2018年2月18日(日)「グレイテスト・ショーマン」

THE GREATEST SHOWMAN・2017・米・1時間45分

日本語字幕:丸ゴシック体下、石田泰子/シネスコ・サイズ(2.39、デジタル、ALEXAロゴ)/ドルビーATMOS(IMDbではドルビー・デジタルも)

(米PG指定)(ATMOS上映、IMAX上映もあり)

監督:マイケル・グレイシー
脚本:ジェニー・ビックス、ビル・コンドン
撮影:シーマス・マッガーヴェイ
出演:ヒュー・ジャックマン、ザック・エフロン、
   ミシェル・ウィリアムズ、ゼンデイヤ、
   レベッカ・ファーガソン、ほか

公式サイト
http://www.foxmovies-jp.com/greatest-showman/
(全国の劇場リストもあり)

19世紀中頃のアメリカ、ニューヨーク。仕立屋の息子として父の仕事を手伝っていたP.T.バーナム(ヒュー・ジャックマン)少年は、出入りしていたお屋敷のお嬢様、チャリティ(ミシェル・ファーガソン)と恋に落ちる。その後、父が亡くなり、食べ物にも困るような暮らしを強いられたバーナムだったが、花嫁学校へ行ったチャリティへ手紙を送り続け、大人になって職を得ると、チャリティの親の反対を押し切って結婚する。ところが2人の娘を得たバーナムは、勤め先を突然の倒産で失い、「家族を幸せにする」という約束を果たすため、蝋人形によるユニークな博物館の事業計画を銀行に提出し、資金を得て博物館をスタートするが、ほとんど客が来なかった。2人の幼い娘たちの、見世物が死んだものばっかり、という指摘で思いつき、ユニークな技に秀でた人や、フリークスと呼ばれる個性的な人を集めてショーをやることを思いつく。


84点

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 素晴らしいミュージカル。明るい気持ちになる。主人公P.T.バーナムの言葉どおり、人をハッピーにする映画。帰りのエスカレーターで、後ろにいた若いカップルが「最高に面白かったね」「見て良かった」「父親がツアーに行く時、行かないでって思ったよ」なんて会話をしていた。IMDbでは8.0の高評価。

 とてもノリの良い素敵な楽曲の数々。ついつい体が動いてしまいそうになる。たぶん足とかでリズムを取っていた人も多かったのでは。そして感動的なリリック。「行ってみないか夢が叶う世界へ……」「たくさんの夢がある……」「チャレンジしない人生もある……」「これが私……」「一緒に家に帰ろう……」みんな心に刺さる。このサウンド・トラックは買いかも。

 そして完璧なダンス、群舞。人種も身長も体重も性別も違う様々な人々が、一糸乱れぬシンクロした動きを見せる。しかもパワーがあって、がんばっているという感じではなく、とても楽しそう。カメラ・アングル、編集も完璧。気持ちいい!

 結局、人なんだなあと。建物が焼失しても、人が残っていれば再建できる。金だけのつながりなら、全てを失ったらみんな離れていくが、心でつながっていれば給料がなくても働いてくれて一緒に復興に力を注いでくれる。だから建物なんかいらない、テントで良いと。そういうことだったのか。前の会社が人を大事にしなかったなあと、改めて思い出した。映画の中では、こうも言っている「逆境の中でこそ人の本当の姿が見える(というような内容)」と。全くその通りだなあ。そして、夢を持つこと、持ち続けることの大切さ、チャレンジすることの大切さ、誰のためにやっているのか、何のためにやっているのか、初心に返ることの大切さ……。よく伝わってくる。そして差別や偏見、いじめ……それをぶち破ろうという姿勢、意志の強さが感動を呼ぶ。

 「これは芸術じゃない、ただの大騒ぎ(サーカス)だ」と大手の新聞記者に言われて、あえてサーカスと命名するあたりもシャレがきいている。そして「地上最大のショウだ」というセリフがよく出てくる。そういう映画があったなあ。チャールトン・ヘストンが主演したセシル・B・デミル監督の「地上最大のショウ」(The Greatest Show on Earth・1952・米)。バーナムのサーカスと合併したリング・リング・サーカスだけど。象のショー中止後客の入りが落ちて、最後の公演は2017年5月だったとか。本作を製作中だったのではないだろうか。うむむ。

 たぶん本作を悲劇的に描くこともできたと思う。貧しい暮らし、事業の失敗、借金、美人歌手とのスキャンダル、家庭の崩壊、火事、財産の喪失…… サーカスの合併からラストには解散まで。しかし本作はそれらの出来事にめげず、チャレンジしていく姿に重点を置いて作られている。だから明るくて楽しくて感動的なのだろう。

 ミュージカルなので楽曲は大事ながら、ATMOSの必要があったかは微妙。混雑具合を見ても、ノーマルの字幕版が混んでいたので、みなさん思いは同じかと。SFとかアクション的なものはATMOS上映が合うのだろうが……。

 公開3日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、2日前にムビチケカードで確保。当日は20分ほど前に開場。さすがに話題作、若い人から中高年まで幅広かった。男女比もほぼ半々。最終的には499席に6.5割くらいの入り。早めの初回でもこの入りはさすが。後ろのボックス席はわからなかったが、プレミアム席9席2列の内、15席ほどが埋まった。プラス1,000円はなかなか払えないなあ。うらやましい。

 東宝のラージ・スクリーン「TCX」のデモからATMOSのデモがあって、映画泥棒の後、本編へ。20世紀FOXのロゴは古いタイプを使用。昔、よく使われていた飾り罫の枠が付いたクレジットの見せ方からタイトルが出るオープニング。良い雰囲気!

 終わってクレジット・ロールになっても誰も立たなかった(1組だけいたが)のは、最近の映画では珍しい。みんな感動して余韻に浸っており、すぐには動けなかったのか。


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