2017年9月23日(土)「スクランブル」

OVERDRIVE・2017・仏/米/ベルギー・1時間34分(IMDbでは93分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、松崎広幸/シネスコ・サイズ(デジタル、Arri、Panavision)/表記無し(ドルビー・デジタル?)

(米PG-13指定)(4D上映もあり)

監督:アントニオ・ネグレ
脚本:マイケル・ブラント、デレク・ハース
撮影:ローラン・バレ
出演:スコット・イーストウッド、フレディ・ソープ    アナ・デ・アルマス、ガイア・ワイス、ほか

公式サイト
http://gaga.ne.jp/scramble/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

ヨーロッパで自動車の窃盗で知られるフォスター兄弟の兄アンドリュー(スコット・イーストウッド)と腹違いの弟ギャレット(フレディ・ソープ)は、あるボスのために、オークションで落札された世界に2台しか残存しないという高級クラシック・カーを強奪する。しかし、落札したのがそのボスのさらに上、マルセイユを取り仕切るボス、ジャコモ・モリエール(シモン・アブカリアン)だったことからすぐに捉えられ、殺されそうになる。しかしマルセイユに手を伸ばそうとしている組織を阻止するため、クラシック・カー・マニアのボス、クレンプ(クレーメンス・シック)の62年型フェラーリ250GTOを1週間以内に盗み出せば、命は助けてやるという。兄弟はアンドリューの恋人ステファニー(アナ・デ・アルマス)も仲間に入れ、彼女のツテから仲間を増やしてチームを作っていくが、モリエールからは監視役のいとこを送り込まれ、さらにインターポールの監視までが付くことになる。


71点

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 なぜ邦題がスクランブルなのかよくわからないが、これは、よくある暴走若者ピカレスク・ロマンの痛快活劇。ドンデン返しは意外で見事だが、全体の構成としてはパターンどおり。その意味で安心して見られるし、落ち込むこともなく、気が滅入ることもない。憎たらしくて恐ろしい敵役も、2人もいるのに、なぜか痛快さが今ひとつ。IMDbでは5.4点という低評価。ただ、クラシック・カーはため息が出るほど美しく、ほれぼれするほどカッコいい。見る価値がある。

 パターンどおり、定石どおりということは、勝負はアクションをどう見せるかと、魅力的な登場人物=キャラクターと、そこから生まれるドラマということなるだろう。だいたい魅力的なキャラを作れるとドラマは勝手に動いていく。本作の場合は、どうもキャラ作りに失敗した気がする。誰もが魅力的でなく、感情移入しにくい。

 やたらしゃべりまくるチンピラみたいな弟、ヒステリックにわめき散らす恋人…… そして演技が下手なのか、演出が悪いのか、冒頭からヘタな学芸会みたいな雰囲気のぎこちなさ。ただ印象の薄い主人公も、ところどころ父のクリント・イーストウッドにそっくりなところがあって、そこは良かった。いっそのこと、父のように口数が少なく、目とか表情で演技するキャラクター、たとえば「ダーティファイター」(Every Which Way But Loose・1978・米)のような感じだったら良かったのに。相棒は出来の悪い弟ではなく、ヒステリックな美女でもなく、動物にしちゃえばもっと魅力的だったかも。

 絵は美しく、アクションも見事で、音も迫力があり立体的でよく回っていた。4D上映は楽しいかもしれない。

 銃はたくさん出てきて、またアップにならないので特定が難しいが、たぶんP2022、上下二連ショットガン、小型のサブマシンガン、G36C、G3っぽいライフル、モーゼルベースらしい高級そうなハンティング・ライフル…… などなど。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、木曜にムビチケカードで確保。当日は20分前くらいにビルが開き、15分前くらいに開場とせわしなかった。観客層はほとんど中高年で、最初は13〜14人のオヤジ中、オバさんが1人。5分前くらいから人が増え出して、全体に高齢者寄りに。最終的には184席に40人ほどで、女性は4〜5人。20代から30代前半くらいの若い人は2〜3人いたろうか。若い人に向いてる映画のような気がするが、まっ、有名俳優が出ていないか。となると映画好きしか見ないと。うむむ。

 マナー広告の後、映写機のマスクが左右に広がってフル・サイズになり、映画泥棒が流れて本編へ。


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