2019年5月12日(日)「オーヴァーロード」

OVERLORD・2018・米/加・1時間49分(IMDbでは110分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、平田綾子/シネスコ・サイズ(レンズ、2.39、Panavision、IMAX、IMDbではドルビーVISION)/ドルビーATMOS

(米R指定、日R15+指定)

監督:ジュリアス・エイヴァリー
脚本:ビリー・レイ、
   マーク・L・スミス
撮影:ローリー・ローズ、
   ファビアン・ワグナー
出演:ジョヴァン・アデポ、
   ワイアット・ラッセル、
   ピルー・アスベック、
   マティルド・オリヴィエ、ほか

公式サイト
http://overlordmovie.jp
(全国の劇場リストもあり)

1944年6月6日、ノルマンディ上陸作戦が決行され、第101空挺師団のある分隊も輸送機でフランスのシエラブラン村を目指していた。その村の教会にある妨害電波を出している電波塔を破壊するのが任務だ。しかし途中激しい対空砲火により目的地の手前で輸送機が被弾、分隊は飛び降りざるを得なくなる。生き残った兵は5人。それで任務を果たすため、歩いてシエラブラン村を目指すが……。


74点

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 いやあ、こりゃ、ビックリ。すごいわ。そして、かなり怖い。リアルな戦争映画から始まって、ラストはトンデモなホラーへ。丁寧にリアルに、しかも真剣に描かれているので、受け入れることが出来る。ストーリーとしてはありがちで、ナチスの超科学ネタとかオカルトネタはよくある。メジャーな作品だと、「X-メン」のマグニートがそうだし、たしか「キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー」(Captain America: The First Avenger・2011・米)でも、「ワンダーウーマン」(Wonder Woman・2017・米/中/香)でも……アメコミ系はこのネタが好きということか。そこに新鮮味はない。

 ただ、描き方がうまい。前半はほぼ良くできた普通の戦争映画。「史上最大の作戦」(The Longest Day・1962・米)のように始まり、地雷で仲間がやられるのはイーストウッドの「戦略大作戦」(Kelly's Heroes・1970・米)のようでもあり、ちゃんと撮られている。これだけでも戦争映画として成立するくらい。黒人が活躍する点ではスパイク・リー監督の「セントアンナの奇跡」(Miracle at St. Anna・2008・米/伊)のようかも。たぶんいろいろな戦争映画を研究しているのだろう。

 後半は前半の勢いに乗って、超B級、トンデモホラーな展開。戦闘シーンでの残酷描写も凄いが、後半はさらにエスカレート。このパターンの映画といえば「ドッグ・ソルジャー」(Dog Soldiers・2002・英/ルクセンブルク/米)とか「デス・フロント」(Deathwatch・2002・英/独)があったなあ。どちらも良くできていて、なかなか怖かった。

 監督はジュリアス・エイヴァリー。短編で活躍していた人らしい。本作の前に「ガンズ&ゴールド」(Son of a Gun・2014・豪/英/加)というアクション作品で劇場長編映画の監督デビューしたんだとか。それが評価されて本作につながった。次作の「フラツシュ・ゴードン」のリメイクがどうなるか。

 脚本はビリー・レイとマーク・L・スミスの2人。ビリー・レイは「サスペクト・ゼロ」(Suspect Zero・2004・英/独/米)、「フライトプラン」(Flightplan・2005・米)、「アメリカを売った男」(Breach・2007・米)、「消されたヘッドライン」(State of Play・2009・米/英/仏)、そして「キャプテン・フィリップス」(Captain Phillips・2013・米)の脚本も手掛けている。マーク・L・スミスは、恐ろしい「モーテル」(Vacancy・2007・米)や「レヴェナント:蘇えりし者」(The Revenant・2015・米/香/台)を書いている人。

 オーヴァーロードとはノルマンディ上陸作戦のこと。オーヴァーロード作戦。一方で「過負荷」という意味もあるのだろう。人間に過負荷を掛ける実験というあたりか。

 銃は、アメリカ軍はM1ガーランド、M1カービン、M1903ライフル、BAR、M1A1トンプソン、1911A1ガバメント。ドイツ軍はKar98k、MP40、MP44、P38、軍医がPPK、MG34。ほぼ定番モデル。

 公開3日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は10分ほど前に開場。ほぼ中高年で、最初、10人いて8人が高、2人が中、女性0という感じ。最終的には128席の8.5割くらいが埋まり、若い人が4〜5人、女性も4〜5人。まあ、戦争映画とホラーの合体だからなあ。今後も女性は増えないかな。

 CM・予告の後、マナー(やっている最中にケータイをいじってるヤツも)から、暗くなって、足下注意が出て、映画泥棒で本編へ。パラマウントのロゴはモノクロでスタート。


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