2018年2月24日(土)「ザ・シークレットマン」

MARK FELT: THE MAN WHO BROUGHT DOWN THE WHITE HOUSE・2017・米・1時間43分

日本語字幕:丸ゴシック体下、横井和子/ビスタ・サイズ(表記無し、公式サイトでは1:2.0、1.66くらいの少し上下マスクで上映、デジタル、Alexa)/音響?(表記無し、公式サイトではDCP 5.1ch)

(米PG-13指定)

監督・製作:ピーター・ランデズマン
原作:マーク・フェルト、ジョン・オコナー共著『Mark Felt of A G-Man's Life : The FBI, Being 'Deep Throat,' and the Struggle for Honor in Washington(原題)』(2006)
脚本:ピーター・ランデズマン
撮影:アダム・キンメル
出演:リーアム・ニーソン、ダイアン・レイン、
   トム・サイズモア、ジョシュ・ルーカス、
   ブルース・グリーンウッド、ほか

公式サイト
http://secretman-movie.com
(全国の劇場リストもあり)

1972年、FBI長官のジョン・エドガー・フーバーが亡くなる。次の長官は実質的な指揮を執っていたマーク・フェルト副長官(リーアム・ニーソン)と思われたが、政府は司法省次官のパトリック・グレイ(マートン・ソーカス)をFBI長官代理に任命する。そんなとき、民主党本部に盗聴器を仕掛けようとした男たちが逮捕されるという事件が発生する。捜査を指揮するフェルトはホワイトハウスの関与を確信するが、グレイから捜査は48時間で打ち切ると告げられ、捜査を継続するため、あえて捜査情報をTIME誌とワシントン・ポスト紙にリークする。


75点

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 なんという残念なタイトル。ボクはてっきりありがちなB級アクションだと思った。ところが予想に反して、実話に基づいたポリティカル・サスペンス。衝撃的で、重い内容だった。おいおい、いいのか、これで。

 物語としては、映画の題材とされがちな「ウォーターゲート事件」を描いた作品。スパイものじゃなかったのか! 映画的には「大統領の陰謀」(All the President's Men・1976・米)とか、実録風の「フロスト×ニクソン」(Frost/Nixon・2008・米/英/仏)とか、直近で言えば「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」(The Post・2017・英/米)もそうだ。これらを合わせて見れば、より深く理解できると思う。ただ、事件を知らない若い人にはピンと来ないかもしれない。

 全体に良い緊張感が漂い、なかなかポリティカル・サスペンスとして良くできている印象。事件の舞台裏ではこんなことが起こっていたのか。そして、逆に言うと、この事件以前は(と映画では言っている)、正義を行うためとしてFBIは違法な監視活動なども行っていたということ。ここが怖い。ケネディ暗殺事件も関わってくる。うむむ。そして、最も強く伝わって来るのは、FBIは独立した機関で、司法省も、CIAも、大統領でさえも口出しはできないということ。こういう機関が本当に存在していることは素晴らしいと思う。忖度など一切無し(?)。そこには、多くの高官らの個人的なゴシップなどを握っているという裏付けもあったわけだが……。日本にはあるのだろうか。

 まあ、時代(19710年代)を反映して、よくタバコを吸う。男性ばかりでなく、女性までも。こういう時代だったんだなあと。たぶん1980年代前半はまだ吸っている人は多かった。後半からどんどん減っていく。

 ディープ・スロート、ポルノのタイトルだけじゃなく、TVドラマ「Xファイル」の情報提供者として知っていたけど、本当にいたんだ。銃は、冒頭、出勤する時、ウエスト・バンド・ホルスターにリボルバーを入れている。が、グリップがチラリと写るだけで、何だったのか。1972年に採用されたのはS&W M49ボディガードで、その前はS&W ミリタリー&ポリスの4インチだが……。

 公開初日の初回、新宿の劇場は全席指定で、2日前にムビチケカードで確保。当日は10分前くらいに開場。上の階のロビーには関係者らしい一団が10人ほど。多いって。観客層はほぼ中高年というか、高寄り。男女比は8対2くらいで男性が多かった。B級アクションと思った人が多かったのだろう。最終的には226席に6割くらいの入り。このシアターは低音の響きが素晴らしかった。


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