2018年11月24日(土)「銃」

2018・KATSU-do・1時間37分

モノクロ(一部カラー)/ビスタ・サイズ(1.66くらい、デジタル、DCP)/5.1ch

(日R15+指定)

監督:武 正晴
原作:中村文則『銃』(河出書房新社)
脚本:武 正晴、
   宍戸英紀
撮影:西村博光
出演:村上虹郎、
   日南響子、
   広瀬アリス、
   リリー・フランキー、ほか

公式サイト
http://thegunmovie.official-movie.com
(全国の劇場リストもあり)

大学生の西川トオル(村上虹郎)は、ある夜、荒川の土手にあった死体のそばで拳銃を見つけ家に持ち帰る。やがて撃ちたいという衝動が高まり、山奥へ行って試射する。そんなころ、1年生のとき知り合ったヨシカワユウコ(広瀬アリス)が声を掛けてきて、スローに付き合っていこうと決心する。さらにトオルは生き物を撃ちたい衝動に駆られ、夜の公園でケンカの果てに死にかけている猫を発見し、楽にしてやるため撃つ。すると翌日、トオルのアパートに刑事(リリー・フランキー)が訪ねてくる。


60点

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 第31回東京国際映画祭、日本映画スプラッシュ部門監督賞受賞。しかし正直な感想は、何だこれ? なぜ作ったんだろう、というもの。ほとんど内容がない。無意味な会話、無意味な展開。原作があることが驚き。各エピソードに有機的なつながりが感じられず、ケミストリーは起こらず広がっていかない。プロの作品と言うより、独りよがりな自主映画のよう。見終わって印象に残るのは「銃」ではなく「SEX」の方。そちらに力が入っているよう。ひょっとしたら監督は銃のことを知らないのかも。今時の映画としては展開も驚くほど遅い。

 タイトルが「銃」なのに、銃にこだわりが感じられず、じっくり撮ることもなければ、銃の恐ろしさや、威力も描かれていない。反動の大きさ(劇中357マグナムだと言っている)にいたってはまったく描かれていない。バレルの刻印とグリップ・マークのアップがあるだけ。実にうわべのみであっさり。それに対して、SEXはじっくり、実にいやらしく描いている。タイトルの銃はそっちのマグナム? 印象としては、イケメンモテ男の奔放なセックス・ライフといった感じ。

 パイロテックが手がけたという列車内での発砲は、仕掛けの火薬の煙もなく血糊がドバッと飛び散り、リアルな雰囲気でうまかったが、そこだけ。そこもリアルで言えば、脳が飛び散るとか、頭の半分くらいがなくなったりした方が良かったのでは? リアルさは必要ないという判断か。ローマン2インチだし……。こだわりが全く感じられない。タイトルが「銃」なのに。

 モノクロなのは、ラストの血の赤を強く印象づけたいということではないかと思うが、モノクロにして失ったものの方が大きい気がした。

 公開8日目の2回目、新宿の劇場は全席指定で、3日前に劇場まで行ってムビチケカードで確保。めんどうくさい。しかも座席は昔のままで、わずかの傾斜しかなく全席に人が座ると頭が邪魔になる。さいわい混まなかったのでセーフ。10分前に開場。ほぼ中高年の高寄りで、本作の製作に関係していそうな人が何人かいたようで、挨拶していた。最終的に218席に40人くらいの入り。女性は4人ほど。

 スクリーンは1.66くらいのビスタで開いており、CM・予告から、映画泥棒があって暗くなり、スクリーンのマスクが少し左右に広がって1.85くらいになって本編へ。やっぱりスクリーン側のマスクは真っ黒で画面が締まってイイ!


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