2018年12月1日(土)「へレディタリー/継承」

HEREDITARY・2018・米・2時間07分

日本語字幕:丸ゴシック体下、松浦美奈/ビスタ・サイズ(デジタル、with Panavision、IMDbでは2.00、Arri ALEXA)/音響表記なし(IMDbではドルビー・デジタル、ドルビー7.1)

(米R指定、日PG12指定)

監督・脚本:アリ・アスター
製作総指揮:ライアン・クレストン、
   ジョナサン・ガードナー、
   トニ・コレット、
   ガブリエル・バーン
撮影:パヴェウ・ポゴジェルスキ、
出演:トニ・コレット、
   アレックス・ウォルフ、
   ミリー・シャピロ、
   ガブリエル・バーン、ほか

公式サイト
http://hereditary-movie.jp
(全国の劇場リストもあり)

グラハム家の祖母が亡くなる。そのあと、不気味な現象が起きる中、落ち込む母のアニー(トニ・コレット)は、夫のスティーブ(ガブリエル・バーン)に内緒でグループ・セラピーに通う。高校生の兄ピーター(アレックス・ウォルフ)は、友人達とマリファナに手を出し、13歳の妹のチャーリー(ミリー・シャピロ)は異常な行動をとり始める。そんな時、パーティーに行くというピーターに、母のアニーはチャーリーも連れて行くように命じ、そこで事故が起こる。


75点

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 怖い! 怖いが、それより不気味で気持ち悪い。かなり強烈なホラー。悲惨で、救いようが無く、打ちのめされる。しかも正統派で、音で脅すような安易な手は使わない。だから心に響くし、後々まで残る。

 ただ毎回言うことながら、悪魔というのは日本人的にはあまり響かない。むしろ霊の方が怖い。本作は霊を超えたところに存在する悪魔。欧米的には最大級に恐ろしいものなのだろう。エンディングは、最近で言うとトンデモな「アンダー・ザ・シルバーレイク」(Under the Silver Lake・2018・米)のようだった。

 すごい演出力だと思うが、監督は本作が長編映画デビュー作なんだとか。これは驚き。今後注目の監督かもしれない。ホラーをちゃんと怖く撮れる監督は、他のジャンルでも手腕を発揮し、大成する人が多い。次作に注目が集まることだろう。はたしてどんな作品を撮るか。

 気になったのは、ドール・ハウス、ミニチュアの家の模型。ここへズームして行って物語が始まり、随所で現実世界をミニチュア的に撮影し、そのようなカメラ・ワークや演出を使いながら、結局それは単なる妻の仕事でしかなかったというのは、どうにも未消化というか納得できない。本当は妻の頭の中で起こっていた嵐で、現実ではなかったというような夢落ちで、スニーク・プレビューしたら不評で、変えちゃったとか……。邪推してしまうなあ。

 タイトルのヘレディタリーとは遺伝のとか世襲のという意味。つまり継承ということになるのだろう。エンディングのクレジットは、前の人の名前の一文字が赤色で、下に落ちて行き次の人の名前の1文字になるというリレー方式。血が受け継がれていくと。うまいなあ。担当した人の名前は読み切れなかった。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。鑑賞日は映画の日で、誰でも1,000円なので混雑が予想された。案の定、当日は朝から混雑していて、ほぼどのスクリーンも、全回に近い数が残席わずかの黄色表示か、売り切れの赤表示。映画ファン的には混雑するので、映画の日は平日にやって欲しいところ。

 15分前くらいに開場となり、場内へ。観客層は中高年が多く、メインは中年層という感じ。若い人は少しだけ。男女比は7対3くらい。最終的には122席はほぼすべて埋まった。

 CM・予告の後、マナーがあってから暗くなって、映画泥棒から映写機の左右マスクでビスタにして本編へ。


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