2018年2月3日(土)「スリー・ビルボード」

THREE BILLBOARDS OUTSIDE EBBING, MISSOURI・2017・米/英・1時間56分(IMDbでは115分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、伊藤美和子/シネスコ・サイズ(2.35、デジタル、ALEXA、Panavisionマーク)/ドルビー・デジタル

(米R指定)

監督:マーティン・マクドナー
脚本:マーティン・マクドナー
撮影:ベン・デイヴィス
出演:フランシス・マクドーマンド、ウディ・ハレルソン、
 サム・ロックウェル、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、ほか

公式サイト
http://www.foxmovies-jp.com/threebillboards/
(全国の劇場リストもあり)

アメリカ、ミズーリ州の小さな町エビングの、ほとんど車も通らない道の沿道にある3枚の広告看板(ビルボード)に、地元警察のウィロビー署長(ウディ・ハレルソン)を非難するメッセージが掲載される。依頼したのは、7カ月前、娘をレイプされた上に惨殺された母親のミルドレッド・ヘイズ(フランシス・マクドーマンド)。事件の手掛かりを何一つつかんでいないことへの抗議だった。警察官のディクソン巡査(サム・ロックウェル)は止めるように広告会社のレッド・ウェルビー(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)に圧力を掛けるが、法的に問題ないとはねつけられる。ついにはTV局が取材に訪れる事態となり、ミルドレッドは警察の無能ぶりを訴える。町の人々からも反対の声が上がる中、彼女は頑として聞き入れない。そして1カ月がたち、看板の広告料を払う期限がやってくるが、ディクソンの嫌がらせで勤めていたお土産屋のボスが過去の麻薬がらみの件で警察に拘留されて、収入のなくなったミルドレッドには払えない。すると、匿名の支援者から1カ月分の支払いがなされる。


76点

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 IMDbでは8.3点の高評価。確かにスゴイ映画で、強烈な印象を残す…… ただ「起承転」で終わる結末のない映画。簡単な解決などあり得ないとしても、なんだか消化不良というか、もやもやが残るというか。

 1つには、事の原因がこれ以上ないくらいの強烈な「娘がレイプされて惨殺されたこと」にあり、7カ月たっても犯人がはおろか手掛かりさえも見つかっていないことにありながら、犯人を見つけて逮捕なり落とし前を付ける話ではないということ。つまりミステリーの謎解きではなかったのだ。予告ではてっきりミステリーだと思った。

 そして、問題行動をする悪党のような人物でも、何かきっかけがあれば変わるし、変われると。逆に信念を持ったガッツある良い人のように見えていた人物も、実は自分だけの考えに固執して、人の言うことを聞こうとせず変わろうとしない変人(良くいる街の迷惑な人)だったと。当たり前だが、見た目や第一印象で人は判断できないと、そういうドラマだったと見ることもできる。どちらもやっちゃいけないところまでやる。これが不快感をあおる。犯罪じゃん。アメリカじゃ、これは良いの?

 事件を核に、それに関わるいろんな人たちのドラマ、人間模様を描いている。娘に死なれた母親。反抗期の娘と母。若い女と暮らす離婚した夫と元妻。マザコンの差別主義者の警察官とその母。末期ガンの警察署長と家族。広告看板を管理する広告会社……。

 銃は、署長がたぶんグロック。自殺に使う銃はS&Wのミリタリー&ポリスっぽいステンレス・リボルバー(ということはM64か)の4インチ。警官のディクソンはベレッタM92の木製グリップ付き。殴り込みに用意するのは水平二連ショットガン。

 公開3日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、2日前にムビチケカードで確保。当日22〜23分前に開場。キャパの大きなTCXスクリーンで、プレミアム席は9×2列に、後方にボックス席のような席まであるスクリーンでの上映。観客層はほぼ中高年で、男女比はだいたい半々という感じ。最終的には499席に5割ほどの入り。P席は9席埋まった。

 場内が暗くなって、TCXのデモの後、映画泥棒があって、本編へ。近くの4Dスクリーンの振動が伝わってきて、不快。ほんと、最初の一瞬は地震かと思う。いやな思い出がよみがえる。建物の設計に問題ないのかなあ。


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