シネスコ・サイズ(デジタル、Arri ALEXA)/音響表記なし(ドルビー・デジタル?)
(『UDCast』方式によゆるバリアフリー音声ガイド、バリアフリー日本語字幕対応)
監督:江口カン 原作:『ザ・ファブル』南 勝久 (講談社「ヤングマガジン」連載) 脚本:渡辺雄介 撮影:田中一成 ファイト・コレオグラファー: アラン・フィグラルツ、 岡田准一 出演:岡田准一、 木村文乃、 安田顕、 柳楽優弥、 山本美月、ほか |
幼い頃から殺し屋として育てられた伝説の殺し屋「ファブル」(岡田准一)とその相棒(木村文乃)は、育ての親のボス(佐藤浩市)から、仕事をしすぎたので1年間誰も殺さずに一般人に溶け込んで普通に暮らせと命じられる。そして佐藤明(さとうあきら)と佐藤洋子(さとうようこ)という名の兄妹として、ボスの知り合いの暴力団「真黒カンパニー」の社宅で暮らすことになる。そして、偶然出会ったデザイナーの清水岬(しみずみさき、山本美月)の紹介で、小さなデザイン会社のアルバイトになる。そんなとき、「真黒カンパニー」の社長、海老原(えびはら、安田顕)の弟分、組の問題児で暴走しがちな男、小島(こじま、柳楽優弥)が出所してくる。
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面白かった。コメディの要素が多いものの、バイオレンスとの対比でそれほど笑えなかった。リアルなヤクザは笑えないって。同様に、全編ほとんどアクションのような構成ながら、痛快というのではなく、とにかくリアルなヤクザが怖い。リアルな暴力にリアルなヤクザ。だからちょっと不快な怖い映画。 そして、ギャグ・ネタとなっている、主人公が描くヘタな絵も、むしろ映画の中の展開のようにヘタウマというか、味のあるプロっぽい絵で、いいじゃんと思ってしまって笑えない。もったいない。クラシック・カーの「箱スカ」ネタが一番笑えた。 アクションは素晴らしい。ファイト・コレオグラファー(殺陣師)は、実際に複数の格闘技でインストラクターの資格を持つ主演の岡田准一と、フランスのアラン・フィグラルツというベテラン・スタント・コーディネーターが手がけているだけあって、実に質の高いものになっている。そして、どこかフランス的なというか、パルクール的な味付けになっている気がした。 アラン・フィグラルツは「ボーン・アイデンティティ」(The Bourne Identity・2002・米/独/チェコ)にスタントで参加しており、「ダニー・ザ・ドッグ」(Unleashed・2005・仏/米/英)では出演、「96時間/リベンジ」(Taken 2・2012・仏/米)でファイト・コレオグラファーとスタント・コーディネーター、「96時間/レクイエム」(Taken 3・2014・仏/英/西)でファイト・コレオグラファーを務めている人。 自主映画でもそうだが、プロの世界でもヤクザ演技というのは皆うまくてリアル。なぜなんだろう。誰しもがその要素を持っているということなんだろうか。それとも普段はできないことをできる快感のようなものからだろうか。安田顕も怖かったが、中でも怖かったのは柳楽優弥。いかにもヤバイ感じ。 冒頭の襲撃シーンのタグ付けは、ちょっと「スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団」(Scott Pilgrim vs. the World・2010・米/英ほか)を参考にしたような感じ。ターゲットの名や特徴などが表示される。ある意味「DEATH NOTE デスノート」(2006・日)の死に神の眼球的でもあるけど。 銃は、ファブルの愛銃らしいのが、1911のナイトホーク・カスタム。ファブルを追うフードはたぶんサプレッサー付きのPPK。ほかにグロック、トカレフ、フラット・サムピースのチーフらしいリボルバー、パイソン、ベレッタ92、M49ボディガードっぽいリボルバーなど、ヤクザの数だけわんさか登場。銃器特殊効果はビッグショット。 サウンド・サプレッサー(サイレンサー)の設定はちょっと気になった。襲撃前に装着しているのはわかる。しかし敵がサプレッサー無し銃で撃ち返してくる状況で、自分だけ取り回しの邪魔になるサプレッサーを付けていても意味ないのでは。敵の銃声で轟音が渦巻いているはず。隠密性なんてゼロ。まあ、マガジン・チェンジも少なめだったけど。ただ、モデルガンの弾を改造して実弾を作り、火薬が少ないからブローバック(自動作動という意味で使っているらしい)しないので、手でスライドを操作するというのはリアルな感じがした。 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は20分前くらいに開場。観客層はほぼ中高年のそれも高寄り。漫画原作だから若い人が多いかと思ったら、違った。しかも岡田准一なので女性が多いかと思ったら、結婚した影響もあるのか、最初10人くらいいて、女性はオバサン2人のみ。こんな比率で、最終的に301席の7.5割くらいが埋まった。まあ、こんなものか。 スクリーンはシネスコで開いており、CM・予告から途中で半暗になって、再びCMから映画泥棒、予告と続き、映写機のマスクが左右に広がって、フル・サイズになってマナー、そして本編へ。 |