2018年12月16日(日)「来る」

2018・「来る」製作委員会・2時間14分(IMDbでは135分)

ビスタ・サイズ(1.66で上映、デジタル、一部フィルム、Arri ALEXA、by Panavision、ドルビーVISION)/音声表記無し(ドルビー・デジタル?)

(日PG12指定)(一部日本語字幕付き上映もあり、『UDCast』方式に対応した視覚障害者用音声ガイド、聴覚障害者用日本語字幕付)

監督:中島哲也
原作:『ぼぎわんが、来る』澤村伊智(角川ホラー文庫刊)
脚本:中島哲也、
   岩井秀人、
   門間宣裕
撮影:岡村良憲
出演:妻夫木聡、
   黒木華、
   岡田准一、
   小松菜奈、ほか

公式サイト
http://kuru-movie.jp
(全国の劇場リストもあり)

幼い頃恐怖体験のある田原秀樹(たわらひでき、妻夫木聡)は、取引先で知り合った店員の香奈(かな、黒木華)と結婚、やがて女の子が生まれる。良きパパを目指す秀樹は子育てのブログを始め、マンションを購入して引っ越し、絵に描いたような幸せの絶頂にいた。しかし2年後、不可解な事件が起き始め、娘が「あれが来て、連れて行くって」と言い出し、心当たりがあった秀樹はも高校時代の友人で民俗学者の大学准教授、津田大吾(つだだいご、青木崇高)に相談する。すると知り合いのオカルトに強いルポライターの野崎和浩(のざきかずひろ、岡田准一)を紹介され、野崎はキャバ嬢の霊媒師、比嘉真琴(ひがまこと、小松菜奈)のところへ野崎と津田を連れて行く。


75点

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 怖い! 堂々たるホラー映画。血まみれで、精神的暴力映画という感じ。とは言え、結末はあるが解決は無い映画。結末も、あえて明確には描いていない感じ。どうとでも取れる。観客任せと言うことか。だから人によって解釈は異なるだろう。ボクは正直よくわからなかった。血とタバコ多め。

 ボクの感覚では、映画は視点というか主人公を変えるようにして進行していく。長尺だから実現できた手法だろう。最初は中心となる家族の夫の話。そして妻の話になって、オカルトも手がけるルポライターの話になり、大団円を迎える。

 日本の全国各地に残る「世界文化遺産」の来訪神的な人さらい、人喰らい妖怪の話ということになるのだろう。しかし結局、正体は現さない。具体的に描くと陳腐なものになってしまうかもしれないから、観客の想像に任せると。うむむ……でも怖い。怖いが「気持ち悪い」の方がちょっと強いかも。さらには「悲惨」。酷すぎる話。これでもかと、踏んだり蹴ったりの身の上に、育児放棄、家庭内暴力、不倫、不実、虚言、ヒステリー……。どれもリアルで気分が悪くなる。

 特に存在感があり、いいなあと思ったのは、霊能力のあるキャバ嬢、比嘉真琴を演じた小松菜奈。超インパクトがあり、強烈な印象を残す。特に小松菜奈に関しては、終わって出て行く時、若い女の子が「小松菜奈ってかわいいカッコしている時は良いと思わなかったけど、こういう感じはカッコ良かったね」と言っていた。激しく同意。まるで別人的なイメージ。役者だなあと。タレント霊媒師役の柴田理恵も怖かったけど。

 ラストは、解決していない気がするが、突然終わって「完」と出る。これは最近珍しいかも。あえて出したのか。「以上。クレームは受け付けませんよ」「補足説明もありませんよ」的な意味合いで。

 公開10日目の初回、新宿の劇場はすでに小さなスクリーンでの公開。あれれ、人が入らなかったのだろうか。2日前にオンラインで確保して、当日は14〜15分前に開場。ほぼ中高年で、小学生くらいの娘を連れた父もいたが、こういう過激な映画を見せて大丈夫なのか。トラウマとかになっていなければ良いが。男女比はほぼ半々くらいか若干、女性が多いくらい。最終的には127席がほぼ埋まった。

 スクリーンはシネスコ比率で開いており、CM・映画泥棒の後、予告があって、暗くなってからマナー、そして映写機の左右マスクで本編へ。やっぱり画面が締まらないなあ。


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