2019年9月28日(土)「ライリー・ノース 復讐の女神」

PEPPERMINT・2018・香/米・1時間42分(IMDbでは101分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、小森亜貴子/シネスコ・サイズ(2.39、デジタル、Arri ALEXA)/ドルビー・サラウンド7.1

(米R指定、日R15+指定)

監督:ピエール・モレル
脚本:チャド・セント・ジョン
撮影:デヴィッド・ランゼンバーグ
出演:ジェニファー・ガーナー、
   ジョン・ギャラガー・Jr、
   ジョン・オーティス、
   フアン・パブル・ラバ、ほか

公式サイト
http://riley-north.jp
(全国の劇場リストもあり)

クリスマス間近のアメリカ、ロサンゼルス。銀行に勤めるライリー・ノース(ジェニファー・ガーナー)は、自動車整備士の夫クリス(ジェフ・ヘフナー)と、10歳になる娘カーリー(カイリー・フレミング)の誕生日を祝うため、カーニバルへ出かける。しかしそこに麻薬カルテルの殺し屋がおり、夫のクリスが売り上げを奪おうとした男から声をかけられていたことから、見せしめのため娘ともども、ライリーの目の前で銃殺され、ライリー自身も重傷を負う。そしてライリーの証言で3人の容疑者が逮捕され、裁判が開かれるが、判事も検事もカルテルの息が掛かっていて、証拠不十分で釈放となってしまう。さらに逆上したライリーがその場で襲いかかったことから、取り押さえられ精神病院送りとなってしまうがからくも逃亡する。5年後、姿を消していたライリーがLAに現れると、家族を襲撃した3人が惨殺される。


74点

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 ほぼ全編にあふれる暴力。バイオレンスというとちょっとカッコ良い感じがするが、そういうニュアンスより、肉が割け、血が飛び散り、骨が砕け、回復しても痣が残るような暴力そのもの。だから、銃も怖いが、それよりもっと刃物が怖い。

 描かれているのは、愛する家族を残忍な暴力で奪われた悲しみと、あとはただひたすら暴力。だから、あまり気分は良くない。恨みを晴らす、復讐の物語なのだが、どうにも痛快とは行かない。なぜかカタルシスが感じられない。そして謎解きも、意外な展開も無し。警察内の裏切り者という引っ掛けが1つ作られているが、あまり重要ではなく、なくても何ら大勢に影響なしというレベル。復讐一直線。そこにわずかのためらいもない。説明や恨み言もなく、いきなりズドンと撃つ。普通の映画にありがちな、長々とした説明的セリフなんてなし。潔い。だから余計に怖い。そしてやや不快。

 日本人的にはちょっと理解しづらいかも。日本人的な展開で行くと……敵を皆殺しにするつもりが、やはり最後のところで思いとどまり司直の手にゆだねるとか、悪党が命乞いしたのについ気を許して逆襲されるとか、ボスだけひとり生き残らせて後は身内のより大きな組織に処刑されるようにするとか、感情的なヒネリがありそうなものだが、とにかく自分の手で、グサリ、ズドン。しかも、冒頭、なぐっちゃえと言う娘に自ら「クズをなぐると自分がクズになる」と言っているのだ。昇華されることなく、ストレートに仕返しって……。

 潔すぎて、姿を消していた5年間、何をしていたのか、匂わせはするが一切描かれていない。「アメリカン・アサシン」(American Assassin・2017・米)では、テロで恋人を奪われた男は、自分で訓練を詰んで腕を上げ、犯罪者になりそうになったところをCIAの特殊部隊に拾われるわけだが、そういうのはリアルじゃない?

 物語の中で、より大きな組織が存在することは描かれているので、当然ライリーもこのままでは済まないだろう。続編への伏線か。

 銃は、麻薬カルテルの殺し屋たちがMP5K、イングラム(レシーバーが長かったので、コブレイか)、ミニ・ウージー、KG9(TEC-9)サブマシンガン、P226、AKSシルバー、G36Cもあったような。ボスは1911オートのカスタム。ライリー・ノースが使うのが、グロック・サブコンパクト(IMDbによるとG26)、P229、サウンド・サプレッサーとたぶんマグプル・マグを付けたM4ショーティ(IMDbによると.300のQ Honey Badger)、そしてケルテックのKSGショットガン。警察やFBIはグロック。刑事がシルバーのセンチニアルらしきものを使っていた。

 サウンド・サプレッサーの音がリアルで、カシャンというようなメカ・ノイズ。実際の音のイメージにかなり近いと思う。

 冒頭、中国系のロゴが出たので驚いたが、香港との合作だった。

 公開2日目の初回、品川の劇場も全席指定で、2日前にネットで確保。当日は12〜13分前に開場となり、場内へ。ファミリー層の多い劇場なので、こういう成人向けアクション映画はあまり混まないので助かる。しかもどのスクリーンでも見やすい。観客層は中高年がメインで、最終的に188席に17人ほど。まあ朝一だしなあ。若い人は3人ほど、女性はオバサンが2人くらい。

 スクリーンはシネスコで開いており、明るいままでのCM・予告はよく見えなかった。せめて前だけでも暗くして欲しいなあ。後半はほぼ暗くなって見えるようになった。映画泥棒のあと暗くなって、本編へ。


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