2017年10月28日(土)「ゲット・アウト」

GET OUT・2017・米・1時間44分

日本語字幕:手描き風書体下、種市讓二/シネスコ・サイズ(デジタル、Arri)/ドルビー・サラウンド5.1(IMDbbではドルビー・デジタル)

(米R指定)

監督:ジョーダン・ピール
脚本:ジョーダン・ピール
撮影:トビー・オリヴァー
出演:ダニエル・カルーヤ、アリソン・ウィリアムズ、
   ブラッドリー・ウィットフォード、
   キャサリン・キーナー、ほか

公式サイト
http://getout.jp
(全国の劇場リストもあり)

ニューヨークの黒人青年フォトグラファーのクリス・ワシントン(ダニエル・カルーヤ)は、白人のガール・フレンド、ローズ・アーミテージ(アリソン・ウィリアムズ)の田舎の両親に会いに行くことになる。しかしローズはクリスが黒人であることを両親に告げていなかったことから、親友の空港運輸保安局(TSA)職員ロッド・ウィリアムズ(リルレル・ハウリー)の「いくな」という忠告を振り切り、不安を抱えたまま2人で車で向かう。すると、両親はまったく人種偏見を持っていないようだったが、使用人はすべて黒人で、どこか奇妙な雰囲気があった。そして毎年行われている亡くなった祖父のパーティ、一族の親睦会があるから、出ろという。パーティ当日、集まってきたのはほとんど白人だったが、1人、見覚えのある黒人青年がいた。


76点

前へ一覧へ次へ
 うまい構成、ミスリーディング。最初は人種差別がベースの男女の恋愛を軸としたホラーだと思わせる。予告も盛んにそんな方向性を見せていた。それはそれで面白そうな物語だと思っていたら、実は思わぬ方向に展開していく。だから観客も主人公同様に混乱し、それが恐怖感につながっていく。怖い。幽霊と悪魔的な怖さではなく、訳のわからない恐怖と、殺されるかもしれないという恐怖。絶望。すごいなあ。

 もちろん音で脅かす部分はあるが、基本、何か悪いことが起きそうな雰囲気、緊張感が怖く、状況がまた怖い。謎が増してくる感じも見事。そこに1人、コミカルな存在としてニューヨークにいる親友を置いたことで、物語に変化が付き、新しい展開を期待させる。うまい!

 演技も皆リアルで、コミカルの空港職員以外は普通にいる人のよう。とくに素晴らしいのが、穏やかな笑顔で、悲しそうな涙を流すという難しい演技を自然に見せたベティ・ガブリエルはすごかった。怖い。しかも、こいつが知らないうちに携帯の充電コードを抜いてしまうのだ。その言い訳の仕方がまた怖い。

 ラストにはボルト・アクション・ライフルも出てきて、発砲もある。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、木曜にムビチケカードで確保。当日は12〜13分前くらいに開場。ぎりぎりになって若い人も少し増えたが、やはりメインは中高年。女性は1/5くらい。最終的には、200席の9.5割くらいが埋まった。プレミアム席も8席中5席はすごい。とんでもな展開ではあるけれど、多くの人に見て欲しい気はする。


前へ一覧へ次へ