2019年5月25日(土)「神と共に 第一章:罪と罰」

ALONG WITH THE GODS: THE TWO WORLDS・2017・韓・2時間20分(IMDbでは139分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、根本理恵/シネスコ・サイズ(表記なし)/音声表記なし

(韓12指定)

監督・脚本:キム・ヨンファ
原作:チュ・ホミン
撮影:キム・ビョンソ
出演:チャ・テヒョン、
   ハ・ジョンウ、
   チュ・ジフン、
   キム・ヒャンギ、ほか

公式サイト
http://kamitotomoni.com
(全国の劇場リストもあり)

韓国。ビルの火災現場で、消防士のジャホン(チャ・テヒョン)は、子供を抱えたまま落下し死亡してしまう。すると目の前に、冥界の3人の使者が現れ「人は死ぬと亡者となって、49日間の内に7つ地獄で裁判を受け、すべて無罪となった者だけが生まれ変わることができる」と告げる。3人の使者、リーダーの弁護士のカンニム(ハ・ジョンウ)、警護のヘウォンメク(チュ・ジフン)、補助弁護士のトクチュン(キム・ヒャンギ)も、49人を生まれ変わらせることができると自分たちも生まれ変わることができ、ジャホンが48人目で19年ぶりの貴人であることから、張り切っていた。さっそく地獄に向かうと、まず殺人地獄で変成(ヘンジョウ)大王(チョン・ヘギュン)の審判を受けることに。


86点

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 感動した。面白かった。140分がちっとも長くない。やっぱり韓国は物語を作るのがうまいなあ。とんでもないような設定のファンタジーでも、きっちりと感情を揺さぶる映画に仕上げてくる。アーティスティックでありながら、しっかりしたエンターテインメントで、プロの仕事だなあと。泣かす! うかうかしていると涙が流れてしまうので、要注意だ。

 しかも、前後編でありながら、この前編だけでちゃんと完結させている。大いに盛り上げてから、しっかり落とし前を付け、1本の作品としてまとめている。後編に解決を委ねるとか、後編に続くという感じではなく、また新たな物語として後編が始まるという感じで終わっている。そこがまた凄い!

 原作は人気のWEBコミックだそうで、人間が死んだら閻魔大王の審判を受け、地獄行きか、生まれ変われるか(天国行きではなく?)が決まるという、日本人的にはなじみのある話。これを得意のSFX=3DCGを駆使して、リアルに描いて見せる。そこも見どころのひとつ。

 日本ではこんな感じには作れない気がする。中田信夫監督の「地獄」(1960・日)とか、宮藤官九郎監督・脚本の「TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ」(2016・日)とか、いろんな地獄作品があるのだけれど……。

 そして当然ながら、登場するキャラがそれぞれ立っていて、魅力的造型。うまい。それぞれの地獄の大王の泉ピン子的なオバサンとか、キャンディ舐めてる子どもとか、おぞましい人面魚とか、剣樹林とか、まさに想像を超える。特に印象の残ったのは、補助弁護士のドクチュンを演じたキム・ヒャンギも良かったが、やっばりウソ地獄の泰山(たいざん)大王を演じたキム・スアンかなあ。

 銃は、韓国軍が使用している小銃が韓国判M16ともいうようなK2ライフル。新米が緊張からセレクターをカチカチ、カチカチやっている。この辺のリアリティは兵役義務のある韓国ならではだろう。

 次回にも大いに期待したい。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は15分前くらいに開場。中高年がほとんどで、最初は男女比が4対6くらいでやや女性が多い感じだったのが、徐々に女性=オバサン系が多くなってきて、昔の韓流ブームみたいな雰囲気に。最終的に男女比は3対7くらいに。入りは580席に7割くらいもっと入っても良い出来だが、昨今の日韓関係を考えるとむしろ良く入ったなと。

 スクリーンはシネスコ・サイズで開いており、明るくてよく見えないCM・予告のあと、半暗になって映画泥棒があり、さらにCM・予告のあと、映写機のマスクが左右に広がって、暗くなってマナーから本編へ。

 入場者プレゼントで、おどろおどろしい文字で「地獄使者」と書かれた3人のイラストのステッカーをもらった。


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