2018年7月8日(日)「パンク侍、斬られて候」

2018・dTV・2時間11分

表記なしシネスコ・サイズ(デジタル?、2.35?)/音響表記なし(ドルビー・デジタル?)

(一部日本語字幕付き上映あり)

監督:石井岳龍(旧名:石井聰亙)
原作:町田 康『パンク侍、斬られて候』(角川文庫刊)
脚本:宮藤官九郎
撮影:松本ヨシユキ
出演:綾野 剛、豊川悦司、
   國村隼、染谷将太、
   北川景子、浅野忠信、ほか

公式サイト
http://www.punksamurai.jp
(全国の劇場リストもあり)

武士の時代、ある街道で、浪人の掛十之進(かけじゅうのしん、綾野 剛)がいきなり峠の茶屋にいた物乞いの親子の父を一刀両断にする。茶屋でそれを見ていた黒和藩(くろあえはん)の藩士、長岡主馬(ながおかしゅめ、近藤公園)にとがめられるが、素晴らしい剣技で組み伏せられ、あの親子は新興宗教の“腹ふり党”の者で、となりの藩は“腹ふり党”にやられてだめになった。黒和藩にも侵入しようとしていたから、先に防いでやったという。そして仕官したいから仲介しろと迫る。その時、黒和藩は筆頭家老の内藤帯刀(ないとうたてわき、豊川悦司)派と、次席家老の大浦主膳(おおうらしゅぜん、國村 隼)派に真っ二つに分かれて権力闘争の真っ最中。超切れ者の内藤は掛十之進の言うことに疑いを持ち、密偵の江下レの魂次(えげれのこんじ、渋川清彦)を隣の班に放つと共に、逆に掛十之進のハッタリを利用して大浦失脚させようと画策する。


73点

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 うーむ、これは…… スゴイんだけど、毒に当たった感じ。笑いもあるが、あまり笑えず、先の読めないとんでもない展開は観客をやや置き去りにし、こりゃ、どうオチを付けるのか難しいだろうなと思っていると、とんでもない力技で強引に終わらせる。ほとんどオサムというサブ・キャラにもっていかれるし、むちゃくちゃ。毒というか、悪夢というか。あまり楽しさはなかった。しかもそれが131分続く。

 雰囲気としては、同じ脚本家、宮藤官九郎が監督・脚本を手がけた「TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ」(2016・日)とよく似ている。あれよりもっと笑いが少ない感じ。ほとんど毒。ラストは、たぶん多くの人が予想したとおりになる。でも、あげた蜂の絵柄のどてらみたいなヤツは出てこないのかよ! そしてタイトルになると。うむむ、長いし、途中で飽きてきて、悪くはないけど、猛毒かも。毒なので、ハマる人は中毒になる可能性もあるが……。

 意外なことに銃も出て来た。合戦シーンで火縄銃が登場する。

 そして、特殊メイクが素晴らしい。浅野忠信演じる茶山半郎の顔の刺青には笑ったが、何より、長瀬正敏が演じたという(まったくわからなかった)サルの大臼延珍(でうすのぶうず)が秀逸だった。これは「猿の惑星」か? ただ、惜しいのは、口。その部分が硬いのか、本物の口から遠いからか、セリフを言っても口がほとんど動かない。オリジナルの1968年版かというくらい。見た目はものすごくリアルで、ハリウッドと比べても遜色ないのに……。特殊メイクの担当は公式サイトにも載っていないし、Wikiペディアにも載っていない。エンドロールでは確かにクレジットされていたのに、メモの字が汚くて……たぶんJIROとかなんとか。

 もう1つ良かったのは、説明シーンで出てくる宗教パートの人形劇の人形。これも実に良くできていた。レベルが高く、動きもプロっぽく、なんだかNHKの人形劇っぽかった。メモにもなく、エンド・ロールにあったのかどうかもわからない。

 エンドロールの最後にはLUMIXの文字も見えた。そしてラストに「完」と出る。音響とカメラの表記はなかったと思う。

 公開9日目の初回、といってもお昼から、日本橋の劇場は全席指定で、2日前にムビチケカードで確保。当日は12〜13分前に開場。観客層はほぼ中高年。上映間近に若い女性が増えて、男女比は4.5対5.5くらいと、やや女性が多くなった。最終的には119席に6.5割くらいの入り。むむ、これはちょっとヤバイかも。

 CM・予告の後、マナーがあって、暗くなって、映写機のマスクが左右に広がってフル・サイズになり、映画泥棒に続いて波が砕け散る東映マーク(TOHOの劇場で!)、そしてdTVマークに続いて本編へ。


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