担当医師の嘉納 明博(かのう あきひろ、岩松 了)が、緊急処置としてリゼの臓器をカネキに移植したことから、カネキは半人間・半喰種として生きることになる。一方、CCGの腕利き捜査官、真戸 呉緒(まど くれお、大泉 洋)と亜門鋼太朗(あもんこうたろう、鈴木伸之)は、喰種から採取した器官を生体兵器として使い、容赦なく喰種を追い詰め駆逐して行く。


71点

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 これまた原作を読んでいないし、アニメ版も見ていないが、なかなか楽しめた。面白かった。ただ、ゾンビじゃないが人を食べる話なので、気持ちよくはない。むしろちょっと不快。

 生きるためには人間を食べるしかないグールと、グールを滅ぼそうとする人間の戦い。原作を読んでいないと、当然、主人公が半グール/半人間となったら、グール側に立つか、人間側に立つことになるんだろうと予測する。グール側に立つと人間に狩られるグールを描き、人間側に立つと凶悪なグールと人間の戦いを描くのではないかと。で、普通は、そしてハリウッド的には、人間側から描き、悪いグールに勇壮に戦いを挑んで行く姿がテーマということになるのだろうが、本作は狩られる側からなので、逃げ隠れする話になっている。しかも人間は強烈な武器を持っていて、グールを根絶やしにしようと襲いかかってくる。ここが面白いところ。想像を超えてくる。モンスターが逃げ、泣き叫び、命乞いする。そして怖い。

 気になるところもあって、河原など大きな音を立てて戦っているのに、通報もされず、警察もやって来ないこと。ファンタジーで、異世界の話といわれればそれまでだが、ある程度のリアリティは必要だろう。大学での戦いもそう。大騒ぎしているのに誰も来ない。そして冒頭、主人公がグールに襲われて風前のともしび状態になった時、なぜ鉄骨が落ちてきたのか。誰かが助けたのなら理解できるが、その後一切触れられていない(と思う。見落としてなければ)。またカネキは半人間・半グールのはずが、ほぼグールで、どこが半人間なのか純粋グールとの違いがわからなかった。

 そして、背中から出てくるグールのしっぽみたいなものとか、触手のようなものとか、羽根のようなものとかの位置が、最初の方はその人物が歩いたりするとずれてしまっていたこと。リアリティーが…… さらには冒頭のシーンのいくつかが、アフレコのようで、どうにもセリフが不自然に感じられた。

 それにしても、清水富美加、良い役じゃないか。おいしいポジション。強く印象に残る。そして喫茶店のマスター、村井國夫も良い。優しく包容力のある父のようなイメージが実に良く出ていた。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、木曜にムビチケカードで確保。当日は15分前くらいに開場。観客層は中高年もいたが、若い人が多く、たぶん半数以上が20代くらいか。男女比は最初半々くらいだったが、次第に女性が増えて4対6くらいに。最終的には580席の6.5割くらいが埋まった。朝一の9時からとしては良いのではないだろうか。さすが話題作。


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