2019年3月9日(土)「運び屋」

THE MULE・2018・米・1時間56分

日本語字幕:手描き風書体下、松浦美奈/シネスコ・サイズ(2.39、デジタル、by Panavision、IMDbではArri)/ドルビー・デジタル(IMDbではドルビー・デジタル7.1chと)

(米R指定)

監督・製作:クリント・イーストウッド
原案:サム・ドルニック
   (NYタイムズ誌の記事「シナロア・カルテルの
    90歳の運び屋」にインスパイヤーされて)
脚本:ニック・シェンク
撮影:イヴ・ベランジェ
出演:クリント・イーストウッド、
   ブラッドリー・クーパー、
   ローレンス・フィッシュバーン、
   マイケル・ペーニャ、ほか

公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/hakobiyamovie/
(全国の劇場リストもあり)

デイリリーという花の栽培にすべての情熱を傾け、園芸の世界では知られた存在のアール・ストーン(クリント・イーストウッド)だったが、家庭を顧みなかったことから、妻のメアリー(ダイアン・ウィースト)と離婚、娘のアイリス(アリソン・イーストウッド)とも絶縁状態となり、90歳を過ぎてひとり孤独に暮らしていた。そしてインターネット販売が浸透し、対応できなかったアールは園芸の仕事もなくなり、自宅を差し押さえられる事態に。そんなとき「友だちがドライバーを探している」と声を掛けられ、メキシコの犯罪組織の運び屋をやることになる。


82点

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 面白かった。感動した。シリアスで重い話(実話!)を、軽いコメディ・タッチを採り入れながら、うんざりさせずに最後まで見せる。ギャング達とのやり取り、そしてFBIとの駆け引きもスリリング。この辺がイーストウッドらしいところ。

 斬新な撮り方はしていない代わり、安心してみられるハリウッド定番の構成。確執、葛藤、和解、ちょっぴりのエロ、追う者と追われる者、絆、ギャング、パーティ、銃撃、良い曲……すべて取り入れて過不足なしという感じ。不満がないわけではないが、がっかりさせられたり、イライラさせられることもない。ちゃんと感動させてもらえるのだから文句を言う筋合いはないかと。

 イーストウッドは主演も務め、いい味を出している。ちょっとオランウータンと共演した「ダーティファイター」(Every Which Way but Loose・1978・米)の主人公のような雰囲気もあった。自身1930年生まれだから、89歳。ほぼ主人公の歳。すごいなあ。背中も曲がり、歩き方もヨタヨタとゆっくりめになったが、まだまだカッコいい。

 いい味を出していたのは妻役のダイアン・ウィーストも同じ。この人の存在感がなければ、和解を信じられなかったかもしれない。ウッディ・アレン作品によく出ている人で、アカデミー賞を2度も受賞している大女優。うまいわけだ。

 また強い印象を残すのが最悪の親子関係となった娘を演じたアリソン・イーストウッド。イーストウッドの実の娘さんで、母は最初の妻のマギーだそうだが、雰囲気はフランシス・フィッシャーに似ている気がする。

 気になったのは孫娘を演じたタイッサ・ファーミガ。「死霊館のシスター」(The Nun・2018・米)に出ていて、注目していた人。やっぱり存在感がある。

 銃は…… メキシコ人のタイヤ屋がM4カービンと、ベルトに挟んだシルバー・スライドのたぶんワルサーPPQあたりのオート。麻薬カルテルの大ボスは金の上下二連ショットガンに、ボディ・ガードは金のAKS、そして1911オートのタクティカル系カスタム。ほかにベレッタ92、1911オートのシルバー、1911ナショナルマッチのカスタム、グロックなども出てくる。

 公開2日目の初回、日比谷の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は20分前くらいに開場。ほぼ中高年で、むしろ高寄り。最初20人くらいいて女性は1〜2人。徐々に女性も増えていったが、3割行ったかどうか。最終的には8席あったプレミアム席も1席残して埋まり(たぶん女性は1人)、257席の98%くらいが埋まった。まっ、ほぼ満席。イーストウッドは人気があるなあ。

 CM・予告の後、マナーがあって、映写機のマスクが左右に広がり、暗くなってから映画泥棒。ガクっときて、ワーナーのモノクロ・ロゴから本編へ。


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