2019年7月28日(日)「アルキメデスの大戦」

2019・「アルキメデスの大戦」製作委員会・2時間10分

シネスコ・サイズ(表記なし)/音響表記なし

(『UDCast』方式に対応した視覚障害者用音声ガイド、聴覚障害者用日本語字幕付)
(一部、日本語字幕付き上映もあり)

監督・脚本・VFX:山崎 貴
原作:『アルキメデスの大戦』三田紀房
  (講談社「ヤングマガジン」連載)
撮影:柴崎幸三
出演:菅田将暉、柄本佑、
   浜辺美波、舘ひろし、ほか

公式サイト
http://archimedes-movie.jp
(全国の劇場リストもあり)

1933年(昭和8年)、日本は満州国の建国や国際連盟脱退などで孤立を募らせていた。そんな時、海軍は、老朽化した戦艦金剛に代わる艦船を新造するにあたり、嶋田少将(しまだ、橋爪功)と平山造船中将(ひらやま、田中泯)らが提案する巨大戦艦派と、長野海軍中将(ながの、國村隼)と山本五十六少将(やまもといそろく、舘ひろし)らが提案する空母派とに意見が分かれていた。そして提出された見積書は戦艦の方が圧倒的に安く、何か裏があるに違いないと読んだ山本は、偶然知り合った100年に1人と言われる若き天才数学者、櫂直(かいただし、菅田将暉)を雇い、2週間後の会議までに戦艦の見積の嘘を暴くよう依頼する。


75点

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 史実を元にしたフィクションとは言いながら、本当にあったことのようで説得力があり、とても楽しめた。海軍内の戦艦派と空母派の戦い。それはいわば頭脳戦で、空母派の一員となった主人公には、次々と難題が降りかかり、苦労しながらも1つ1つそれを跳ね飛ばし、前へと進んでいく。その展開も見事だが、決して諦めず少しずつでも前に進もうという姿が、周りを巻き込んでいくところが愉快で楽しい。そして、どんでん返しのどんでん返し。最初に結末を見せておきながら、予想させない展開は素晴らしい。笑いの要素を多く取り入れているのもイイ感じ。

 ただ、100年に1人の天才という設定ながら、やはり能力ありすぎ。一晩で専門外の専門書を何冊も読んで知識を得たり、一晩で設計図が描けるようになったり。感動的なんだけど……。まあ、これくらいないと天才という感じはしないのかもしれないが。漫画的な誇張ということもあるだろう。

 戦闘シーンは冒頭のみ。CGとは思えない臨場感と迫力で、リアルな戦闘シーンが実現したと。スケール感も見事だった。血が飛び散り、手首が飛び、体がぐちゃぐちゃになり、デッキを血が流れる。悲惨さもキッチリと描かれている。それを見せておいて、戦争を防ぐためにできることをやるという別の戦いを見せる。まあ、ちょっと「タイタニック」(Titanic・1997・米)みたいなところと、「パール・ハーバー」(Pearl Harbor・2001・米)みたいなところもあったけど。でも、ようやく日本でもここまでできるようになったかという感じも……。

 音もクリアで、よく回っていた。もうちょっと背後から音がすればというシーンもあったが、そのためにはATMOSでないと無理なのかもしれない。

 銃は、たぶん日本海軍の対空機関砲、九六式25mm三連装機銃。おそらくデジタルだろうが発射でマズル・フラッシュが吹き出し、機銃(機関砲)が後座し、薬莢が下に排出され、発射ガスも下に漏れている。本当に発砲しているかのよう。

 1つ残念だったのは、魅力的なキャラクターで印象に残る副官の田中少尉を見事に演じた柄本佑の耳に、たぶんピアスの痕と思われる穴のようなものがあったこと。たぶんTVサイズでは気にならないと思われるが、大きなスクリーンだと目立つ。帝国海軍の軍人にピアスなんて……。もしそうだとしたら、役者はタトゥーとかピアスとか、体に残るものをやっちゃいけないのでは。時代劇とか、結構ある気がする。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は23〜24分前に開場。やはり中高年がメインで、若い人は少し。第二次世界大戦ものだからなあ。女性は1/3ほど。ギリギリに若い人も少し増えた。下はファミリーで来ていた小学生くらいの男の子。概して女性のほうが若い人が多かった。最終的に128席に、ほぼ満席95%くらいの入り。できれば戦闘シーンはもっと大きなスクリーンで見たかったが、そういう映画ではなく基本戦闘シーンはあまりないからなあ。

 CM・予告の途中で半暗になり、非常口のランプも消えて、マナーから暗くなって足元注意、そして映画泥棒から本編へ。

 それにしても、また予告でタイトルと公開日が最後の一瞬だけというパターンが増えてきた気がする。メモしていても間に合わないなんて、何のための予告なんだろう。


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