シネスコ・サイズ(デジタル?)/音声表記なし(ドルビー・デジタル?)
(『UDCast』方式に対応した視覚障害者用音声ガイド、日本語字幕対応)(一部日本語字幕付き上映もあり)
監督:佐藤祐市 原作:『累』松浦だるま(講談社『イブニングKC』刊) 脚本:黒岩 勉 撮影:谷川創平 出演:土屋太鳳、 芳根京子、 浅野忠信、ほか |
伝説の名女優、淵 透世(ふちすけよ、檀れい)の13回忌に、かつて透世に世話になっていたという元演出家で芸能プロダクションの羽生田 釿互(はぶたきんご、浅野忠信)が現れ、娘の累(かさね、芳根京子)に声を掛け、東京へ出て女優をやらないかと誘う。阻害されていた田舎から逃げるように東京へ行くと、羽生田がマネイジメントする女優、丹沢ニナ(たんざわにな、土屋太鳳)と暮らすことになる。ニナは美人で人気もあったが、演技に問題があり、いつ発作が起きるかわからない持病も抱えていた。一方、累は天性の演技力を持っていたが、自分の容姿に強いコンプレックスを持ち、顔に大きな傷があった。そして累には母親からもらった不思議な口紅と、それを使ってキスすると顔を交換することができるという特殊な能力があった。その能力が明かされると、羽生田は累がニナと顔を入れ替え、ニナとしてその美貌を使い、自身の演技力を発揮すれば大きな仕事も取れると提案する。
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うーむ、結末のない物語。これだけ大騒ぎして、話はちっとも終わらない。ちょっと苦手だなあ。ものすごく暗い話だし…… 終わって出て行く時、若い女性の2人連れが「どろどろだったねえ」とひと言。せめて落としどころがあるのならいいが、これでは見て疲れて落ち込むだけ。 しかも、出てくるのは悪党ばかりという感じ。そして、これは狙いでもあるかもしれないが、主要キャラクターの淵 累と丹沢ニナのキャラクターが変わる。その都度、感情移入しやすくしているのだろうか。別の言い方をすればブレる。これがどうなのか。 その上、天才的な演技力と言われると、観客としてはどうしても厳しい目で淵 累と丹沢ニナを見てしまう。そこもどうなのかと。文字では書けても、実際にそれを演出し演技するとなると、どうなのかと。天才を感じさせたかと。ここが非常に不利。そして2人出てくる演出家というのも、芸術家気取りタイプと、怒鳴り散らすタイプで、どちらも「新進気鋭」とか「世界的」を感じさせるよりはステレオタイプすぎ。土屋太鳳と芳根京子は良かったと思うが……。 タイトルの「かさね」は怪談「累が淵」の累。名字は淵だから、タイトルからしてほぼそのまま。おどろおどろしいのは当然か。 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、2日前にムビチケカードで確保。当日は15分前くらいに開場。観客層は、下は母に連れられた小学生くらいの女子からいたが、ほぼ中高年。男女比は2.5対7.5くらいで女性の方が多かった。最終的には232席に3.5割くらいの入り。これはちょっと厳しいか。 スクリーンはシネスコで開いており、CMのあと映画泥棒があって、予告、そして映写機のマスクが左右に広がって、フル・サイズなってからマナーがあって、本編へ。 |