2018年3月31日(土)「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」

THE POST・2017・英/米・1時間56分

日本語字幕:手描き風書体下、松浦美奈/ビスタ・サイズ(1.85、シネスコに映写機の左右マスクで上映。コダック・フィルム35mm、with Panavision)/表記なし?(IMDbではドルビー・デジタル、ドルビー・サラウンド7.1)

(米PG-13指定)

監督・製作:スティーヴン・スピルバーグ
脚本:リズ・ハンナ、ジョシュ・シンガー
撮影:ヤヌス・カミンスキー
出演:メリル・ストリープ、
   トム・ハンクス、ほか

公式サイト
http://pentagonpapers-movie.jp
(全国の劇場リストもあり)

1971年、アメリカの地方紙「ワシントン・ポスト」は亡くなった夫の跡を継いだキャサリン・グラハム(メリル・ストリープ)が、史上初の女性発行人として、編集はやり手の編集主幹ベン・ブラッドリー(トム・ハンクス)にまかせ口を出さないようにし、自身は株式を上場して大きな資金を得ようとしていた。そんな時ワシントン・ポストはニクソン大統領に嫌われて次女の結婚式の取材から締め出される。一方でライバル紙の「ニューヨーク・タイムズ」は、国防長官のマクナマラ(ブルース・グリーンウッド)がランド研究所に作らせた、極秘文書であるベトナム戦争の分析を入手し出版しようとするが、ニクソン政権の訴えにより差し止めとなってしまう。そこでベンは30年にわたる政府のウソを暴くため、記者達にその文書の入手を命じる。


76点

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 あの事件の裏側で、こんなことが起こっていたとは。この直後、「ウォーターゲート事件」が発生すると。印象的な終わり方。心に響いてくる名言のようなものもたくさんちりばめられている。特に印象深かったのが、裁判の判決で報道の自由について判事が言った「マスコミが仕えるべきは国民であって、政府ではない」というような趣旨の言葉。こういうことを高らかと謳えるところがアメリカだなあと。日本の政治家やマスコミの人たちにも、ぜひ見て欲しい映画。

 ただ日本人的には「NYタイムズ」や「ワシントン・ポスト」といった地方紙と、「U.S.A.トゥデイ」といった全国紙というのもの違いとか、ポジショニングが良くわからない。特ダネは前二者を中心に展開する。邦画で言えば「クライマーズ・ハイ」(2008・日)とつながる部分があるのかなあと。記事をどう構成するか、掲載するのかどうするのか、どういう作業をたどって印刷され、読者に届くのかなど、大ざっぱに理解できる。

 冒頭のベトナム戦争のシーンは、さすがに「プライベート・ライアン」(Saving Private Ryan・1998・米)を撮ったスピルバーグ監督だけあって恐ろしいリアルさ。銃弾が飛ぶ感じが凄い。銃はもちろんM14。敵がどこにいるかハッキリわからず、それがまた恐ろしさをアップしていて、トレーサーも飛び交っていて、銃弾が飛んでいる感じが強調されていた。

 書類をコピーする部屋には「明日に向かって撃て」や「マックィーンの絶対の危機」など、映画のポスターがたくさん貼ってあって、スピルバーグ監督らしいなと。そして、時代を反映して、男性は皆良くタバコを吸う。さらに、ここで描かれたポストも現在は経営者が替わり、違ったものになっているらしいが……。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、2日前にムビチケカードで確保。当日は10分ちょっと前くらいに開場。観客層はさすがにほとんど中高年。ただ親に連れられて来たらしい小学生くらいの男の子もいた。楽しめたのだろうか。男女比は4対6くらいで女性の方が多かった。最終的には301席に7.5割くらいの入り。

 スクリーンはシネスコ・サイズで開いており、映写機による左右マスクのまま本編へ。


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