2017年11月5日(日)「IT/イット“それ”が見えたら、終わり。」

IT・2017・米/加・2時間15分

日本語字幕:手描き風書体下、野口尊子/シネスコ・サイズ(デジタル、Super 16)/ドルビー・デジタル(IMDbではドルビーAtmos、dts、ドルビー・サラウンド7.1も)

(米R指定、加14A、18A指定、日R15+指定)

監督:アンディ・ムスキエティ
原作:「IT」スティーヴン キング
脚本:チェイス・パーマー、キャリー・フクナガ
   ゲイリー・ドーベルマン
撮影:チョン・ジョンフン
出演:ジェイデン・リーバハー、ビル・スカルスガルド、
   ソフィア・リリス、ほか

公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/itthemovie/
(全国の劇場リストもあり)

1988年10月、アメリカの田舎町デリーで、病弱な少年ビル(ジェイデン・リーバハー)の弟ジョージー(ジャクソン・ロバート・スコット)が雨の日、排水溝近くで失踪する。1989年6月、学校は一斉に夏休みに入るが、デリー警察は子供の失踪事件が相次いでいることから、夜7時以降は外出禁止としていた。ビルは、いじめや家庭内の事情などさまざまな問題を抱える少年たちとグループを作り、自ら負け犬(ルーザーズ)と呼んでいた。そして、全員がピエロの格好をした「それ」を目撃しており、ビルは「それ」のせいで弟が失踪したと思い込んでいたので、夏休みを利用して、排水溝が集まる下水路を調べようと提案する。すると追ってきたいじめっ子グループの1人の少年が失踪してしまう。


76点

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 なかなか面白かった。ただホラーというより少年たちの青春物語というか、ジュブナイル的物語。実際、恐ろしいピエロは出てくるし、ゾンビ的なものも出て来るのに、ほとんど怖くない。クリアすぎるし、音で脅かす方向で他の工夫が見られない。なので、ホラーとして見ると残念な感じだが、ジュブナイル系としては良くできている。特に素晴らしいのが、「いじめ」や「過保護」、「スパルタ教育」、「近親相姦」、「弟の早すぎる死」など、子供にとっては大きすぎる問題の数々。これにくじけず、けなげに前向きに生きていこうとする。

 なかでもしつこいくらいに描かれているのがいじめ。アメリカのいじめは映画でもTVでもよく描かれていて、なかなか陰湿でねちっこく、根が深い。理由もハッキリせず、ただの粗暴なヤツというだけのような気もする。だから危ない。だいたい家庭に問題がある。若くても車に乗っているし、ナイフや銃まで持ち出すから、機動性と武器もあって始末に負えない。アメリカ、ヤバい。

 パターンとしては「スタンド・バイ・ミー」(Stand by Me・1986・米)のような感じ。しかも時間を掛けてじっくりと描いているから、子供たち1人1人の心情がよく伝わってくる。ちょっと「ラジオ・フライヤー」(Radio Flyer・1992・米)的なところもある。怖さだけで言えば、昔NHKで放送されたTV版ミニ・シリーズ「IT/イット」(It・1990・米)の方が怖かった気がする。映画は予告の方が怖かったなあ。

 銃は警察官の父のものを持ち出すのが1911ガバメント。この辺も「スタンド・バイ・ミー」的。ほかにガス・ボンベを使う羊のと殺銃も出てくる。銃声は大きく恐ろしい。

 ラストに第一章と出る。おいおい、ウケが良かったので3部作とかになるのか。たしかに、何かあったらまた集まろうと終わるけど……。まあ面白かったので、また見たいけど。

 監督はアルゼンチン出身の新人で、短編をギレルモ・デル・トロ監督に認められて「MAMA」(Mama・2013・加西)で監督デビューしたらしい。見ていないのでわからないが、今後期待の監督かも。ホラーをちゃんと撮れる人は実力がある。怖さはいまいちだったけど。

 公開3日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、2日前にムビチケカードで確保。当日は13〜14分前くらいに開場。観客層は若い人から中高年まで幅広く、比較的若い人が目立っていた。下は中学生くらいから。男女比は6対4で男性が多い感じ。最終的には184席がほぼすべて埋まった。

 CM・予告の後、英語のマナー告知があり、映写機のマスクが左右に広がって、暗くなって、映画泥棒の後、本編へ。


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