2018年11月25日(日)「ギャングース」

2018・「ギャングース」FILM PARTNERS・2時間00分

シネスコ・サイズ(デジタル、Arri ALEXA)/表記なし(ドルビー・デジタル?)

(日R15+指定)

監督:入江 悠
原作:肥谷圭介(漫画)
   鈴木大介(ストーリー共同制作、原案)
脚本:入江 悠、
   和田清人
出演:高杉真宙、
   加藤 諒、
   渡辺大知、
   MIYAVI、ほか

公式サイト
http://gangoose-movie.jp
(全国の劇場リストもあり)

少年院で知り合い、親友となったサイケ(高杉真宙)、カズキ(加藤 諒)、タケオ(渡辺大知)の3人は、差別され、まともな仕事に就くことさえできず、生きていくために、見つかれば即死刑だが警察に届けることができない犯罪者を相手にタタキ(窃盗、強盗)をやることに。そしてオレ詐欺の事務所が無人になった隙を狙い金庫を盗み出すが、入金した後で現金は10万しか入っていなかった。経費を引くとわずかな儲けにしかならなかった。しかし、奪ったものの中に、大きな犯罪組織「六龍天(ろくりゅうてん)」のオレ詐欺名簿のデータが隠されていたことから、それを逆利用し、集金した金を強奪することを思いつくが、やがて「六龍天」に知られることになる。


76点

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 映画としては良くできていて、面白かった。ハラハラドキドキ。ただ、あまりに問題は重く、暴力に満ちていて、汚い言葉に溢れているため、気分は悪くなる。ちょっとだけ笑いもあるが、決して楽しい気持ちにはならないし、ラストでもバッド・エンディングではないのにスッキリ爽快とは行かない。悪党だらけ。身近に実存するパラレル・ワールドのような異世界に行ったような感覚。蟻地獄のようにもがけばもがくほど抜けられない恐怖が支配する世界。映画を満たしている怒声、罵声、汚い言葉は自分に浴びせられているようで、聞いているだけでとても気が滅入るし疲れる。見終わるとヘトヘト。やっと解放されたという感じになってしまう。

 まあ、リアリティがあるキャラクターに、リアリティがあるセリフ、そしてリアリティがある演技。自主製作でも良く言われるが、ヤクザ演技は誰でもうまく演技できるという傾向がある。それをうまい人がやると、もう本物にしか見えない。そこに見事な演出。怖い。

 普通の作品と違うのは、たぶんアウトローの世界を外側から描くのではなく、内側、アウトローの視点から描いている感じになっていることだろう。そのため一般常識的なものは通用せず、異なる価値観がある。基本的に良いヤツとか普通のヤツはおらず、悪の世界だけ。うむむ、怖い。

 気になったのは画質。かなり解像度が低めで、色調はホワイトバランスを取らずに蛍光灯で撮ったみたいに全体に緑がかっている。雰囲気は古いフィルムのよう。そこを狙ったのか。ボク的にはもっと鮮明な、シズルのある今を感じさせる画質が良かったと思う。この画質だと古いことにように思えてしまう。しかし、家庭内暴力、虐待などの問題は現在進行形のことなのではないだろうか。

 これだけのヤクザ映画なのに、銃はなし。ラストのパトカーで駆けつけた警察官はニュー・ナンブとかチーフを下げていたかも。カメラが引きになるので、詳しくは不明。

 公開3日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は15分前くらいに開場。最初8人ほどで、女性は2人。若い人から中高年までいたが、メインは若い人たち。原作漫画の世代だろうか。着いた時点で、この劇場で全回、残席が充分あるのは「ポリス・ストリー」と本作のみ。うむむ。最終的には128席に25人ほどの入り。もっと入ってもいい出来だと思うが、暴力と汚い言葉満載だからなあ。気軽に人に薦めにくいかも。

 CM・予告に続いてマナーがあって、暗くなってから、なぜか間を置いて映画泥棒へ。そしてフル・サイズで本編へ。


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