2019年1月14日(月)「蜘蛛の巣を払う女」

THE GIRL IN THE SPIDER'S WEB・2018・英/独/スウェーデン/加/米・1時間55分(IMDbでは117分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、松浦美奈/シネスコ・サイズ(2.39、デジタル、Arri ALEXA、ドルビーVISION)/ドルビーATMOS(IMDbではドルビー・デジタル)

(米R指定、日PG12指定)

監督:フェデ・アルバレス
製作総指揮:デヴィッド・フィンチャー
原作:「The Girl in the Spider's Web」
   ダヴィド・ラーゲルクランツ
脚本:ジェイ・バス、
   フェデ・アルバレス、
   スティーヴン・ナイト
撮影:ペドロ・ルケ・ブリオッツォ
出演:クレア・フォイ、
   レイキース・スタンフィールド、
   クラエス・バング、ほか

公式サイト
http://www.girl-in-spidersweb.jp
(全国の劇場リストもあり)

天才ハッカーのリスベット・サランデル(クレア・フォイ)に仕事の依頼が来る。AIの世界的権威フランス・バルデル博士(ステファン・マーチャント)が、アメリカの国家安全保障局(NSA)のために自らが開発したプログラム「ファイア・フォール」が、世界中の核兵器にアクセスできることが判明したため、NSAから取り返して欲しいという。リスベットはすぐにNSAにハッキングすると、まんまと「ファイア・フォール」を盗み出してしまうが、それを知ったNSAの元伝説的ハッカー、エドウィン・ニーダム(レイキース・スタンフィールド)はすぐに追跡を始め、スウェーデンのストックホルムからアクセスしていたことを突き止め、すぐに飛行機に乗る。そして間もなく、リスベットは謎の一団に襲撃され、パソコンを奪われてしまう。


76点

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 なかなか怖いミステリー。変態的な人々と、サブカル的というかパンク的人々、そしてバイオレンス。なかなか強烈な映画だ。しかし「ミレニアム」シリーズよりはそれらの世界観が抑えられ、リスベットと正体不明のとてつもなく強い敵とのスリリングな戦い、丁々発止のやりとりがメインになっている感じ。おどろおどろしい世界観より、ゲーム的駆け引きのようなものがメインで描かれている。それがどうか。スウェーデン感は割と残っている。ボクはデヴィッド・フィンチャー版より楽しめたが、IMDbでは6.1点の厳しめな評価。

 ゲーム的駆け引きのようなものは「ドント・ブリーズ」(Don't Breathe・2016・米)の監督、フェデ・アルバレスが手がけているからだろう。やりとりの描写がうまいのは、それで証明済み。天才同士の戦い的な部分もあり、騙し騙されの展開。そこが面白いし、そして何より、敵の男がめちゃくちゃ強くて良い。ラストはあっけないけど。

 原作は「ミレニアム」のスティーグ・ラーソンではなく、彼の死後引き継いだというダヴィド・ラーゲルクランツという人が書いているんだとか。ここでも雰囲気が変わったのかもしれない。

 とにかくアクションは凄い。バイク(ドゥカッティ)やスーパーカーでのチェイス、そして銃撃戦。スタンガンに、アイスピック系のもので刺すということも。けっして諦めないリスベットは超人的で、女ターミネーターか?! 黒い革ジャンを羽織って、自分の手(じゃなくて肩だが)を自分で修理(治療)する。そして無表情。子供を助けたり、倒れても必ず立ち上がってくるし……。タバコ吸うけど。パニック・ルーム的なものはデヴィッド・フィンチャーへのオマージュだろうか。

 銃は、ついにアメリカ軍の制式拳銃M17/M18となった元のP320が登場。もしかしたら初登場? NSAのエド・ニーダムが使う。ほかにもケースには特殊部隊向けのH&KのMk.23も入っていたような。リスベットは、チラシなどではH&KのP2000を持っているが、本編ではP30ぽく見えた。ラスト、火曜サスペンスのように犯人を崖に追い詰めた時にはベレッタPx4ストーム。敵のスパイダースはグロックのサウンド・サプレッサー付き、P226、そしてサブマシンガンはシュタイアーのTMPというかブルッガー&トーメのMP-9、CZスコーピオンEVO3など。人が吹っ飛ぶほどの強力なスナイパー・ライフルは.50口径のブッシュマスターBA50。撃った時の反動や、マズル・ブレーキから噴出するガスもリアルに再現されていた。実弾撃ってる?

 公開4日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、前日にどうにか予約。そういえば毎月14日はTOHOの日で、誰でも1,100円。そのためかすでにほぼ満席状態で、かろうじて空いていた席に滑り込んだ。当日は20分前にビルの入り口が開き、15分前に開場。ほぼ中高年で、やや高寄り。オリジナルの「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」(M穫 som hatar kvinnor・2009・スウェーデンほか)を劇場で見た人たちか。女性は1/4ほどで、男性より明らかに若い。最終的には184席に99%くらいの入り。キャパは小さいものの、なかなかの人気。

 CM・予告の後、マナーがあって暗くなり、映写機のマスクが左右に広がってシネスコ・サイズになると、映画泥棒から本編へ。


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