2018年5月16日(水)「サバービコン 仮面を被った街」

SUBURBICON・2017・英/米・1時間45分

日本語字幕:丸ゴシック体下、野崎文子/シネスコ・サイズ(デジタル、2.39〈公式サイトでは2.35〉、Arri ALEXA、in Panavision)/ドルビー・デジタル

(米R指定)

監督:ジョージ・クルーニー
脚本:ジョエル・コーエン、
   イーサン・コーエン、
   ジョージ・クルーニー、
   グラント・ヘスロヴ
撮影:ロバート・エルスウィット
出演:マット・デイモン、
   ジュリアン・ムーア、
   ノア・ジュープ、ほか

公式サイト
http://suburbicon.jp
(全国の劇場リストもあり)

1950年代のアメリカ、ニュー・タウン「サバービコン」は、学校や消防、警察署、ショッピング・モールまで備える、平和を絵に描いたような理想の町。ところが、そこへ黒人一家が引っ越してきたことから、町全体が揺らぎ始める。その黒人のマイヤーズ一家の裏に位置するロッジ家は、夫のガードナー(マット・デイモン)、足の不自由な妻ローズ(ジュリアン・ムーア)、その双子の姉マーガレット(ジュリアン・ムーア、二役)、1人息子のニッキー(ノア・ジュープ)が暮らす4人家族。母のローズに言われてニッキーはマイヤーズ家の一人息子アンディ(トニー・エスピノサ)と遊ぼうとする。そんなある日、ロッジ家に強盗が侵入し、全員睡眠薬を嗅がされ昏倒するも、運悪くローズだけが過剰摂取で死亡してしまう。そしてマーガレットがニッキーの面倒を見ることになるが……。


76点

前へ一覧へ次へ
 IMDbでは5.6点の低評価。そんなに酷いとは思わなかったが、確かに気分の良い映画ではない。不快に近い。後味が悪いわけではなくても、描かれている悪は根が深く、恐ろしい。暴力は「ファーゴ」(Fargo・1996・米/英)なみに残酷で、リアルで、気持ち悪くなるほど。血がすごい。火かき棒も……。さすがにアメリカでは成人指定。にもかかわらず、日本では誰でも見られるG指定。なぜ? まあ、子供は見ないと思うけど。

 コーエン兄弟らしい暴力まみれの映画ながら、ブラック・ユーモア的な側面もあり、ジイジやバアバは笑っている人もいたが、ボクはとても笑えなかった。自業自得とは言え、人が死ぬわけだし……。

 時代感は素晴らしい。1950年代のニュー・タウンの庭付き1軒屋、独特なデザインの車、理想的な家族像、素敵な髪型にファッション…… その裏で経済破綻、家族崩壊、人種差別……。それらを盛り上げる、古い曲の数々。

 そして、ヒッチコック・タッチを思わせるサスペンスと、よく似た音楽の使い方。スタンダード・サイズから始まり、絵本というかアルバムのようなものを使った、カイル・クーパー/プロローグによるオープニングも、昔の手法を思わせる。ジョージ・クルーニー監督はなかなかの手腕ではないだろうか。

 なんといっても子役がかわいらしくて、良い子で、演技も達者。たぶん重要なポイントだと思う。だからより怖いし、感情移入できるし、応援したくなる。

 銃はミッチ伯父さんが持ち出すのが、たぶんS&Wのミリタリー&ポリスの4インチ。ベッドを貫通して床板に弾痕ができる。この辺にも、ジョージ・クルーニー監督ながら、「ミラーズ・クロッシング」(Miller's Crossing・1990・米)的なコーエン兄弟らしさが。

 公開13日目の初回、といってもほぼお昼からの回、新宿の劇場は全席指定で、2日前にたまったポイントで確保。当日は17〜18分前に開場。ほぼオヤジとオバさんで、最初は15人ほどいてオバさんが4人だったが、徐々にオバさんが増えて逆転、たぶん男女比は4対6くらいに。若い人も数人。そして117席に5.5割くらいの入り。

 マナーのあと暗くなって、映写機のマスクが左右に広がってフル・サイズになり、映画泥棒のあと本編へ。


前へ一覧へ次へ