2019年3月23日(土)「ブラック・クランズマン」

BLACKKKLANSMAN・2018・米・2時間08分(IMDbでは135分)

日本語字幕:手描き風書体下、風間綾平/字幕監修:中田 亮/シネスコ・サイズ(2.39、フィルム、Super 35、ドルビー・ビジョン)/ドルビーATMOS

(米PG-13指定)

監督・脚本・製作:スパイク・リー
脚本:チャーリー・ワクテル、
   デヴィッド・ラビノウィッツ、
   ケヴィン・ウィルモット
撮影:チェイズ・アーヴィン
出演:ジョン・デヴィッド・ワシントン、
   アダム・ドライバー、
   ヤスペル・ペーコネン、
   ロバート・ジョン・バーク、ほか

公式サイト
https://bkm-movie.jp
(全国の劇場リストもあり)

1970年代初め、アメリカ、コロラド州コロラドスプリングスで、人手不足から人種を問わない警官募集が行われ、ロン・ストールワース(ジョン・デヴィッド・ワシントン)が応募し、初の黒人警官となる。最初資料部に配属されるが、人種差別が酷く、潜入捜査をやりたいとブリッジス署長(ロバート・ジョン・バーク)に直談判し、麻薬課へ転属となる。そこでブラックパンサー党の幹部クワメ・トゥーレ(コーリー・ホーキンス)を呼んで演説してもらおうとしている黒人大学生たちの集会へ潜入、学生自治会の女性会長パトレス・デュマス(ローラ・ハリアー)に惹かれるようになり、同時に差別をなくすために戦う人々のことを知る。そして、ロンはさらに情報部へ転属になると、KKKの新聞広告を見つけ、白人を装って電話をかけて資料を送ってもらおうとするが、コロラドスプリングス支部の支部長に気に入られ、同じ課の刑事フリップ・ジマーマン(アダム・ドライバー)と2人で架空の人物ロン・ストールワースを演じることで、KKKの内偵をするというアイディアを思い付く。


74点

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 予告や公式サイトなどでは「コミカルかつ軽妙なタッチ」とされているが、ボクの印象はまったく逆で、ちょっとはコミカルなところもあったものの、ずっしりと重く、見終わって暗澹たる気持ちになる。ちっとも変わっていないんだと。問題はあまりにも大きく、根が深く、笑って済ませられない。怖い。1970年代に起きた実話を描きながら、そのまま現在にも当てはまると。現在のトランプ大統領の発言! そして最近起きた事件のニュース映像を見ればれがわかる。何も変わっていないと。しかもTVで放送されたものより、たぶん長くて過激で、より怖い。

 また、ちょっと主張が強過ぎて、エンターテインメントとしてはいかがなものか。黒人の指導的立場にあるクワメ・トゥーレの演説シーンの聴衆のコラージュや、ラストの銃を構えた2人のショットなどは芝居がかっていて、やり過ぎではないだろうか。それ以外はリアル路線なのに。しかも実話に基づいているわけだし……。

 1970年代という時代感を出すためか、フィルムで撮られているようで、画質はあまり良くない。ちょっと粒状感もある。同様に時代を反映して、よくタバコを吸っている。

 主演のジョン・デヴィッド・ワシントンは、名優デンゼル・ワシントンの息子だそうで、1984年生まれの35歳。こんな大きな子がいたのか。

 黒人の悲劇の語り部として登場する老人は、どこかで見たなあと思ったら、歌手のハリー・ベラフォンテ。「バナナ・ボート」とかヒット曲たくさん。1970年代に日本にも来ている。

 ラスト、アメリカ国旗は怖い。逆さで出て来て、モノクロ、白と黒に変わる。ドキッとした。

 ハリウッドはアカデミー賞で白人しか受賞していない話題になると黒人映画が増え、女性が差別されていると話題になれば女性が主人公の映画が増える。まだまだ差別はあるんだなあと思わされる。日本はどうなんだろう。

 きっかけはD.W.グリフィスの「國民の創生」(The Birth of a Nation・1915・米)だというようなセリフがあった。その映像引用もいくつか。そういえば、オープニングは南北戦争を描いた映画からだった。

 銃は、制服警官がコルトっぽい4インチのリボルバー、オフィシャル・ポリスあたりか。刑事が2インチの、コルトだとするとディテクティブあたり。ショットガンはM870っぽいもの。KKKは水平二連のソードオフ・ショットガン、ライフルはレミントンM700、イサカM37、そしてフォワード・アシストのない古いM16、そしてシルバーと黒のM1911オート。ラストにアフロの女子がPPK。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は15分前くらいに開場。若い人から中高年まで割と幅広く、男女比は4.5対5.5くらいでやや女性が多いかなと。地味な作品なのに人気があるようで、劇場に着いた時点で「完売」の表示。他の回も、ほぼ完売か完売間近。最終的には122席が1〜2席を残して全て埋まった。

 CM・予告からマナーがあって暗くなり、映写機のマスクが左右に広がってシネスコ・サイズになり、映画泥棒から本編へ。


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