2018年5月26日(土)「犬ヶ島」

ISLE OF DOGS・2018・独/米・1時間41分

日本語字幕:丸ゴシック体下、石田泰子/シネスコ・サイズ(デジタル、2.35、Canon EOS 1DX)/表記なし(IMDbではドルビー・デジタル)

(独6指定、米PG-13指定)(日本語吹替版もあり)

監督:ウェス・アンダーソン
原案:ウェス・アンダーソン、
   ロマン・コッポラ、
   ジェイソン・シュワルツマン、
   野村訓市
脚本:ウェス・アンダーソン
撮影:トリスタン・オリヴァー
声の出演:エドワード・ノートン、
   ビル・マーレイ、野村訓市、
   ブライアン・クランストン、ほか

公式サイト
http://www.foxmovies-jp.com/inugashima/
(全国の劇場リストもあり)

今から20年後、日本のウニ県メガ崎市では犬が増え、ドッグ病やスナウト病といった犬の伝染病が発生。人間へうつることを危惧した小林市長(声:野村訓市)は、感染した犬をゴミの島へ追放することにする。第1号がスポッツ(声:リーヴ・シュレイバー)という犬で、実は小林市長の養子、小林アタリ(声:コーユー・ランキン)を保護する役を市長から任命された犬だった。科学大臣の渡辺教授(声:伊藤 晃)は研究により伝染病の血清が間もなく完成するから問題は解決すると主張したが、追放は続けられ、ゴミの島には犬が増え、犬ヶ島と呼ばれるようになる。6カ月後、小林アタリが飛行機で犬ヶ島に来て墜落する。愛犬のスポッツを探しに来たのだった。彼を助けたのは5匹の犬のグループ、野良犬だったチーフ(声:ブライアン・クランストン)、室内犬だったレックス(声:エドワード・ノートン)、タレント犬だったキング(声:ボブ・バラバン)、高校野球のマスコット犬だったボス(声:ビル・マーレイ)、女主人に大切にされていたデューク(声:ジェフ・ゴールドブラム)。彼らはアタリのスポッツ探しを手助けすることにするが……。


86点

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 見て良かった。面白かった。「KUBO/クボ 二本の弦の秘密」(Kubo and the Two Strings・2016・米)といい、最近のストップ・モーション・アニメは超絶面白い。しっかりとした物語らしい物語で、教訓があって、ファンタジーで、感動的で、しかもかわいらしく魅力的。見終わってとても爽やかな気持ちに。なんで上映回数が少ないのだろう。「クボ」も少なかったが、ストップ・モーション・アニメを下に見ているのか……。本作は小さいスクリーンとは言え、若い人が多くほぼ満席で、しかもエンド・クレジットでも2〜3人しか立たず、みんな明るくなるまで座っていたほど。一部拍手さえ起こっていた。ボクも拍手しようかと思ったくらい。

 反面、日本が舞台で、日本人が作っていないのに(かなりの数が参加はしているが)、日本らしい話で、なぜこういうものが日本では作れないのか、とても残念な気持ちになる。たぶんヒントの1つは、渋谷の忠犬ハチ公像だろう。犬を銅像にしてしまった日本人。そして江戸時代「生類憐れみの令」で特に犬を保護し大きな犬小屋に収容したという逸話あたりかと。もちろん黒澤明監督の世界的な傑作映画「七人の侍」(1954・日)も、直接ではないにしろ何かしらの影響を与えているようで、テーマ曲が大事なところで使われている。メカゴジラ的なメカ・ドッグに、東宝山ねえ。

 唯一残念だったのは、重要なキャラクターの1人、日本人の少年、小林アタリの声を演じた日本人ハーフのカナダ人、コーユー・ランキンの日本語がたどたどしく中国人か韓国人のように聞こえてしまうこと。実に残念。

 一方、犬などの動物がすべて英語で、日本人は日本語で、同時通訳の英語もありながらも、普通に会話できているのがまた面白い。違和感がなかった。留学生はもちろん英語だが、英語と日本語で会話すると。

 原題のIsle(アイル)は島の名前によく使われる英語らしいが、アイランドとどう違うのか日本人的にはよくわからない。

 公開2日目の初回(といってもお昼から)、新宿の劇場は全席指定で、2日前にムビチケカードで確保。当日は10分前くらいに開場。観客層は若い人から中高年まで幅広かったが、メインは若い人。2/3以上は若い人たちだったのでは。男女比は半々くらい。そして148席がほぼすべて埋まった。人気があるようなのに、なぜ小さな劇場でしか上映しないのだろうか。よくわからないなあ。良い作品なのに。

 スクリーンはビスタで開いており、CM・予告、映画泥棒の後、上ちょっとマスク、下大幅マスクでシネスコにして、本編へ。うむむ……。

 これはブルーレイが出たら買っちゃうかなあ。


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