日本語字幕:手描き風書体下、石田泰子/字幕監修:新谷洋子/シネスコ・サイズ(2.39、デジタル、Panavision(レンズ)、IMDbではArri ALEXA)/ドルビーATMOS(IMDbではドルビー・サラウンド7.1.)
(英15指定、米R指定、日PG12指定)
監督:デクスター・フレッチャー 製作総指揮:エルトン・ジョン 脚本:リー・ホール 撮影:ジョージ・リッチモンド 出演:タロン・エガートン、 ジェイミー・ベル、 ブライス・ダラス・ハワード、 リチャード・マッデン、ほか |
イギリス、ロンドン郊外。レジナルド(レジー)・ドワイト少年は、ピアノがあるような家庭で育ったが、父スタンリー(スティーヴン・マッキントッシュ)と母シーラ(ブライス・ダラス・ハワード)は仲が悪く、共に子どもに興味がなかっため、愛を感じられずに育った。しかしレジーは天才的な音楽の才能を持っていたことから、国立音楽院に進学する。やがてロックに傾倒し、ミュージシャンになることを夢見て、レコード会社の公募に申し込むことに。するとバーニー・トーピン(ジェイミー・ベル)という作詞家の書いた詞を渡され、曲をつけるように課題を出される。そして完成したのが『ユア・ソング』だった。 |
振り幅の大きな、波乱万丈の人生。それはとても幸せで、とても不幸な物語。とても感動的で、そして悲しくなった。多くのスーパー・スター、アーティストたちと同じような運命。有名税というようなものなのだろうか。一夜にしてスーパー・スターになり、巨万の富を手にし、何でもできるようになる。ところが、曲を書かなければならないプレッシャーと、自由を束縛されてツアーを繰り返す毎日。有名になって、大金持ちになると、たくさんのヘンなやつらが寄ってくる。パーティーのらんちき騒ぎに明け暮れ、酒に溺れ、それでも足りなくて、ヤクにまで手を出す。親しい友人、パートナーとのケンカ、別れ。まさに、パターン! 「ボヘミアン・ラプソディ」(Bohemian Rhapsody・2018・英/米)と同じ。しかも実話。誰でも、こうなってしまうのかもしれない。それがまたショック。 やっぱりミュージカルは、陽気な歌と踊りで、悲惨な状況を描きだす。そんな感じ。オヤジ世代には知っている曲がたくさん。ラストには、エンド・クレジットで、映画の中のシーンと、実際の写真が対比するように出て来て、ソックリなのに驚かされる。奇抜な衣装、眼鏡なんかは、ほぼ実際の通りだったんだ。しかも製作総指揮が、エルトン・ジョン本人ではないか。 主演のタロン・エガートンがすばらしい。歌も自分で歌っているようだし、うまい。まさに熱演。同性愛のベッド・シーンなどは、濃厚で圧倒される。ちょっと「キングスマン」(Kingsman: The Secret Service・2014・英/米)の人とは思えないくらい。そしてヘア・メイクがまた凄い。母親が「家の家系は20代で禿げるわよ」というように、映画の進行と共に髪が薄くなって行く。しかも、いかにも薄くなる人のような猫っ毛風になっているのがスゴイ。いったいどうやってやったんだろう。まさか、タロン・エガートンは薄くなっていないよなあ。ちなみにエジャートン発音する人もいるようだが……。 母を演じたブライス・ダラス・ハワードは、この役のために太ったようで「ジュラシック・ワールド/炎の王国」(Jurassic World: Fallen Kingdom・2018・米)とはまったく違う印象。二の腕なんかぷよぷよしていた。 監督は、「ボヘミアン・ラプソディ」(Bohemian Rhapsody・2018・英/米)で、ブライアン・シンガーから監督を引き継いだ人。子役出身だそうで、多くの作品に出ていて、監督作品はそれほど多くない。しかし「ボヘミアン……」といい本作といい、良いできなのではないだろうか。大監督の風格を感じさせるような出来栄え。 公開3日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は20分前にビルが開いて、10分前には開場。トイレへ行くことを考えると30分前にはビルを開けて欲しいなあ。観客層は意外と若い人から中高年まで幅広かった。もちろんメインは中高年。男女比はほぼ半々。最終的には200席に8.5割くらいの入り。プレミアム・シートは1列8席あり、すべて埋まった。 ルーカス・フィルムでの新しいシネマ・チャンネルから、CM・予告からマナーがあって、グッチの映画みたいなCM、暗くなって、足元注意、映画泥棒でフル・スクリーンの本編へ。 |