2018年3月4日(日)「15時17分、パリ行き」

THE 15:17 TO PARIS・2018・米・1時間34分

日本語字幕:手描き風書体下、松浦美奈/シネスコ・サイズ(2.39、デジタル、Arri(ALEXA)、ドルビーvision)/ドルビーAtmos

(米PG-13指定)

監督・製作:クリント・イーストウッド
原作:アンソニー・サドラー、アレク・スカラトス
   スペンサー・ストーン、ジェフリー・E・スターン
   共著『15時17分、パリ行き』早川書房
脚本:ドロシー・ブリスカル
撮影:トム・スターン
出演:アンソニー・サドラー、アレク・スカラトス
   スペンサー・ストーン、ほか

公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/1517toparis/
(全国の劇場リストもあり)

2015年、アメリカの幼なじみの青年3人、アンソニー・サドラー(本人)、アレク・スカラトス(本人)、スペンサー・ストーン(本人)は、それぞれ別の職業に就いていたが、一生に一度ということで、ちょっと奮発してヨーロッパ旅行に行くことにする。あちこち回った後、バーで知り合った男のアドバイスでアムステルダムで大騒ぎした後、二日酔いの状態で15時17分のパリ行きに乗る。すると途中の駅から怪しい男が乗り込んできてトイレに10分以上こもり、乗客が怪しみだすと、銃を持って出てくる。


75点

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 面白かった。実話を、メインの3人のほか、ほとんどの乗客まで当の本人たちに演じさせる、大胆なというか、無謀というか、リスキーな手法。日本人的には英語がわからないので、台詞回しの上手いヘタがわからず、ほとんど違和感もなく、素直に感動できた。英語に堪能な人はそうでもなかったかもしれない。というのも、IMDbでは5.1点の低評価。これは厳しいなあ。

 まあ、事件だけを描けば、テロ実行寸前に止めたのだから、大事にならずに10分か15分くらいで終わってしまう。そこで、それに主人公3人の少年時代を入れた。ダメダメの問題児だったと。これはその後とのギャップが大きく、とても興味深い。ただ、1つ気になったのは、この事件が運命だとして、神が与えた人生の目的だとしたら、次をどうするのか。もう、あとはやることがない?

 たまたま最初の勤務先(アルバイト先?)のスムージー屋の向かいに海兵隊のリクルート・センターがあって、客としてやってきた軍人と話したことで入隊することになり、そこで習った格闘技「柔術」が役に立ち、負傷者の応急処置のトレーニングが役に立ったりと、すべてがつながっている。実話ながらが出来すぎの感があって、作為を感じないわけでもない。事実は小説よりも奇なり、といったところか。

 軍でも、何かあっても出て行くなと教えている。まず身を守れと。こういう状況に遭遇した時、どうするか。自分に技術があって、何か出来るとしたら、命を懸けてまで、やる勇気があるか。難しい問題。タクティカル・トレーニングでも、銃を携帯していても、基本的には抜くなと教えている。どうしても避けられない時だけ抜けと。そして抜いたら撃てと。当然、いつもこのケースのように成功するとは限らない。むしろ失敗して犠牲者が増えることになるかもしれない。この映画でもAKの初弾が不発で助かっている。うむむ、難しい。

 テロリストの銃は東ヨーロッパ(ポーランドか東ドイツかルーマニア)で作られた折りたたみストックのショート・バレルAK47(imfdbではルーマニアのAIMR)と、FNハイパワー。軍のシーンではM4カービン、M2重機も登場する。少年たちは銃口部をオレンジ色にしたエアソフトガンで撃ちあいゴッコをして遊んでいる。列車が駅に到着した時フランスの警察が使用している銃は、瞬間なのでわからなかったが、imfdbによるとオートマチックのP228とステンレス・リボルバーのルガーSP101だという。背中にSNCFの文字を付けた男たちもいたが、それはフランス国有鉄道のことらしい。武装していたように見えたが、セキュリティ・ガードだろうか。見間違いもあり得るけど……。

 公開4日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、2日前にムビチケカードで確保。当日は10分前くらいに開場になり、エスカレーターを上がって行ったら、すでに予告が流れていた。観客層は、若い人から中高年まで幅広く、男女比は6.5対3.5くらい。やはり男性が多いか。最終的には301席の7.5割くらいが埋まった。

 スクリーンはビスタで開いており、CM・予告の後、スクリーンのマスクが左右に広がってシネスコ・サイズになって本編へ。


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