2017年10月15日(日)「猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)」

WAR FOR THE PLANET OF THE APES・2017・米/加/ニュージーランド・2時間20分

日本語字幕:黄色丸ゴシック体下、栗原とみ子/シネスコ・サイズ(デジタル、Alexa 65)/ドルビーAtmos

(米PG-13指定)(IMAX版、3D・4D上映もあり)

監督:マット・リーヴス
脚本:マーク・ボンバック、マット・リーヴス
撮影:マイケル・セレシン
出演:アンディ・サーキス、ウディ・ハレルソン
   スティーヴ・ザーン、アミア・ミラー、ほか

公式サイト
http://www.foxmovies.jp/saruwaku-g/
(全国の劇場リストもあり)

猿と人類の戦争が始まって2年、人類側の大佐(ウディ・ハレルソン)率いる特殊部隊が、シーザー(アンディ・サーキス)たち猿が隠れ住む洞窟を襲撃、シーザーの妻と息子の1人が惨殺される。シーザーは猿の群れを新たに見つかった新天地へと移住させることにするが、自身は復讐のため大佐を追うことを決意し、1人群れを離れる。するとオランウータンのモーリス(カリン・コノヴァル)、チンパンジーのロケット(テリー・ノタリー)、ゴリラのプリーチャー(ガブリエル・チャバリア)らも同行することに。そして途中、口のきけない人間の少女(アミア・ミラー)と出会い、モーリスは彼女が持っていた車のエンブレムからノバと呼ぶことにする。さらに、動物園にいたという毛の短いチンパンジーのバッド・エイプ(スティーヴ・ザーン)が大佐の居場所を知っているというので、仲間に加え道案内をさせることに。そして大佐の部隊が駐屯する基地にたどり着くが、すぐに気付かれ捕らえられてしまう。


86点

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 面白かった。サブ・タイトルと予告編からは戦争映画と思っていたのだが、違った。実際には、単純化して言うと、殺された家族の仇を討つため追いかけていって本懐を遂げるという物語。そこにエクソダス的民族脱出の味付けも加えられているが、これはほとんど西部劇の構造だ。猿たちはある時はアメリカ先住民、いわゆるインディアンのようでもあり、貧しい開拓者のようでもある。たぶんそういう弱者を代表するキャラクター。対して、独断専行する軍の指揮官、大佐の冷酷非情ぶりが見事。また仲間を裏切り人間に協力するインディアン・スカウト的なキャラクターが出てくるのも西部劇っぽい。

 まあ、西部劇は実にたくさん作られたので、ほとんどのストーリーは出尽くしたという。だから大抵のストーリーは西部劇に探せるらしい。それでも、本作は西部劇っぽい感じがした。馬がたくさん出てくるせいもあるかもしれないが。そして、「ロード・オブ・ザ・リング」(The Lord of the Rings: The Fellowship of the Ring・2001・ニュージーランド/米)シリーズ的な雰囲気もあり、よくできた冒険話、ロード・ムービー的仕上がりになっている。復讐の旅に仲間が加わり、途中で新たな仲間が増えていく。そして最後には大仕事をやってのける。実に映画的で、スケールも大きく、リメイク版の中ではベストの出来はないかと。

 とにかく猿たちの存在感が見事。その場にいるとしか思えない。まったく違和感がない。どうやって取ったんだろう。そして、微妙な表情の変化、感情表現が素晴らしく、おもわず泣きそうになってしまう。特に目。これは作った目なのか、演じている役者の目をはめ込んでいるのか。

 それにしても、邦題の聖戦は気になる。これだとテロのテイストが感じられて、良くないと思うのだが。テロではなく復讐の物語ではないのか。これが地球が猿の惑星となるきっかけの戦いだから英語タイトルはわかる気がするが、聖戦はふさわしいのだろうか。たしかに大佐がセリフで「これは聖戦だ。負ければ人類がいなくなる」と言っていたけど、そっちがメインなの? 猿の戦いじゃないの?

 銃は、大佐が使うのが、カスタム・グリップを付けたコルト・コマンダー。シーザーはウインチェスターM12ショットガン。軍はM4カービン、FN SCAR、SIG SG552、M2ブローニング(対空用のFN GAU-21らしい)など。猿たちは槍や弓、クロスボーなどがメインで、銃はちょっと時代遅れ的なFALなどを使っている。G3もあったような。途中のシーンで、シーザーたちの仲間の1人がレミントンACR(マグプル・マサダ)を持っている。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜にムビチケカードで確保。当日は15分前くらいに開場。観客層は中高がメインだが、意外と若い人もいた。やや幅広い感じ。男女比はほぼ半々。最終的には407席の8割くらいが埋まったが、10席×2列のプレミアム席は、たぶん1つも埋まらなかったようだった。いずれにしても、見ておいた方が良い作品だと思う。


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