2017年9月9日(土)「ダンケルク」

DUNKIRK・2017・英/蘭/仏/米・1時間46分

日本語字幕:手描き書体下、アンゼたかし/2.20(フィルム。65mm、IMAX)(ビスタの少し上下マスクで上映)/ドルビー・デジタル(IMDbではIMAX 6トラック、Sonics-DDPも)

(英12A指定、米PG-13指定)

監督:クリストファー・ノーラン
脚本:クリストファー・ノーラン
撮影:ホイテ・ヴァン・ホイテマ
出演:フィオン・ホワイトヘッド、マーク・ライランス
   トム・ハーディ、キリアン・マーフィ、
   ケネス・ブラナー、ほか

公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/dunkirk/
(全国の劇場リストもあり)

第二次世界大戦が始まって間もない1940年、破竹の進撃を続けるドイツ軍によってフランスの北端ダンケルクに、イギリス軍とフランス軍が追い詰められいた。ハイランダーズ(高地連隊)のトミー(フィオン・ホワイトヘッド)も銃を失って海岸にいた。イギリスでは30万人以上の兵士たちを救うため、民間の小舟も動員し、救出作戦が始まる。遊覧船の船長ミスター・ドーソン(マーク・ライランス)もボランティアとして息子たちと出港する。空軍は、その後の本土決戦に備えて、ファリアー(トム・ハーディ)らわずかのスピットファイアーしか出撃させなかった。そしてドイツ軍の戦車の進軍が止まり、航空機による攻撃が始まる。


74点

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 IMDbでは8.4点の高評価。しかしこれは……歴史の1ページを3つの視点で切り取り、時間軸を少しずつズラして組み合わせたような印象。感動的な作品ではあるものの、日本人にはあまり心に響かないかも。アリルに作るほど、歴史に忠実に作るほど、客観性が出てきて、ドキュメンタリーを見ているような感じになってしまう。だからか、公式サイトにストーリー解説はない。もっと個人的な、矮小な視点で描くと、もっと感情移入できたような気がする。でも、イギリス人にはとても感動的な映画だろう。

 ダンケルクから脱出を図る陸軍のハイランダーズ(高地連隊)の若者トミーの視点。空軍のスピットファイアー・パイロット、ファリアーの視点。救出に向かう民間の遊覧船の船長ドーソンの視点。あえて加えれば、海岸で指揮に当たった海軍のボルトン中佐の視点か。それぞれが重なってくるわけだが、追い詰めるドイツ軍や、一緒に敗走するフランス軍はほとんど描かれていない。それぞれ不安にさせる不協和音的な音楽と、時計のようなせかすようなリズムが当てられている。

 画質は狙いだろうが、かなりザラついていて、あまり高画質とは言えない。フィルムのIMAXカメラで撮ったというのは驚きだ。機動性や、レンズの選択の幅、ライティングなど、かなり制約も大きかったことだろう。そして、音響効果も素晴らしい。遠くからメッサーシュミットのエンジン音が近づいてくる感じや、船の中や扉の裏側でライフルやマシンガンの弾着を聞く感じは、とても臨場感があって恐ろしい。カキンと鉄板を貫通するようなリアルさはぞっとする。そして体が振動するような重低音の重厚さ。

 スピットファイアーやメッサーシュミット、ハインケル、シュツーカはそれどれリアルで実に美しい。空中戦はドキドキハラハラの連続。銃は、ほぼイギリス軍のみで、基本リー・エンフィールド・ライフル、海軍の艦船にはブレン・マシンガン。あと冒頭にはフランス軍のMAS-36ライフルとマシンガンも。イギリス軍パイロットは信号銃も使う。

 公開初日の初回、新宿の劇場は全席指定で、木曜にムビチケカードで確保。当日は20分前くらいに開場。観客層は若い人から中高年までいたが、やはり第二次世界大戦ものになると中高年がメイン。しかも男女比は7対3くらいで男性が多かった。思ったより女性が多かった。最終的には449席に5.5割くらいの入り。後ろのボックス席は見えなかったが、真ん中の9席×2列のプレミア席は半分くらい埋まった。

 大スクリーンのTCXのデモの後、映写機で上下も少しマスクした変形ビスタになって本編へ。

 たぶん下の4D劇場のせいだと思うが、変な振動が伝わってきてちょっと不快だった。


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