2018年3月31日(土)「レッド・スパロー」

RED SPARROW・2018・米・2時間20分

日本語字幕:丸ゴシック体下、岸田恵子/シネスコ・サイズ(2.39、デジタル、Arri ALEXA、ドルビー・ビジョン)/ドルビーATMOS(表記なし)

(米R指定、日R15+指定)(IMAX版もあり)

監督:フランシス・ローレンス
原作:ジェイソン・マシューズ『レッド・スパロー』
   (早川書房刊、山中朝晶・訳)
脚本:ジャスティン・ヘイス
撮影:ジョー・ウィレムズ
出演:ジェニファー・ローレンス、
   ジョエル・エドガートン、
   シャーロット・ランプリング、
   メアリー=ルイーズ・パーカー、
   ジェレミー・アイアンズ、ほか

公式サイト
http://www.foxmovies-jp.com/redsparrow/
(全国の劇場リストもあり)

ドミニカ・エゴロワ(ジェニファー・ローレンス)は、足の悪い母の面倒を見ながらボリショイ・バレエのソリストとして将来を嘱望されていたが、ある日、上演中の事故により足を骨折しバレリーナの夢を断たれてしまう。するとロシア情報庁幹部の叔父、ワーニャ・エゴロワ(マティアス・スーナールツ)が現れ、事故が仕組まれたものであることを教えてくれる。怒りに燃えるドミニカが復讐を遂げると、その手際を見たワーニャは、次にスパイとしての任務を与える。ところが途中で状況が変わり、ドミニカは殺人事件に巻き込まれてしまう。情報庁幹部のコルチノイ将軍(ジェレミー・アイアンズ)は目撃者は消すよう提案するが、ワーニャはスパイ〈スパロー〉養成機関である第4学校へ送り込むことを提案する。


76点

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 凄い! ショッキング。このエロとグロ。強烈な映画だ。ちっとも楽しくないし、むしろ胸糞が悪くなる。しかし凄い映画。

 ロシアにおける娼婦養成所と呼ばれるようなスパイ養成学校と、異常な暗殺者たち。実際の現実社会でも、つい最近二重スパイがイギリスで暗殺未遂なったり、元KGBやFSBの職員だった男が毒殺されたり、政権に批判的だった女性ジャーナリストが射殺されたりと、事件が起こっているわけで、あながち小説とかたづけられないリアルさがある。しかも原作者は実際にCIAの工作員として33年年間も勤めた人。本当に恐ろしい。リアルなスパイ活動。某国のハニー・トラップには日本の外交官も引っかかっているらしいし……。

 とにかく主演のジェニファー・ローレンスが体を張ってがんばっている。冒頭のバレエ・シーンはデジタルかもしれないが、本当にトゥ・シューズで踊っているように見えるし、かなりきわどいエロ・シーンも全裸でがんばっている。どうもヘアを剃っていたような感じ。そして、もちろんアクションもこなしている。ボカシ無しですっぽんぽんになっている男性もいたが、役者って大変だなあ。なぜこれがボカシ無しで、「シェイプ・オブ・ウォーター」(The Shape of Water・2017・米)のマイケル・シャノンの一瞬のお尻にはボカシが入ったのか。どちらも同じR15+指定で、こっちのほうがエロ度が高いのに。基本、ボカシは無しで良いんでじゃないかなあ。それかボカシは無しでR-18にしちゃうか。ハッキリ言って、ボカシが入った方が想像させるので、よりイヤらしく感じる。

 誰がウソをついているのか、どこまでがウソなのか、まったくわからない。その不安さ、怖さが見事。一体どうなるんだと。ただあまり気分は良くない。落ち込みはしないが、見終わって楽しくなるとか、前向きな気持ちになるとか、そういうことはない。その辺がちょっとつらい。

 ネイト・ナッシュが取引に使う公園がゴーリキー・パーク。このタイトルの面白いミステリー映画があった。「ゴーリキー・パーク」(Gorky Park・1984・米)。でもなぜか劇場公開されなかったけど。たしかビデオで面白い未公開映画があると話題になった。

 設定は現代のようだが、1980年代あたりなのか、タバコを吸うシーンが多かった。そういえば記憶媒体もUSBメモリーではなく、3.5インチのFDだった。

 劇中、スパイ養成学校はソ連の第4代最高指導者だったフルシチョフが作ったと言っており、そのスパイをスパロー(のロシア語)と呼んだらしい。それで本作は共産主義を象徴する赤と組み合わせてレッド・スパローというタイトルになったと。

 音響的には、劇場の設備も関係してくるが、低音に迫力があって素晴らしかった。

 銃は、アメリカCIAのネイト・ナッシュがM92、ロシアのスパイはマカロフ。そしてロシア兵がAKS-74U、アメリカ軍がM4カービン。女スナイパーはimfdbによるとPGM URインターベンション・スナイパー・ライフルらしい。

 公開2日目の2回目、新宿の劇場は全席指定で、2日前に確保。13分くらい前に入り口に向かうとすでに開場していた。やはりメインは中高年で、若い人は1〜2割。若い人の多くは女性だった。とはいえ、男女比は8対2くらいでほとんど男性。最終的に232席の9.5割くらい、ほぼ満席となった。過激だけど劇場で見る価値があると思うなあ。

 スクリーンはシネスコ・サイズで開いており、映写機のマスクが左右に広がって本編へ。


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