2019年4月21日(日)「キングダム」

2019・ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント/日本テレビ放送網/集英社/東宝/読売テレビ放送/KDDI/GYAO/CREDEUS/ジェイアール東日本企画/東急エージェンシー/博報堂/ぴえろ/札幌テレビ放送/宮城テレビ放送/静岡第一テレビ/中京テレビ放送/広島テレビ放送/福岡放送・2時間12分

シネスコ・サイズ(表記なし、デジタル?)/音響表記なし(ドルビー・デジタル?)

(一部日本語字幕付き上映もあり、『UDCast』方式に対応した視覚障害者用音声ガイド、聴覚障害者用日本語字幕付)

監督:佐藤信介
原作:原 泰久『キングダム』
  (集英社『週刊ヤングジャンプ』連載)
脚本:黒岩 勉、
   佐藤信介、
   原 泰久
アクション監督:下村勇二
撮影:島秀樹
出演:山崎賢人、吉沢亮、
   長澤まさみ、橋本環奈、
   本郷奏多、大沢たかお、ほか

公式サイト
http://kingdom-the-movie.jp
(全国の劇場リストもあり)

紀元前245年、中国、春秋戦国時代の秦(シン)。幼い少年、信(シン)がある農家に奴隷として売られてくる。そして先輩の奴隷の少年、漂(ヒョウ)と共に、ここを抜け出して夢を実現するためには剣で強くなるしかないと、働きながら2人で剣術の稽古を重ねていく。ある日、大人になった信(山崎賢人)と漂(吉沢亮)が戦っていると、王都の大臣、昌文君(ショウブンクン、高嶋政宏)が通りかかり、漂だけを王宮へ召し上げることに。ところがしばらくして、王の弟セイキョウ(本郷奏多)がクーデターを起こし、漂は血だらけで農家に戻ってくる。そして頼みがあると、1枚の地図を渡し息絶えてしまう。


86点

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 面白かった。堂々たる映画という感じ。画も色が濃く、コントラスト高めで力のある絵。景色が美しい。多くの日本映画よりハリウッド寄りというか世界基準的な絵作りという印象。最初、中国の話なのに日本人で日本語かと思っていたが、あまり中国とか意識せずに、1つの世界として成立していて、まったく気にならなかった。世界観がしっかりしている。堪能できた。

 1つには、アクションがメインでありながら、それぞれのキャラクターがちゃんと描かれていて、ドラマが語られる。会話だけで進むような映画ではない。ほとんどがアクションといって良いくらい。しかもそのアクションがまたキレが良くカッコいい。それなのに、セリフがまた良い。カッコいい。「サボるなよ」とか「ビビッてねえし」とか時代的に合わないようなセリフがあっても、スッと入ってきて許せる。この映画の世界ではOKと。これは、原作はもちろんのこと、脚本が素晴らしいからだろう。リーダーとなるべき人物は、理想を熱く語る。だから下の者はついて行ける。いい感じ。

 また、ある意味、「スター・ウォーズ」的な感じもした。ロード・ムービー的でもあり、山の民の城なんかもそう。そして場面転換にワイプを多用しているのも(昔のシネスコ映画では多かったが)「スター・ウォーズ」っぽい。監督は意識していたのではないかなあ。

 キャストは皆は待っている気がしたが、特に良かったのは吉沢亮。ヒョウではなく王のエイセイとして出て来てからが良かった。高貴な雰囲気とリーダーとしての雰囲気を漂わせる凜とした感じはみごと。理想を語る姿がウソ臭くなく、説得力があった。素晴らしい。

 ほぼ全編を彩るキレキレでカッコいいアクションを手掛けたのは、アクション監督の下村勇次。やっぱりこの人、うまいなあ。「GANZ」(2010・日)や「BLEACH」(2018・日)も良いけれど、ボク的にはドニー・イェンほサポートした「修羅雪姫」(2001・日)から良かった。谷垣健治とともに日本のアクションを面白くする人だ。

 衣装、山の民のマスクのデザインも絶妙で素晴らしい。これは原作のイメージもあるだろうし、山の民コンセプチュアル・デザインの田島光二、それを元にした特殊メイクデザイン・特殊造形の藤原カクセイ、衣装デザインの宮本まさ江といった人たちのセンスの良さだろう。

 ONE OK ROCKの『Wasted Nights』がまた良い。単独の曲、歌としても良いが、時代物の本作にも良く合っていた。

 いろんな刺客が登場するのは「るろうに剣心」(2012・日)、「SHINOBI」(2005・日)にも通ずるものが。そこがまたゲーム的でもあり、面白い。最後に一番凄いラスボスが出てくると。ただ、血が飛び血煙が吹いて、顔面がボコボコになるなど、残酷描写もあって、これを小さな子に見せても良いのかは、ちょっと疑問。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席していて、2日前にネットで確保。当日は25分前くらいに開場。原作のこともあってか、この作品も若い人が多かった。たぶん2/3くらいが若い人。男女比はほぼ半々。最終的には499席の9.5割くらい、ほぼすべて埋まった。後ろのボックス席は見えなかったが、真ん中のプレミアム席も1〜2席を残してすべて埋まった。すごい。これは大ヒットになるのでは。

 CM・予告の後、マナーから暗くなって、TCX(東宝大型スクリーン)のデモ、そして足下に注意と出て、映画泥棒から本編へ。


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