2018年7月29日(日)「未来のミライ」

2018・NTTドコモ/日本テレビ放送網/KADOKAWA/スタジオ地図・1時間38分(IMDbでは100分)

ビスタ・サイズ(IMDbでは1.85)/音声表記無し(IMDbではドルビー・デジタル)

(『UDCast』方式に対応した視覚障害者用音声ガイド、日本語字幕対応)(一部日本語字幕付き上映もあり)

監督・脚本・原作:細田 守
作画監督:青山浩行、秦 綾子
美術監督:大森 崇、高松洋平(高ははしご高)
声の出演:上白石萌歌、黒木華、
     星野 源、麻生久美子、
     吉原光夫、宮崎美子、
     役所広司、福山雅治ほか

公式サイト
http://mirai-no-mirai.jp/index.html
(全国の劇場リストもあり)

しばらく、ばあば(声:宮崎美子)と2人で暮らしていた甘えん坊の4歳の男の子、くんちゃん(声:上白石萌歌)のもとに、おかあさん(声:麻生久美子)と生まれたばかりの女の子の赤ちゃん、そしておとうさん(声:星野 源)が帰ってくる。しかし両親とも赤ちゃんに掛かりっきりで、くんちゃんはちっともかまってもらえない。いじけて中庭に出て行くと、そこには別の世界が広がり、かつてこの家の王子だったと主張する男(声:吉原光夫)がいて、自分も同じで愛を失ったと言う。そして足下に黄色いボールが落ちていて、くんちゃんが試しに投げてみると、走って取りに行って、くんちゃんのところに持ってくる。くんちゃんの家にはくんちゃんが生まれる前から、犬のゆっこがいた。


73点

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 ちょっと感動的で、グっと来たところもあった。絵は美しく、芸術的で、3D-CGを使っているようで、カメラが移動してもパースもスムーズに変化する。俯瞰した街にはちゃんと車が走っている。降ってくる雪も自然で、結晶まである感じ。違和感全くなし。山下達郎のオープニング曲は抜群にい感じだし、エンディング曲もなかなかの雰囲気。

 しかし、予告ではファンタジー作品のような印象だったのに、まったく違っていた。幼い男の子をメインにした、リアルな子育てドラマ&子供のちょっぴり成長物語だった。そして、ちょっと群像的。誰が主人公という視点はない感じ。ただ「くんちゃん」という男の子がメインになってはいるかなという程度。それに教訓的な感じもして、この映画は親向け? 子供向け? と思ってしまう。

 また、共稼ぎとは言え、一軒家持ちのなかなか裕福な家庭のお話。豪邸。しかもその家は夫が設計したらしく、3階建てのような構造。2階に相当するところに大きな中庭があり、樫の木が植わっている。こんな環境、庶民はなかなか住めない。プラレールも山のようにある、そんな家。しかも家庭内の話で、実にこぢんまりとした物語。映画にするほどのものなのだろうか。中庭でのタイム・トリップのようなエピソードはどれも良かったけれど、全体としてのストーリーはあってないようなもの。

 1つ不思議だったのは、夫が一切声を荒げたり、怒ったりしないこと。そのおかげで、ケンカが起きなくてすんでいる。普通の家庭なら、妻の怒りや子供の怒りに、夫も怒りで応えてしまって感情がぶつかり合い、ケンカになるところ、それがない。しかもフリーランスとは言え、自ら進んで主夫をやり、一切文句も言わない。こんな夫、いる? この人、人間? 公園にいる近所の男の子達もみんな親切だし、ある意味ファンタジーなのかも。その点ではリアリティはない。

 タイトルも「未来のミライ」ではなく「今どきのくんちゃん」のほうがふさわしい感じ。ミライちゃんのエピソードは多くの中の1つに過ぎない。しかもそれほど重要でもない。ミライちゃんはくんちゃんの心境の変化のきっかけになっただけ。たぶん普通の家庭には良くあることなのでは。それよりむしろ過去のほうが重要だったりする。そして未来へとつながっているんだと。

 気になったのは、たふん演出なのだろうが、くんちゃんの声が4歳の子供っぽくないこと。セリフも行動もそれらしいのに、どうにも声優さんの地のままのような印象。だからよけいに駄々をこねたり、わがまま言うのがカチンとくる。その辺の狙いとしても、どうなんだろう。

 それと、の街全体を見渡すエスタブリッシュ・ショットから1軒の家に寄って行くオープニングを、なぜ2回繰り返したのだろう。2回目は山下達郎の曲がなかったような気がするけど。うむむ。

 公開10日目、すでに小さなスクリーンへ移されていて、客の入りが良くなかったのだろうか。新宿の劇場は全席指定で、初回をムビチケカードで確保。当日は17〜18分前くらいに開場。観客層は若い人から中高年まで、わりと幅広く、下は母に連れられた小学1年生くらいの女の子。ファミリーは3組くらい。男女比は6対4ほどで男性の方が多かった。最終的には朝一と言うこともあって少なかったのか、232席に5割ほどの入り。話題作でこれは少ないような。

 オンライン発券機がすべてトラブルで使えず、ちょっと混乱していた。新しい機械が導入されていてそのせいだったのか。座席券の発行はできるものの、ポイントが加算されないということで、係員が会員番号をメモして、あとで加算してくれると言うことだったが……。やっぱり機械は怖い。どうもに信用できないものがある。上映時間までに発券できるのか心配だったが、どうにか間に合った。

 スクリーンはシネスコで開いており、映写機の左右マスクで本編へ。スクリーンの方でマスクして欲しいなあ。絵のしまり具合が違う。


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