2017年9月24日(日)「ナミヤ雑貨店の奇蹟」

2017・KADOKAWA/松竹/ハピネット/ジェイ・ストーム/朝日新聞社・2時間09分

シネスコ・サイズ(表記無し、デジタル?)/表記無し(ドルビー・デジタル?)


監督:廣木隆一
原作:『ナミヤ雑貨店の奇蹟』東野圭吾(角川文庫刊)
脚本:斉藤ひろし
撮影:鍋島淳裕
出演:山田涼介、村上虹郎、    寛一郎、西田敏行、ほか

公式サイト
http://namiya-movie.jp
(全国の劇場リストもあり)

2012年、ある夜、強盗を働いた3人の青年、敦也(あつや、山田涼介)、翔太(しょうた、村上虹郎)、幸平(こうへい、寛一郎)は、車のバッテリーが上がっため、近くの空き家「ナミヤ雑貨店」に隠れることに。するとシャッターの郵便受けから手紙が投げ込まれる。3人は店にあった1973年の古い雑誌から、その店の店主がかつて悩み相談をやり、ちょっとした話題となっていたことを知る。手紙を開くと、それは「魚屋ミュージシャン」と名乗る青年からのもので、なんと1980年に出されたものだった。そこにいることがバレたかと3人は走って逃げ出すが、どんなに走っても「ナミヤ雑貨店」の前に戻ってしまう。すると1人が「魚屋ミュージシャン」に返事を書きたいと言い出す。


86点

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 ○○史上、最も○○……これってもう止めないかって言いたいキャッチ。どうしてもハードルが上がることになってしまう。もちろん、泣ける映画で、感動的で、じわーっと染みてくるんだけど、最初から言われちゃうとなあ、という感じ。だから原作を読んでから見ると、感動はちょっと薄くなるかも。ボクは読んでいなかったので新鮮な感動だった。

 すべての感動的な小さなエピソードが1つにつながり、最後により大きな感動を生み出す構成は見事としか言い様がない。1927年(昭和2年)から2017年までの長い「えにし」の物語。見終わるとつい自分の生き方を振り返ってしまう。自分のことだけを考えて、人のためなんて考えたことがあっただろうか、と。そして、家族や大切な人と一緒にいたくなる。1人で生きているわけじゃない、きっと素敵な未来が待っている、と。山下達郎の「REBORN」がじんわりと染みてくる。これだけで泣きそうに。いい歌だなあ。

 見た印象としては、やっぱりきっかけは「イルマーレ」(時越愛・2001・韓)の過去につながる手紙ではないかと。そして「バック・トゥ・ザ・フューチャーPART 2」(Back to the Future Part II・1989・米)的な展開もある。しかし、それらを鮮やかな手腕でオリジナルの話にまとめたという感じ。この面白さは、原作というかストーリーの勝利という感じも大きい。

 絵もキレイで、古い時代はちょっとセピア調だったりと色も良く、しかも高画質。冒頭のチンドン屋の曲は後ろ左から始まって後ろ右、右前と来て、チンドン屋が右からフレーム・インするという演出。よく回っていた。

 エンディングも鮮やか。ぐだぐだ語らず、最小限のことだけ語って、サッと終わる。素晴らしい。爽快。ただオープニングで、夜、空き家に侵入するのにあんなに懐中電灯振り回して、中でローソク付けたら怪しまれるんじゃないかなあ。そこだけが気になった。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜にムビチケカードで確保。13〜14分前に開場となり場内へ。観客層は若い人から中高年まで幅広く、特に若い女性が多かった。下は中学生くらいから。男女比は3対7くらいで女性の方が倍くらい多い。さすがにHey! Say! JUMPのアイドル山田涼介が出ているだけのことはある。たぶん幅広い層が楽しめる映画。最終的には580席の7.5割くらいが埋まった。話題作だからなあ。まわりの女の子たちは「原作を読んだ」なんて話していたから、そこから見に来た人も多いのかも。でも、たぶん読んでいない方がより楽しめる気がする。

 スクリーンはビスタで開いており、CM・予告の後スクリーンのマスクが左右に広がってシネスコになってから本編へ。

 前の方の席で、本編上映中にケータイを点灯させてるヤツがいて迷惑だった。煌々と光り輝いていて、本人以外の観客全員が気になっていたはず。アホか。


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