2017年9月10日(日)「散歩する侵略者」

2017・日本テレビ放送網/日活/WOWOW/松竹/読売テレビ放送/ポニーキャニオン/ニッポンプランニングセンター/オフィス作/ヒラタオフィス・2時間09分

シネスコ・サイズ(in Panavisionマーク、IMDbではデジタル、Arri)/ドルビー・サラウンド7.1(IMDbではドルビー・デジタルも)


監督:黒沢 清
原作:劇団「イキウメ」舞台『散歩する侵略者』
   前川知大
脚本:田中幸子、黒沢 清
撮影:芦澤明子
出演:長澤まさみ、松田龍平、長谷川博己、ほか

公式サイト
http://sanpo-movie.jp
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

小さな田舎町の郊外で、一家惨殺事件が発生し、女子高校生の娘、立花あきら(たちばなあきら、恒松祐里)が失踪する。そのころ、イラストレーターの加瀬鳴海(かせなるみ、長澤まさみ)のもとに、数日間行方不明になっていた夫の真治(しんじ、松田龍平)がもどってくるが、中身はまったく別人のようになってしまっていた。そして「週刊ワールド」のフリー・ジャーナリスト、桜井(さくらい、長谷川博巳)は一家惨殺事件の取材中、現場で天野(あまの、高杉真宙)と名乗る若者に声を掛けられ、一緒に行方不明のあきらを探すことになる。やがて天野は、若者から自分は宇宙人で、仲間を探していると打ち明けられ、ガイドをしてくれと頼まれるが……。


70点

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 映画を見る前に、原作が舞台の芝居だと知った。これはヤバいかもと思ったら、その通りになってしまった。舞台で面白くても、それが映画で面白くなるとは限らないと。舞台は別なルールあり、観客はそれをわかって見るわけだが、映画は基本そういうルールなしというか、別物なのだ。同じやり方は通らない。だから舞台のファンは楽しめるかもしれない。しかもだらだら長い。

 コメディなのか、現代を皮肉ったものなのか、ホラーなのか、実にわかりにくい。少なくともタイトルから想像されるSFではない。それでもホラーっぽいアバンで期待できるかと思ったのだが、その後の夫婦げんかからしてもはや違う雰囲気。そして、人間のままの自称宇宙人が「地球人から概念を盗んでいる」といったところで「まさかオチは愛じゃないよな」が思い浮かんだのだが、その通りの展開。実に残念。

 展開もわかりにくく、概念的な話ばかり。やはり舞台向きの話。無人機らしい飛行体から発射されるミサイルは威力はとても小さく、至近距離に落ちているのに標的は余裕で走って逃げる。その威力、半径1mもないくらい?

 銃は警察官がニュー・ナンブかS&WのM360Jサクラの2インチ。厚生労働省のスタッフらしいメンバーは、H&KのP2000かP30のようなオートマチックと、ベレッタM12サブマシンガン。銃声は大きく、暴力的で良かった。薬莢もよく舞っていたが……。

 黒沢監督の「CUREキュア」(1997・日)のような白いカーテンの向こうのベッドとか、「クリーピー 偽りの隣人」(2016・日)のような一軒家と惨殺事件とか周囲が暗くなる演出とか、「リアル〜全なる首長竜の日〜」(2013・日)のような女性の絵描き(漫画家、イラストレーター)とか、似たイメージがあちこちにあって、集大成的な感じなのかなあと。

 音はよく回っていたし、クリアだったが、色は浅く日本映画的な画調というか画質。ビデオっぽいというのか。ドキュメンタリー的な演出なのだろうか。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、会員特典を使って木曜の夜にムビチケカードで確保。当日は10分くらい前に開場。ほとんど中高年のそれも男。若い人はわずかで、女性は1割ほど。うむむ、昔の作品のファンだろうか。最終的には301席に4.5割ほどの入り。まあ、こんなものか。

 スクリーンはシネスコで開いており、予告が終わって映写機のマスクが左右に広がってフル・サイズになり、暗くなってマナーCMのあと本編へ。


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