2019年2月24日(日)「アリータ:バトル・エンジェル」

ALITA: BATTLE ANGEL・2018・米・2時間02分

日本語字幕:丸ゴシック体下、風間綾平/シネスコ・サイズ(2.39、デジタル、Arri、ドルビーVISION、IMAX)/ドルビーATMOS(IMDbではドルビー・サラウンド7.1も)

(米PG-13指定、日PG12指定)(3D上映、4D上映、日本語吹替版、IMAX版もあり)

監督:ロバート・ロドリゲス
製作・脚本:ジェームズ・キャメロン
原作:木城ゆきと「銃夢」(集英社)
脚本:レータ・カログリディス
撮影:ビル・ポープ
出演:ローサ・サラザール、
   クリストフ・ヴァルツ、
   ジェニファー・コネリー、
   マハーシャラ・アリ、ほか

公式サイト
http://www.foxmovies-jp.com/alitabattleangel/
(全国の劇場リストもあり)

ザ・ウォーから300年後の2563年、空中都市「ザレム」から出た廃棄物の山で、屑鉄の町「アイアンシティ」のサイバー医師イド(クリストフ・ヴァルツ)は、使えそうなパーツを探していた。すると瓦礫の中からサイボーグ少女の頭部が見つかる。奇跡的に脳が生きていたことから、イドは持ち帰り、新しい機械の体を接続し、蘇らせることに成功する。しかし少女は記憶を失っており、名前さえ思い出せない。そこでアリータ(ローサ・サラザール)という仮の名で、イドの元で暮らすことになる。やがてアリータは町の少年ヒューゴ(キーアン・ジョンソン)と知り合い、一緒に遊ぶようになる。そしてイドにはもう1つの顔があることが判明する。


86点

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 楽しかった。映画を観た、という感じ。充実した時間。とにかくアリータが健気でカワイイ。日本のアニメ並みに目が大きすぎることで、予告を見た時は心配もあったが、実写でもそれほど違和感はなかった。しかも、このキャラだから目が大きいわけで、すべての登場人物が大きいわけじゃない。ハッキリ語られてはいないものの、ちゃんと必然性というか、理由がある。観客がアリータに恋をすれば(女性は共感できれば)この映画は成功だろうから、それは達成されたと。博士を「お父さん」と呼んだ時には涙が出そうに。原作が読みたくなった。そして、ブルーレイが出たらぜひ欲しい。

 そして、SFの要素満載で、半分機械のサイボーグはあまりにリアルで、何の抵抗もなく受け入れてしまう。そしてアクション満載。日本でもPG12指定がつくほど過激なアクション。たぶん生身の人間が直接やられるカットはなく、オフカメラでそれが起こるのに対して、ほぼロボットに近い改造人間のサイボーグは、暴力シーンが直接的に描かれている。そして、生身はペットでも赤い血だが、サイボーグは青い液体。この辺の対比も面白い。スピード感あふれるアクションはロバート・ロドリゲスならではだろう。そして機械の体のアリータがなかなかセクシー、色っぽいというか、艶っぽい。

 ただ、122分でこの世界観を観客に受け入れさせ、サイボーグと生身の人間の愛を信じさせ、天と地の世界の正義を感じさせるのはちょっと無理があったようで、ギリギリ受け入れられるものの、かなり強引な展開。あれ、いつアリータって名前を教えたっけ?という具合。

 もちろん日本の要素はたくさん取り入れられていて、多国籍の町のあちこちに日本語の看板もある。そして銃は禁止で、代わりに刀は許されているという世界。そこで展開するサブ・ストーリーは、賞金稼ぎと「モーターボール」というローラーゲームのような格闘スポーツの物語。サイボーグの感じは押井守監督の世界観にも通じる印象。

 久しぶりに3Dで見たが、そこまでの必要性があったかどうか。眼鏡のせいでスクリーンは暗くなるし、立体感はまあまあ。特に冒頭はパネルのような立体感で、作ったような感じで…… ちゃんと3Dカメラで撮っているのだろうか。冒頭意外はパネル感はなくなり、自然な立体感のようだったが。どうしても3Dにはフォーカスの問題がつきまとう。基本、パンフォーカスでないと不自然だし、立体感が出にくい。しかし手前のものがピンボケになっていたりすると、立体感が薄れてしまうし、視線がそっちに移っても現実とは違うからピントが合わないわけで……。

 銃は、基本、銃が禁じられた刀剣の世界なので出てこないが、それでも過去の戦争シーンで、なかなかかっこ良いブルパップ・ライフルが使われていた。そして警察車両らしい多脚車両のフチコマ/タチコマ的なセンチュリオン(?)にはバルカン砲が搭載されていた。

 話としては完結しておらず、謎がたくさん残され、上の世界との対決も予感させることから、これは三部作かな。監督にもよるだろうけど、楽しみ。

 公開3日目の初回、新宿の劇場は、通常版、3D版、IMAX版、4D版などの上映があり、時間の都合でTCX&ATOMSの3D版にしたが、うーむ、大スクリーンのTCXは良かったものの、あとは必要あったかなあ。観客層は若い人から中高年まで幅広く、下は父に連れられた小学生の男の子くらいから。若い人も多めだった。男女比は、最初は8対2くらいだったのが、最終的には女性は1/3くらいに。もっと女性が見ても良い映画だと思うけどなあ。最終的には499席に3.5割くらいの入り。9席×2列のプレミアム席もたぶん女性1人を含む8席が埋まった。

 朝一なのでしようがないのかも知れないが、4DやIMAは座席が少ないとものの残席わずかの表示だった。通常の字幕版はスタートが遅く、何の表示もなかったので、空き気味だったのかも。

 CM・予告の後、マナーがあってTOHOロゴから暗くなり、TCXのデモ、ATMOSのデモと続いていよいよというところで映画泥棒。ガクッときて本編へ。

 それにしても、時々、下の4D劇場の振動が伝わって来て、不快だった。特に最初は地震を想像してしまい、ドキンとする。どうにかして欲しいなあ。


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