2018年8月11日(土)「カメラを止めるな!」

ONE CUT OF THE DEAD・2017・ENBUゼミナール・1時間36分

ビスタ・サイズ(16:9、デジタル)/音響表記なし(ドルビー・デジタル?)


監督・脚本・編集:上田慎一郎
撮影:曽根 剛
出演:濱津隆之、秋山ゆずき、
   長屋和彰、しゅはまはるみ、ほか

公式サイト
http://kametome.net/index.html
(全国の劇場リストもあり)

ある山奥のいわくつきの廃屋で、自主映画の撮影隊がゾンビ映画を撮っていた。本物の恐怖を求める監督、日暮隆之(ひぐれたかゆき、濱津隆之)は、主演女優のアイドル、松本逢花(まつもとあいか、秋山ゆずき)の演技になかなかOKを出さない。一旦休憩となると、本物のゾンビが襲ってくるが、本物を求める監督は撮影を続けるように指示を出す。


78点

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 おもしろい! 明らかに低予算だが、久しぶりに声を出して笑ってしまった。コメディでちゃんと笑えるなんて。しかも邦画で。これは見た方が良いと思う。傑作。

 最初の1/3くらいがあまり出来の良くない(画質も良くない)自主映画的なスプラッター系のホラー・パート(血まみれで気持ち悪くなるほど)、画質が良くなって、つなぎにやや退屈な人間ドラマ・パートがあって、残り1/3くらいが素晴らしいプロの技による怒濤のコメディ・パート。

 なぜあまり出来の良くないホラーだったのか、なぜ人間ドラマが必要だったのか、すべてがコメディ・パートで明かされる。これがめちゃくちゃ面白い。しかも映画のメイキングになっているわけで、裏側にはトラブルが山ほどあると。それは笑えないものもあるが、どうにか折り合いをつけて切り抜けていく。そこが興味深い。映画屋魂!

 メイキングものはおもしろいのだ。業界独特のルール的なものから、あるあるや、意外な展開まで、何でも起こる。こうやって撮っていたのかという驚きも! エンド・ロールの本当のメイキングも面白い。製作費は300万とか。それも驚き。

 前半のホラー・パート、撮影隊が襲われるという設定は、アメリカ映画かフランス映画にあったと思う。タイトルが思い出せないが、B級で出来も良くなかった記憶がある。サイコキラーだったかなぁ? とにかくそんなわけで、この映画も見る気がしなかったのだが、劇場が良くなったところで決断。見て良かった。

 公式サイトによると2017年11月に6日間限定の単館レイトショー公開されると、一気に人気となり、2018年の6月23日から都内2館の劇場公開。これがさらに人気を呼んで8月3日より全国拡大公開となったのだとか。新宿TOHOでは一番大きなATMOS対応スクリーンでの公開。

 監督は脚本も書いていて、編集もやっているわけだが、スゴイ才能だと思う。ただ、ここまで出来てしまうと、この後のプレッシャーが半端ないと思う。第2作めが重要。予算があるとどうなのか。才能は本物か、多くの人々の視線が集まる。大いに期待したい。

 拡大公開9日後の初回、新宿の劇場は全席指定で、たまったポイントで2日前に確保。当日は25分前くらいに開場。観客層は若い人から中高年まで幅広い。大ヒット作なので当然だろう。男女比はホラー・パートがあることからか、6対4くらいで男性の方が多かった。最終的にはこの劇場で最も大きな499席に8割ほどの入り。9席×2列のプレミアム席も15席が埋まった。さすがの人気。

 CM・予告のあと、マナー告知とTCX(東宝大スクリーン)のデモがあって、映画泥棒からアスミック・エースのロゴを経て、本編へ。

 それにしても、階下の4D劇場の振動が伝わってきて、不快だった。もっとしっかり作って欲しい。走って入ってくる人がいると、それだけで響くもんなあ。


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