2019年9月22日(日)「アド・アストラ」

AD ASTRA・2019・中/ブラジル/米・2時間03分(IMDbでは122分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、松浦美奈/シネスコ・サイズ(2.39、フィルム、レンズ、〈IMDbではin Panavision、Arri〉、IMAX、ドルビーVISION)/ドルビーATMOS(IMDbではドルビー・サラウンド7.1、SDDS、dts:X、IMAX 6-Track、Auro 11.1、12トラック・デジタル・サウンドも)

(米PG-13指定)(IMAX版もあり)

監督・脚本・製作:ジェームズ・グレイ
脚本:イーサン・グロス
撮影:ホイテ・ヴァン・ホイテマ
出演:ブラッド・ピット(製作)、
   トミー・リー・ジョーンズ、
   ルース・ネッガ、
   リヴ・タイラー、
   ドナルド・サザーランド、ほか

公式サイト
http://www.foxmovies-jp.com/adastra/
(全国の劇場リストもあり)

地球が謎のサージ電流発生に襲われる。宇宙アンテナの修理クルーを勤めていたロイ・マクブライト少佐(ブラッド・ピット)は、その影響でアンテナから落下するが、冷静に電流をカットし、大惨事を避けることに成功する。その報告を聞きたいと言うことで司令部に呼び出されたロイは、11日前に海王星付近で巨大な爆発が起こり、サージ電流が発生したという。そして、最高機密情報とされる“リマ計画”について聞かされる。それは29年前の、地球外の知的生命体を見つけるための探索だった。指揮官はマクブライト少佐の父、クリフォード・マクブライト(トミー・リー・ジョーンズ)で、海王星付近で連絡を絶ち全滅したと思われていた。ところが、1人だけ生き残ったというメッセージが送られてきたという。そこで司令部では、ロイに極秘任務として、サージ電流から破損を免れた火星の通信施設から返信を送り、クリフォードの位置を特定し、そこへ行って何が起こっているのか調べるように命じる。


76点

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 久々のリアルなハードSF。超本格的。ドラマだけどドキュメンタリーのような雰囲気も。かなりの硬派。だから宇宙は怖い。気圧もなく、引力もなく、空気もない。宇宙服がなければ即死。あっても、ちょっと穴が開いたり、ヘルメットにちょっとひびが入っただけで大変なことになる。SFファンタジーとは大違い。だからストーリーはちょっとわかりづらいかも。

 さらに、最初から流れる悲しい雰囲気。怖くて悲しい。これがラストまでずっと続く。それで、ついつい最悪の結末を想像してしまうが……。個人的な感情と任務の狭間で揺れる。人間は宇宙ではいかにも非力で頼りない。すぐに死んでしまう。誰にも聞こえず、助けてもらえない。こういうところへ宇宙飛行士は自ら望んで出て行く。すごいなあ。これを見て改めて尊敬の念がわいた。

 そういうリアル派でいながら、海賊というか山賊というか、利権を巡り敵対する賊の襲撃があり(地球のハンビーの戦いのような感じ)、銃撃(光線銃的な?)があり、モンスター(?)の襲撃もある。目的地に至るまでのロード・ムービー的展開。それも、ほぼブラッド・ピットの1人旅、1人芝居。他の人はほとんどちょい役。ほぼ印象に残らない。

 真空になると頭とか破裂する。手を喰われたり、鼻を食われたりして血まみれで、かなりグロなシーンもある。その点は要注意。またシネスコにしてはちょっとカメラが動きすぎか。3Dだったら酔うかも。

 出演で、宇宙人ジョーンズさんことトミー・リー・ジョーンズと、ドナルド・サザーランドの元気な姿が見られたのは良かった。まあジョーンズはCMで定期的に見ているけど73歳だし、サザーランドは84歳だからなあ。そしておバカ映画「アルマゲドン」(Armageddon・1998・米)のリヴ・タイラーも同じような宇宙飛行士の妻役ながら、もう42歳だもんなあ。

 監督はデビュー作「リトル・オデッサ」(Little Odessa・1994・米)で高く評価され、その後ボクも見た作品でいくと「アンダーカヴァー」(We Own the Night・2007・米)などを撮っている。どちらかといえば暗い作品の多い人。本作の前の作品「ロスト・シティZ 失われた黄金都市」(The Lost City of Z・2016・米)は製作から2年後に〈未体験ゾーン〉の1本として単館限定公開。うむむ。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日はビルが20分前くらいに開き、チケットを発行してトイレに行ったら15分前で開場。着いた時点で、前回黄色表示(残席わずか)がなかった。人気がないのだろうか。観客層は高齢者が多いようで、白髪があちこちに。女性は開いてすぐ、13人くらいの内3人が女性という感じ。最終的に407席に4割ほどの入り。10席×2列のプレミアム席は5席ほど埋まった。若い人は1割ほどいたか。

 シネマチャンネルから半暗になって、CM・予告、マナーから暗くなって、まぶしい足元注意、映画泥棒、そして本編へ。ギリギリまでケータイを使っているヤツがいて迷惑。ついつい目が行ってしまうって。


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