2019年8月31日(土)「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」

ONCE UPON A TIME... IN HOLLYWOOD・2019・米/英/中・2時間41分

日本語字幕:手描き風書体下、松浦美奈/シネスコ・サイズ(2.39、フィルム、by Panavision)/ドルビー・デジタル(IMDbではドルビー5.1も)

(米R指定、英18指定、日PG12指定)(IMAX版もあり)

監督・脚本:クエンティン・タランティーノ
撮影:ロバート・リチャードソン
出演:レオナルド・ディカプリオ、
   ブラッド・ピット、
   マーゴット・ロビー、
   アル・パチーノ、ほか

公式サイト
http://www.onceinhollywood.jp
(全国の劇場リストもあり)

TVをメインで活躍するスターのリック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)は、長年、自身のスタント・ダブルで、運転手で、雑用係で、友人でもあるクリフ・ブース(ブラッド・ピット)とともにうまくやってきた。ところが次第に人気が衰え、若手の盛り上げ役が多くなっていた。すると、リックを買っているプロデューサーのマーヴィン・シュワルツ(アル・パチーノ)が、イタリア映画で勝負しないかと声を掛けてくる。そして、同じ頃、ハリウッドのリックの自宅の隣にロマン・ポランスキー監督とシャロン・テート(マーゴット・ロビー)夫妻が引っ越してくる。


76点

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 てっきりシャロン・テート事件を描いた作品だと思っていたが、そうではなかった。おそらく、タランティーノ監督が好きであろう1960年代という時代感と、映画愛を描いた作品ではないだろうか。虚実織り交ぜ、1つのファンタジーを作り上げたと。

 映画オタク(?)のタランティーノとしては、現実と同じ結末にはしたくなかったのだろう。だから、隣の家に架空の落ち目の俳優を配し、痛快なリベンジというか、逆襲劇を作り上げたという感じがした。

 当時の街、車、ファッション、パンナム、タバコ、ヒット曲、映画、スター…… そのチョイスがまたナイス! シャロン・テートが出ているからとは言え、ディーン・マーチンの「サイレンサー/破壊部隊」(The Wrecking Crew・1968・米)とはねえ。スティーヴ・マックィーンなんて瓜二つだったし、ブルース・リーも仕草がクサイくらいそっくり。ストーリーとは関係なくても、お金をかけてじっくり描いている。タランティーノだから許されるような贅沢な映画。

 だからキャストも豪華。西部劇に出ている新人の売り出し中のジェームズ・ステイシーは「ダイ・ハード4.0」(Live Free or Die Hard・2007・米/英)や「ヒットマン」(Hitman・2007・仏/米)のティモシー・オリファント。ヒッピーの中ボスみたいな女は、役作りのためかちょっと太めのオバサンっぽい「I am Samアイ・アム・サム」(I Am Sam・2001・米)のダコタ・ファニング。そのヒッピーに牧場を貸してやっているオーナーのジョージは「サイレント・ランニング」(Silent Running・1972・米)のブルース・ダーン。スタントのボス、ランディは「遊星からの物体X」(The Thing・1982・米)のカート・ラッセル。TV西部劇の中のシェリフは「レザボア・ドッグス」(Reservoir Dogs・1991・米)のマイケル・マドセン。スティーヴ・マックィーンはTVの「バンド・オブ・ブラザース」(Band of Brothers・2001・米/英)や「HOMELAND」(Homeland・2011・米)シリーズのダミアン・ルイス。

 銃は、TVの作品中にコルトSAA、トンプソン、MP40、1911オート、ポンプ・ショットガン(イサカ37だったらしい)が登場。現実世界ではヒッピーの男が、たぶんブラックホークの10インチを使う。他に軍用の火炎放射器も出てくる。ディカプリオのガン・コーチは、もちろんセル・リード。

 ブラッド・ピットがいつも履いているシーンズは赤タブが着いていたので、やっぱりリーバイスか。ステッチがわからなかった。EDWIN 503ってことは時代的にないよなあ。トレーラー・ハウスの棚にはG.I.ジョーが飾ってあった。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は映画の日の前日だからすいているかと思ったら、普通の混雑具合。あらら。多くのスクリーンが残席わずか。40分ちょっと前くらいにビルが開き、20分前くらいに開場。観客層は若い人から中高年まで幅広かったが、めいんはやはり中高年。男女比は半々くらいだった。最終的に後ろのボックス席は見えなかったが、9席×2列あるプレミアム席は1席残っていたくらいで、499席の8.5割くらいが埋まった。

 CM・予告の途中で半暗になり、マナーのあとTCXのデモがあって、足元注意、そして映画泥棒でフル・サイズの本編へ。冒頭は古いコロムビアのロゴ・イントロからスタート。

 IMAXが隣だからか、振動が何回も伝わってきて不快だった。「地震か?」という声も上がっていたほど。どうにかして欲しいなあ。


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