2017年8月27日(日)「関ヶ原」

2017・東宝/アスミック・エース/住友商事/電通/ジェイアール東日本企画/木下グループ/ジェイ・ストーム/朝日新聞社/毎日新聞社/時事通信社/WOWOW/阪急交通社/東急エージェンシー/時代劇専門チャンネル/GYAO/日本出版販売/中日新聞社/コーエーテクモゲームス・2時間29分

シネスコ・サイズ(デジタル、Arri)/ドルビー・サラウンド7.1

(一部英語字幕版もあり)

監督:原田眞人
原作:司馬遼太郎『関ヶ原』(新潮文庫刊)
脚本:原田眞人
撮影:柴主高秀
出演:岡田准一、有村架純、平岳大
   東出昌大、松山ケンイチ、役所広司、ほか

公式サイト
http://wwwsp.sekigahara-movie.com
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

幼くして豊臣秀吉(とよとみひでよし、滝藤賢一)に取り立てられた孤児のサキチは、やがて石田三成(いしだみつなり、岡田准一)として大名となる。そして、今は浪人(牢人)の猛将、島左近(しまさこん、平岳大)を家来に迎え、伊賀のくのいち初芽(はつめ、有村架純)を密偵「犬」として雇う。そんな中、秀吉の体調が思わしくなく、徳川家康(とくがわいえやす、)が影響力を強くしていく。やがて1598年に秀吉が亡くなり、1959年には大老の前田利家(まえだとしいえ、西岡徳馬)も亡くなると、朝鮮出兵から戻った福島正則(ふくしままさのり、音尾琢真)、加藤清正(かとうきよまさ、松角洋平)らが家康にそそのかされ三成を襲う。一計を案じた三成は、あえて家康の屋敷に逃げ込み難を逃れるが……。


76点

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 面白かった。全体の話の流れがわかりやすく、原作本を読んでみたい気になった。そして、できれば関市の真実を知りたいとも。これはやはり司馬遼太郎版「関ヶ原」ということにはなるのだろう。誰を悪人として描くか、誰を中心に描くか。それで話はまったく変わってくるに違いない。

 原田眞人監督・脚本ということで、群像劇になっているのかと思ったが、自分を捨てて天下の平和を願う『良い者』の石田三成VS腹黒い陰謀家『悪者』の徳川家康という位置づけの2人を中心に構成されている。誰が味方し、誰が裏切るか。くせ者の役者揃いで、キャラクターで見せる。キムラ緑子演じる大阪のオバさん的な北政所、滝藤賢一演じる大公こと豊臣秀吉の異常な感じ、役所広司演じる粘着質的な徳川家康、東出昌大演じる優柔武断の小早川秀秋、平岳大演じる顔に大きな傷のある軍師島左近、大場泰正演じる隻眼の大谷刑部、有村架純らが演じるスパイ(密偵)としての伊賀衆……。やはり人物が素晴らしい。唯一存在感がなかったのは、顔見せ的出演の、松山ケンイチ演じる直江兼続。

 そして、アクションとしての合戦シーンも素晴らしい。モブ・シーンは本当に大軍がいるような迫力。血が飛び、首も飛ぶ。かなり残酷な部分もあり、親子連れの観客もいたが、これを小学生の子供に見せるのはいかがなものか。ちょっと刺激が強すぎる気がする。霧や雨、雪など自然もよく描かれ、えに力強さがある。音響も、邦画初ではないかと思われるドルビー・サラウンド7.1で、右後方から声がするなど、立体的に使われていた。ただ、全体に台詞は早口で、しかも昔の言葉で侍口調、これを大声で怒鳴るようにしゃべるので、聞き取れないところが多々あった。まあ、あっても全体の理解に支障はなかったが……。TVのように、日本語にも字幕が必要な感じはあった。

 島左近の顔の傷や、豊臣秀吉を演じた滝藤賢一の老人メイクなどはとてもリアルで良かった。

 銃はもちろん火縄銃で、石田三成は弓ではなくボウガン(石弓)も使っていた。気になったのは、火縄銃は反動を付けて撃っているのに、朝鮮人が操るフランキ砲らしい砲の反動がほとんどないのは気になった。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜にムビチケカードで確保。当日は20分前くらいに開場。プレミアム席が2列もあるシアター。父に連れられた小学生くらいの男の子もぽつぽついたが、あまりふさわしいとは思えないものの、日本ではG指定(つまり誰でも見られる)。歴史好きなお子さんなのだろうか。だいたいは高校生くらいから中高年までという感じ。ただし、30代前半くらいが少ない印象はあった。男女比は6対4くらいで、男性が多かった。最終的には407席の9割くらいが埋まった。すごいなあ。10席2列のプレミアム席は満席となった。P席はプラス1,000円の2,800円なのに! 一度あそこで見てみたい。

 映画泥棒の後、暗くなってフル・サイズで本編へ。


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