2019年3月10日(日)「シンプル・フェイバー」

A SIMPLE FAVOR・2018・加/米・1時間57分

日本語字幕:フチ付き丸ゴシック体下、稲田嵯裕里/ビスタ・サイズ(2.00、デジタル、by Panavision)/ドルビー・サラウンド7.1

(加14Aと13+指定、米R指定、日PG12指定)

監督・製作:ポール・フェイグ
原作:ダーシー・ベル
   『ささやかな頼み』(ハヤカワ文庫刊)
脚本:ジェシカ・シャーザー
撮影:ジョン・シュワルツマン
出演:アナ・ケンドリック、
   ブレイク・ライヴリー、
   ヘンリー・ゴールディング、ほか

公式サイト
http://simplefavor.jp
(全国の劇場リストもあり)

ニューヨーク郊外で小学生の息子と暮らすステファニー(アナ・ケンドリック)は、事故死した夫の保険金で生計を立てているシングル・マザー。得意な料理や家事のコツなどを自身のブログに動画でアップしている。そんなある日、学校へ息子を迎えに行って、息子の友だちの母、エミリー(ブレイク・ライヴリー)と知り合う。お互い生活も性格も全く違う2人は、急速に親しくなっていくが、「代わりに息子を迎えに行って」というメッセージを残したまま、エミリーが失踪してしまう。警察が捜査を始める中、ステファニーはエミリーの夫と息子の世話も買って出ると、ブログを使うなどして自分でも独自に情報収集を始める。


74点

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 どんでん返しに次ぐどんでん返し。二転三転する先の読めない本格ミステリー。ちょっとヒッチコック・テイストもあったが、途中、やっちゃいけない方向へ主人公が行ってしまって、観客はついて行けなくなる。それまで主人公に感情移入していたため、観客自身がそれをやってしまったような気になって、かなり居心地の悪いことに。ラストには落ち着くべきところへ落ち着くのに、これがあるため、どうにもスッキリしない。そこだけが残念。

 トリック自体はありふれたもので、たぶんほとんどの観客が予想できると思う。パターンだから。ちょっとその手は、と思うようなものだが、それがわかってからが面白いので、許せる。ホクロの位置?

 主人公が、イライラさせられる聖人と評されるキャラなのがいい。シングル・マザーで、若いのにお節介なオバさん的で、ダサ系ファッションに身を包み、純粋な親切心から何にでも口を出していくようなタイプ。ボランティア活動にも積極的。料理がうまく、明るくて、ポジティブ。そんなところから、得意な料理や家事のコツなどを自身のブログに動画でアップしている。ママ友の他に、ブログのファンもいるような女性。これに対してママ友の「親友」となるのが、まったく対照的な女性のエミリー。センスの良い高そうなファッション、できるキャリア・ウーマンといった風情。生活感がほとんどない。それでいて、昼間から平気で酒を飲む。この2人の関係が特に面白い。

 素晴らしい演技のアナ・ケンドリックは「マイレージ、マイライフ」(Up in the Ai・2009・米)で注目された人。ボク的には「バッド・バディ!私とカレの暗殺デート」(Mr. Right・2015・米)が面白かったが、「ピッチ・パーフェクト」(Pitch Perfect・2012・米)シリーズの方が有名か。小柄な人で、身長は157cmとか。親近感、感じるなあ。

 同様に素晴らしかったブレイク・ライヴリーは、TVドラマ「ゴシップガール」(・2007〜2008・)シリーズで知られる人。ボク的にはベン・アフレックのクライム・ムービー「ザ・タウン」(The Town・2010・米)かなあ。最近だと「アデライン、100年目の恋」(The Age of Adaline・2015・米/加)が良かった。身長は178cmと高めで、アナとの対比が面白い。着ていたファッションも、パンツ系のメンズ・テイストなスーツとか良かった。夫はライアン・レイノルズ。

 監督はポール・フェイグ。もともとコメディの人で、しかも女性主人公のものが多いような。最近の作品に残念なリメイク「ゴーストバスターズ」(Ghostbusters・2016・米/豪)がある。本作にもその傾向はあるが、ドレスのシーンとか、たぶんない方がもっと良かった気がする。コメディよりこっちの方が向いているのでは?

 銃は、ステファニーが偶然見つけるのが、たぶんS&WのM60ステンレス・チーフ。エミリーが持っているのがP232。じいさんが水平二連ショットガンを持っている。

 ヒッチコック的な、鮮やかな色使いのモノトーン写真によるタイトルはデイヴィッド・クレイトン。エンディングでも使われている。ポール・フェイグとの仕事が多いようで、TVがメインか。劇場映画では「メイズ・ランナー」(The Maze Runner・2014・米/英)などを手がけている。

 公開3日目の初回、日比谷の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は17〜18分前に開場。ほぼ中高年の、しかも高寄り。男女比は、最初7対3くらいで男性が多かったが、最終的にはオバサンが増えて4.5対5.5くらいに逆転した。そして151席に9.5割くらいの入りは、ほぼ満席か。

 CM・予告からマナーがあって暗くなり、映画泥棒のあと映写機の左右マスクのまま本編へ。

 この劇場の場合、各スクリーンの入り口に番号は出ているのだが、作品名が出ていない。合っているか不安になるので、チラシを貼るだけでも良いから、作品名もわかるようにして欲しいなあ。


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