2018年1月15日(月)「戦狼/ウルフ・オブ・ウォー」

戰狼2・2017・中・2時間03分(IMDbでは105分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、須田友喜/シネスコ・サイズ(デジタル、Red)/ドルビーATMOS(IMDbではドルビー・デジタル、dts:Xも)

(香IIB指定、日R15+指定)
監督:ウー・ジン
脚本:ウー・ジン、トン・クン、リウ・イー
撮影:ピーター・ンゴー
出演:ウー・ジン、フランク・グリロ、
 セリーナ・ジェイド、オレグ・プルディアス、ほか

公式サイト
http://senrou-movie.jp/
(全国の劇場リストもあり)

民間人のヤクザに手を上げ、軍籍を剥奪され刑務所に入れられた中国特殊部隊「ウルフ・ウォリアー」のレン(ウー・ジン)は、3年後、出所すると、軍人だったフィアンセを惨殺した犯人の唯一の手がかりである特殊な銃弾からアフリカのマダガスカルへ行き、人々に溶け込み密かに調査を続けていた。しかし、ある日、反政府軍が町を襲撃、かろうじて脱出するが、命を助けたコンビニの中国人オーナーから、特殊な弾丸はヨーロッパの傭兵が使っていたという情報を得る。そしてヨーロッパの傭兵に占拠された町の民間人を救出するため、単身その町へと潜入する。


72点

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 ただ1人、ワンマン・アーミーのスーパー・ヒーローが八面六臂の大活躍をするアクション・ファンタジー。「ランボー:怒りの脱出」(Rambo: First Blood Part II・1985・米)かと突っ込みたくなるところが多々あったが(弓も使う)、設定はスタローンのランボーを超えているかも。それが作りたかったのかなあ。彼は決して死なないダイ・ハードでもある。泣き言は絶対言わない。常に穏やかな笑みを浮かべ、難題にぶち当たっていく。とにかくほぼ全編痛烈なアクションの連続で、一体どれだけ手間が掛かったことか、想像さえ難しいほど。普通のドラマを撮るより、体を張ったアクションやガン・アクションは何倍も大変だ。エンド・クレジットではジャッキー・チェンばりにメイキングというか、NG集風の映像が流れる。

 中国では大ヒットしたらしいが、日本的には設定からして信じられないようなものばかり。中国のプロパガンダ映画的でもあった。ラストには中国人向けのメッセージ「海外で何があっても諦めないで。強大な祖国がついている」が出るほど。そこが鼻につくと楽しめない。そしてアクション満載だがワンパターンで、長いため途中ちょっと眠くなる。

 被害者は中国人と現地のアフリカ人で、悪いのは白人、ここではヨーロッパの傭兵たち。しかし、現実ではアフリカでいろいろ問題を起こしているのは、違うんじゃないかと。たくさん請け負っているプロジェクトでは地元の労働者を雇わず、どっとやってきた中国人労働者が問題を起こしたり最悪はプロジェクトが立ち行かなくなったり…… まあ、ファンタジーだからこれでいいんだろうけれど、アフリカで愛される中国人、現地との親密な関係などが誇張されて主張されると、余計に引いてしまう。また京劇的な大げさな芝居がかった演技はいかがなものかと。

 ラストのメイキング映像を見ると、銃撃シーンなども監督が細かに演出しているよう。ただし専門家を雇わないと、どこかでボロが出てくる。確かに現代的な銃撃に詳しいようだが、ダマスカス鋼の銃弾とか(ライフリングにくいこむのか?)、撃った弾にライフリングがついていないし、撃っているはずなのに薬莢が飛んでいないカットもあるようで、気になるところも多い。銃が見当たらないとか、機関部とか弾倉が見当たらないのにガンガン撃ってくるドローンとか、すでにファンタジーの域。

 銃は、AK(銃剣はなかったが、中国版の56式か?)、刷り切れたようなガバメント、マカロフ、デグチャレフ(デュシーカ)らしいヘヴィー・マシンガン、89式かバーストを付けた95式自動歩槍、M4カービン、デザート・イーグル、ミニガン、ベレッタM92、P226などなど。RPGと79式グレネード(字幕でそう言っている)も出てくる。戦車はT72あたりか。公式サイトには東京マルイのロゴがあったので、協力しているのかもしれない。ということは、やはり撃たないでデジタル処理したものも多いのかも。ガス・ブローバック(GBB)の1911オートも、GBBとして1つのギャグ的に出て来ていた。

 公開4日目の平日の初回、六本木の劇場は全席指定で、貯まったポイントで2日前に確保。当日は13-14分前に開場。スクリーンはビスタで開いていた。ちっちゃ。観客は、さすがに平日、164席にジジが5人。特に日本人が悪役というわけではないものの、この内容だと、日本ではこんなものだろうか。


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