2019年5月4日(土)「ザ・フォーリナー/復讐者」

THE FOREIGNER・2019・英/中/米・1時間50分(IMDbでは113分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、寺尾次郎/シネスコ・サイズ(2.35、デジタル、Arri ALEXA、IMAX)/ドルビー・デジタル、dts:X(IMDbでは、ドルビーATMOSも)/4D

(英15指定、米R指定、香IIB指定)

監督:マーティン・キャンベル
製作:ジャッキー・チェン
原作:スティーヴン・レザー『チャイナマン』新潮社文庫
脚本:デヴィッド・マルコーニ
撮影:デヴィッド・タッターサル
出演:ジャッキー・チェン、
   ピアース・ブロスナン、ほか

公式サイト
http://the-foreigner.jp
(全国の劇場リストもあり)

ロンドンで中華レストランのオーナーを務めるクワン(ジャッキー・チェン)は、アイルランドの武装組織UDIの爆弾テロにより、たった一人の家族である娘を失ってしまう。悲しみに打ちひしがれたクワンは、毎日のようにロンドン警視庁テロ対策本部のブロムリー警部(レイ・フィアロン)に電話を掛け、犯人の名前を教えてくれと迫り、ついには警部に会わせろと毎日署に押しかける始末。そしてTVで北アイルランドの副首相リーアム・ヘネシー(ピアース・ブロスナン)が元UDIのメンバーで、内情を知っているのではないかと報道されているのを見て電話で犯人の名前を教えろと迫るが、体よくあしらわれる。すると、何かを決心したクワンは店を友人に譲り、全財産と何かの資材を買い込みバンに積むと北アイルランドに渡り、リーアムのオフィスに押しかけ、名前を教えろと迫る。そして追い返されると、トイレに小さな爆弾を仕掛け、爆破するなど暴走はエスカレートしていく。


74点

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 最終的には面白かった。そして怖い映画。前半は、主人公の暴走ぶりがあまりにも酷く、付いていけなかったが、真ん中あたり、副首相の農家に移ったあたりから単なる暴走ではなく、政治的な絡みや仲間割れや不倫や、複雑な話がつながってきて、面白くなっていった。ラストは復讐と言うより単純なサバイバルとなり、それも良かった。

 とにかく前半は主人公が大暴走。唯一の家族を失った悲しみというのはわかるが、とんでもない言いがかりで、いろんな人に犯人の名前を言えと付きまとい、威嚇し、買収さえしようとする。もう手が付けられない。ほとんど異常者。泊まった民宿は、組織の人間と戦って壊し放題。屋根に穴まで開けている。しかもテロリスト顔負けの爆発物の知識があって、その努力というか掛ける熱意は半端じゃない。そこまでの情熱というか覚悟があるのなら、まずやっていることが正しいのかどうか調査する方に力を注げよ、と思ってしまう。力を注ぐ方向、ベクトルが間違っている。そこまでの熱意があれば、自分で調査して犯人捜しが出来るはずだ。何の裏付けもなく、ここまでやるか。だから観客は付いていけない。テロリストか、お前は!

 怖いのは、IRAをモデルにしたらしいUDIとイギリスの紛争。「麦の穂をゆらす風」(The Wind that Shakes the Barley・2006・アイルランド/英ほか)とか、「マイケル・コリンズ」(Michael Collins・1996・英/アイルランド/米)とか、「クライング・ゲーム」(The Crying Game・1992・英/日/米)とか、多くの映画で描かれているテーマだが、結局アイルランドとイギリスの戦いは終わっていないのだと。1998年に和平合意したらしいのだが、いつ映画のように爆発するかわからない。その怖さがこの映画ではよく描かれている。

 監督はマーティン・キャンベル。レイ・リオッタが光っていて面白かったアクション「ノー・エスケイプ」(No Escape・1994・米)や、キャサリン・ゼタ・ジョーンズがきれいだった痛快アクション「マスク・オブ・ゾロ」(The Mask of Zorro・1998・米/独/メキシコ)のほか、ピアース・ブロスナン初登場の「007/ゴールデンアイ」(GoldenEye・1995・英/米)とダニエル・クレイグの「007/カジノ・ロワイヤル」(Casino Royale・2006・英/米ほか)の2本のボンド映画も監督している。ただ「グリーン・ランタン」(Green Lantern・2011・米)はライアン・レイノルズの俳優生命に関わるほど酷かったけど。いずれにしてもアクションはお手の物。本作もそれが活きている。

 銃は、農家の護衛が水平二連ショットガンを持っていて、やってくる応援はポンプショットガンと、FNCかと思ったらimfdbではAR18だった模様。ベトナムから脱出する回想シーンではM3グリスガンが登場。リーアム・ヘネシーが農家の机に隠していた銃はシルバー・スライドのUSPコンパクト。しかし、後で出てくる時にはノーマルのUSPになっていた。他にも持っていた? ニューヨークから来た殺し屋はSG552、ラストでサプレッサー付きのマカロフを使う。特殊部隊はG36Cとグロック、スナイパーが.308のAR系ライフル。ジャッキーがテロリストを襲う時使うのは、手製のサプレッサーらしい器具を付けた短いAR18。空港の警官はMP5を使用。ついでにスイスのアーミー・ナイフとソニーの一眼レフカメラも登場。また軍専用の爆薬としてセムテックという名称が登場する。どんなものか調べようと思ったのだが、物騒なものだとマークされそうなので止めておいた。

 ロンドン市内の橋(ランベス・ブリッジというらしい)でのバスの爆破シーンがリアルだったなあと思ったら、公式サイトプロダクション・ノートによると、CGではなく実際に許可を得て爆破しているのだそう。驚き。東京では絶対無理だろう。ニューヨークとかはどうだろう。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は15分ほど前に開場。ほぼ中高年で、女性は1割ほど。でしょうね。それでも劇場に着いた時点で赤表示の完売。後の回も黄色の残席わずかの表示。まだまだジャッキー人気は高いということか。GWだから多くの人が見に来ていたのかも。もちろん最終的には157席はすべて埋まった。

 GWということでか、トイレまで渋滞。スクリーンは1.66のヨーロッパ・ビスタくらいで開いていて、Cも・予告から、映画泥棒、ドルビー・シネマのCMなどがあって、さらに予告の後、暗くなってマナーから、映写機の上下マスクで本編へ。えっ、レンズのシネスコじゃないの?


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