2019年3月3日(日)「移動都市:モータル・エンジン」

MORTAL ENGINES・2018・ニュージーランド/米・2時間09分(IMDbでは128分)

日本語字幕:手描き風書体下、林 完治/シネスコ・サイズ(2.39、デジタル、RED、ドルビーVISION、IMAX、IMDbでは3D版も)/ドルビーATMOS(IMDbではドルビー・デジタルも)

(ニュージーランドM指定、米PG-13指定)(日本語吹替版もあり)

監督:クリスチャン・リヴァーズ
原作:『移動都市』(創元SF文庫刊)
   フィリップ・リーヴ著/安野玲訳
脚本:フラン・ウォルシュ、
   フィリッパ・ボウエン、
   ピーター・ジャクソン
撮影:サイモン・ラビー
出演:ヘラ・ヒルマー、
   ロバート・シーアン、
   ヒューゴ・ウィーヴィング、
   ジヘ、ほか

公式サイト
http://mortal-engines.jp
(全国の劇場リストもあり)

量子エネルギーを使った兵器による世界戦争で人類の文明が崩壊したあとの世界。生き残った人々は巨大な移動都市に住み、移動しながら暮らしていた。そして、いくつかの移動都市は捕食都市となり、小さな都市を取り込み、資源や労働力を奪っていた。その最大のものがロンドンで、ある日、逃げ遅れた炭坑都市を飲み込む。そしてその中に、ロンドンの考古学者で指導者のサディアス・ヴァレンタイン(ヒューゴ・ウィーヴィング)を母親の敵と狙う少女ヘスター・ショウ(ヘラ・ヒルマー)がいて、刃物を抜いて襲いかかる。しかし、その場に居合わせた歴史家見習いのトム・ナッツワーシー(ロバート・シーアン)が身を挺して妨害する。ヘスターは逃げ、後を追ったトムは、都市の廃棄物放出口から脱出しようとしたヘスターから、サディアスが母を殺したと聞かされる。そこへ現れたサディアスは、トムを放出口へ突き落とす。


72点

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 ものすごく壮大な物語。スペース・オペラ的。よくこれが129分で収まったものだ。ボクは途中、とても1話で収まらないなと思った。きっと続くになるのだろうと。ところが違った。ちゃんと完結した。もちろん続編は作りやすいような終わり方で。

 ほとんど完全に作り出されたと思われる世界で展開する物語は、驚きのビジュアルで彩られている。レトロフューチャーな世界観。とてもお金が掛かっている。エンドクレジットではたくさんの人々の名前の列が延々と続くようで、いつ終わるんだと思ってしまったほど。これだけで見る価値がある。

 ただ、物語の展開は単調というか、一本調子で、凄い話が展開しているのに、眠くなる。実は何回か気を失いかけた。何より良くないのは、主人公の少女の恋人役の設定。バカ過ぎ。見た目も、まるでアメコミに登場するドジな主役キャラクターそのままという感じだし。すべての行動、セリフに突っ込みたくなる。「バカなの?」こんな男に惚れるなんてどうかしている。これがまともな男の子なら、応援できるんだけどなあ。

 細部では、この監督は宮崎 駿監督作品のファンなのかもしれない。移動都市は「ハウルの動く城」(2004・日)みたいだし、「天空の城ラピュタ」(1986・日)のような空中都市と、女海賊ドーラとその愛機タイガーモス号みたいなものも出てくる。あるいは「紅の豚」(1992・日)のポルコの赤い飛行機か。機械の体は「銀河鉄道999」だろうか。関係ないけど、ミニオンまで出すとは!


 太っておらず、むしろスリムだけど、女海賊ドーラ的なキャラクター、空賊(!)アナ・ファンを演じたのは韓国系のジヘ。ナショナルジオグラフィックのTVドラマ「マーズ 火星移住計画」(Mars・2016・米)に出て強烈な印象を残していた人。本作でもいい味を出している。

 銃は、レトロフューチャーなSFガンのみ。ヒューゴは1911オート系のスマートなフルオート・ガンを持っており、ヘスター・ショウは押井守作品的なマテバ系リボルバー。ロンドンの警備兵はドラムマガジン付きのサブマシンガン系を使っている。アナ・ファンは、これまたドーラ的にソウドオフのような4連バレルのショットガン系を使う。

 監督は、本作で製作を務めるピーター・ジャクソンの「ロード・オブ・ザ・リング」(The Lord of the Rings: The Fellowship of the Ring・2001・ニュージーランド/米)や「ホビット思いがけない冒険」(The Hobbit: An Unexpected Journey・2012・米/ニュージーランド)シリーズなどで、VFXやプレビズ、ストーリーボードなどを担当したアーティストのクリスチャン・リヴァーズ。

 公開3日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は17〜18分前に開場。作品のジャンルからか、若い人から中高年まで幅広く、女性は少なめ。最初30人くらいいて、女性は2〜3人ほど。東京マラソンの日だったが、雨が降ったからか、割と人が多め。どの作品もほぼ満席の赤色表示か黄色表示。本作も最終的には122席がほぼ埋まった。たぶん女性は6〜7人。

 CM・予告から、マナーがあって場内が暗くなり、映写機のマスクが左右に広がってシネスコ・サイズになり、いよいよというところで腰砕けの映画泥棒。そして本編へ。


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